日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

もう10%超への消費税増税を言い出し始めている政府:その前にやるべきことは?

明日から消費税率が10%になり、政府は更に上げる方針を示し始めています。消費税増税が経済に与える影響を考えれば、更なる消費税増税の前には、身を切る改革・徹底行革のほか、金融所得税増税と資産課税強化、内部留保課税、炭素税導入が必要です。また、教育・研究開発のための国債発行もやむを得ません。

2018年度の骨太の方針から既に消費税増税の方向

明日10月1日から、消費税率が10%に上がります。しかし、これで終わりでは全くありません。本ブログでは、自民と旧民主の政治家達の「相場観」は、EU並みの20%くらいだろうし、現に堂々とそう言っている、と指摘してきました。

消費税増税の是非:安倍政権は、小泉政権の改革の原点に立ち返れ。 - 日本の改革

それどころか、2018年度の骨太の方針には、分かりにくい言い方ながら、2022年度から消費税増税をする、と読める表現が入っています。去年7月16日の日経で、解説委員の清水真人氏が、この見方を示しています。清水氏は、2021年度に消費税増税について検討を行い、2022年度以降に消費税増税の実施と読める、なぜ2022年からかと言うと、2021年9月に安倍総理自民党総裁任期が切れるからだ、と書いています。再度引用します。

財政健全化計画では「中間時点(21年度)で評価を行い、25年度PB黒字化実現に向け、その後の歳出・歳入改革の取組に反映する」とうたう。社会保障改革の先行きが見えた時点で中間検証し、必要なら増税も含む追加策を検討するという含意だ。改革による負担増も増税も実施は22年度以降。21年9月に総裁3期の任期満了となる安倍の退任後、というのがミソだ。

出所:日本経済新聞2018年7月16日

財務省のほふく前進 社会保障改革という「地上戦」 :日本経済新聞

骨太の方針2019、閣議決定:2021年にまた消費税増税検討という、去年の骨太方針を踏襲。早ければ、2022年度から消費税率は10%超へ。 - 日本の改革

こうした下ごしらえの末に、先の内閣改造後に、いよいよ現役大臣からも踏み込んだ発言が出てきました。

加藤勝信厚労相は9月12日、社会保障制度の維持に向けた消費税率の10%超への引き上げについて「広範に議論する必要があるが、1つの選択肢であることは否定できない」と言っています。

www.nikkei.com

政府と自民党だけではなく、旧民主党の諸政党は、表立って言うかどうかは別として、やはり消費税増税に賛成ですし、彼等の支持団体である連合にいたっては、消費税増税を政府に要請してきました。

連合が自民党に消費税を必ず増税しろと要請。国民に牙をむく労働団体・連合の組織内候補は落選させましょう! - 日本の改革

次の消費税増税前にやるべきこと:歳出削減、消費税以外の増税、消費税の制度改革

もちろん、こんな安易な消費税増税は絶対に許してはいけません。経済への打撃が大きすぎるからです。これについても、本ブログでは何度も書いてきましたが、特に重要なのは、やはり所得効果を通じて消費を落ち込ませ、しかもその効果はずっと続く、ということです。消費税は、課税ベースが広いという点では優れた税制ですが、その反面として、経済全体への影響が広範であり、特に消費減退効果が大きく持続的です。

消費財増税は、最後の手段とすべきです。

物価上昇も、実質賃金マイナスも、消費不振も、消費税増税が原因!悪いのは、自民・旧民主・公明の三党すべて! - 日本の改革

消費増税による消費低迷は一時的な「反動減」ではない。消費低下はずっと続く。消費税増税は財源調達の最後の手段に。 - 日本の改革

「消費税増税前にやるべきこと」は、三つに分けることが出来ます。歳出削減、消費税以外の増税、そして、次に消費税を上げる際の制度設計です。

①歳出削減

まず、歳出削減です。やはり100兆円規模に膨れ上がった予算の効率化が不可欠です。政府は、「全世代型社会保障改革」をやると言って、これから社会保障関係費の歳出削減にも踏み込む方向なので、その点は評価できます。

ただ、1兆円単位の財源を作り出そうと思ったら、やはり小泉政権構造改革や大阪の橋下維新改革のように、まずは聖域なく全ての領域に切り込むことが必要で、対象を厚労省予算だけには限っては、厚労省予算も大して切れないでしょう。今の議論の進め方は、年間数千億円減らせれば大成功、あと数兆円は消費税増税で、という前提で進めようとしているように見えます。ここが安倍政権の限界で、歳出削減による財源ねん出は、ポスト安倍政権での課題でしょう。

