日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

小泉進次郎環境大臣がまずやるべきは、炭素税の実現。経済団体の言い訳フレーズ「技術革新」に逃げないこと!

小泉環境大臣は、環境省の方針通り、炭素税を導入すべきです。経済団体が反対のために持ち出す「技術革新」という言い方に逃げてはダメです。更に、所管外だろうと、脱原発・脱化石燃料による、再エネ中心のエネルギー・ミックスを示すべきです。

ニューヨークでの小泉進次郎氏、国連サミット後に発信開始

小泉環境大臣が、ニューヨークの国連気候行動サミットで見せ場に乏しかったのは、安倍政権の温暖化対策が不十分なのでやむを得ません。石炭火力発電を減らす方法を問われて少し絶句したり、叩かれもしました。せっかくの大舞台だったのに、準備不足、勉強不足もあったようなので、反省して次に生かしてほしいものです。

その反省も踏まえてのことでしょう、会議後は、段々と持ち味を発揮し始めています。

ニューヨークで、脱炭素社会の実現を目指す日本の企業グループの関係者と面会して、環境問題の重要さを訴えました。

「日本の重要課題というのは、必ず経済、社会保障、だけど絶対に環境は聞こえてこない。ここをまず変えたい」と述べたうえで、「企業からの外圧が大事だ」として協力を求めました。

小泉大臣 日本企業に「外圧」要請 気候変動を重要課題に

「外圧」と表現しているのは、これに先立ってアップル副社長と会ったことも念頭にあってかもしれませんが、日本にも、環境問題に真剣に取り組む企業はたくさんあります。日本を含む国際的な企業団体としては、RE100が、企業による自然エネルギー100%宣言を可視化するともに、自然エネの普及・促進を求めています。

RE100 | 自然エネルギー100%プラットフォーム

経団連日本商工会議所のような、古くて頭の固い経済団体からすれば、こうした企業や団体の圧力は「外圧」だ、それをもっと利かせてほしい、ということなのでしょう。これには大賛成です。

更に、小泉氏は、気候行動サミットで最も印象に残った演説に、スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんを挙げました。トランプ大統領や石炭産出国のオーストラリア首相が大人げない対応を見せるなか、小泉環境相は「強烈だった。重く受け止めた」と話し、「腹の底から思っていると実感した」と述べました。これはさすがの見識です。小泉氏も、あの年齢であの自民党の中で色々と戦ってきただけに、本気で大人にケンカを売ってくる十代の若者には、意気に感じるところがあったはずです。私としては、小泉氏が、彼女の演説を生で聞いて、重く受け止めたという、それだけで、今回のサミットへの出席の意味は十分あったと思っています。

確かに、実際にどうやるか、については、まだ新しいことは何も言っていません。独仏等が気候対応のファンドへの拠出金を増やすなど積極的に発信したことについては、「日本は今のままではいけない」としつつ、日本の政策自体が不十分とは言わず、「打ち出し方が」「間違いなく不十分」と言って、「具体的な弾はある」ので、まずは伝えていくことが大事、という言い方でした。

www.nikkei.com

私は、大臣になったばかりの今は、それでやむを得ないだろうと思います。政策の「具体的な弾」は、まずは役人としっかり詰めたうえで打ち出すべきですし、当面は、現行の政策の良いところをアピールして、批判を減らすという防御策なのでしょう。

しかし、小泉氏は、やり方はともかく、石炭火力を「減らす」と明言し続けています。既に就任時には、原発について「どうやったら残せるかではなく、どうやったらなくせるかを考えたい」として、再エネの比率を増やすべき、と発言しています。ということは、脱石炭、脱原発で、再エネ中心の電力を目指すんだ、という方向は示しています。

小泉氏に対する色々な批判の中には、原子力発電や石炭火力発電を出来るだけ増やしたい、続けたい人達の批判も混じっているものと思います。

小泉大臣の当面の最大の責務:経済団体と戦って、炭素税を導入すること

では、現職の環境相である小泉氏は、今後新しく打ち出す「弾」としては、何をやるべきでしょうか?先に述べたエネルギーミックスを変える、というのは、環境省だけで出来ることではありませんし、正直、安倍政権ではハードルが高いでしょう。やるなら、小泉氏が自分の政権を作ってからです。閣僚の一員として、安倍内閣の方針に矛盾しない形で、実現できることは限られてはきます。

小泉氏がまずやるべきことは、何と言っても、炭素税の導入です。以前、本ブログでも取り上げましたが、環境省は既に炭素税を税制改正要望に盛り込む予定でいる、と8月から報じられていましたが、結局は見送られてしまいました。

令和2年度税制改正要望(環境省) : 財務省

環境省が炭素税の導入を来年度税制改正要望に?炭素税をEU並みにすれば、税収で消費税を1%下げられる! - 日本の改革

環境省は、パリ協定の発効を受けた脱炭素社会への移行に向け、「カーボンプライシングのあり方に関する検討会」と、中央環境審議会の地球環境部会の「カーボンプライシングの活用に関する小委員会」で、しっかりと議論を積み重ねてきました。

環境省_カーボンプライシングのあり方に関する検討会

環境省_中央環境審議会 地球環境部会 カーボンプライシングの活用に関する小委員会

そして、本ブログでも書いた通り、「カーボンプライシングの活用に関する小委員会」で玉虫色の中間整理が出て、宙ぶらりんになったままでした。

https://www.env.go.jp/council/06earth/cp_chukanseiri.pdf

パリ協定は結んでしまった(爆)、でも石炭火力を減らしたくない、化石燃料に税金なんかかかるのは絶対