維新が、身を切る改革を前提に、公務員人件費削減、と言い続けているのは、全省庁にまたがる話ではあるので、その点は評価できます。が、正直言って、現実味がいまひとつ見えません。維新は公務員人件費を2割削減すると言いますが、その中身は、国家公務員人件費5兆円と地方公務員人件費20兆円を、あわせて2割削減する、ということです。このうち、国家公務員人件費削減については、既に法案を作って提出しています。

https://o-ishin.jp/houan100/pdf/detail007.pdf

https://o-ishin.jp/houan100/pdf/outline007.pdf

しかし、地方公務員人件費を、国がどう削るのか、方針が未だに分かりません。「各地で維新が首長と議会をとって」というのでは時間がかかりすぎて、百年河清を俟つ話です。政府が出来る話としては、地方交付税削減という維新の主張と合わせて、ということでしょうが、それで本当に地方公務員の人件費が削れるのか、制度設計を一度もやったことがありません。ここは次の衆院選までに骨子だけでも示すべきです。

 

歳出削減は、公務員人件費削減だけでなく、各省の項目の大きな補助金交付金を切ることが必要です。むしろこちらの方が、各支出の具体的な問題点も見えやすく、国民の支持も得られます。農林水産省土地改良事業や自由化対策、経済産業省の中小企業対策、総務省の地方創生等、おかしな支出はいくらでもあります。横串でやるなら、独立行政法人公益法人、官民ファンド、各種基金への出資金・交付金補助金を精査して、切れるものを切るべきです。人件費という点で言えば、現役よりも天下りを見逃さないというやり方です。

②消費税以外の増税

歳出削減で足りない部分については、本ブログでは、消費税以外の増税項目として、金融所得税増税と資産課税強化、内部留保課税、炭素税導入等を主張してきました。

将来世代の投資の財源確保という点からも、高齢者の低年金対策のためにも、所得再分配のためには、やはり所得税の再分配機能の強化が必要です。現在ははっきりと逆進性が生じてしまっているので、金融所得について分離課税の低税率になっている点は是正が必要です。また、先進国共通の課題としての格差拡大、特に、日本では数は少ないながら超富裕層への資産課税強化を行うべきでうs。

アメリカの超富裕層15人の純資産9400億ドルは4300億ドルに半減:ウォーレン富裕税のインパクト - 日本の改革

内部留保課税は、財源を確保するための税ではなく、企業に配当、雇用、投資をさせるための誘因税ですが、これによって、企業が利益剰余金を有効活用するようインセンティブを与えれば、経済成長にプラスですし、配当と雇用からの所得税の増収も見込めます。

政府・与党・野党・国民は、力を合わせて、経団連の抵抗を排して、内部留保課税を実現しましょう! - 日本の改革

炭素税は、地球温暖化防止のために是非導入すべき税ですし、欧州の比較的厳しい国並みにすれば、消費税減税の財源にもできます。

環境省が炭素税の導入を来年度税制改正要望に?炭素税をEU並みにすれば、税収で消費税を1%下げられる! - 日本の改革

このように、仮に増税が避けられないとしても、経済への悪影響が大きすぎる消費税増税よりも、先に行うべき増税がいくらもあります。

国債発行と消費税の制度改革

以上のように、歳出を削り、増税を行って、それでも足りないなら、消費税増税に頼る前に、国債による財源調達もやむを得ません。

維新は既に、「文教・科学振興費の財源のための国債発行を可能にする法案」を提出し続けています。

https://o-ishin.jp/houan100/pdf/detail069.pdf

https://o-ishin.jp/houan100/pdf/outline069.pdf

国債は政府にしかできない投資のための財源調達手段なのですから、民間に任せては過少投資となる教育や科学技術振興の費用を国債でまかなうことは、何の問題もありません。この法案は、他の政党からも賛成が得られる余地があり、是非成立を目指してほしいものです。

維新の法案は、教育無償化の財源とすることを念頭に、国債発行を許容する法案です。また、この法案は、科学振興費も含むのですから、欧米や中国が行うような巨額の科学技術投資についても、国債での財源調達は可能な形です。特に、科学技術投資は、米中冷戦という現実の前に、安全保障と同様、絶対に財源の確保が必要で、当面は国債に頼るのもやむを得ません。

以上のように、歳出を削減し、消費税以外の増税を行い、文教・科学振興費に限っては国債発行も行って、かつ、経済状況がかなり良い、ということなら、初めて、消費税増税を行っても良いでしょう。

その際には、消費税制度自体の制度改革も必要で、低所得対策として、給付付き税額控除を導入すべきです。これは、低所得者について、働けば働くほど手取りが増えるようにすることで、勤労のインセンティブを与える制度です。軽減税率の代替案として挙げられてきましたが、結局は導入見送りとなっていたのですが、低所得者に限った再分配政策なので、食品への軽減税率のように高所得者も恩恵を得るということがなく、より公平な制度です。逆進性のある消費税を増税する際には、この制度は是非導入すべきです。

今回の消費税増税では、当面、負担増を実感するのはもちろんですが、それ以上に、軽減税率導入による混乱や不公平感の増大も見られることでしょう。軽減税率制度をどうすべきかは、また別の機会に論じたいと思います。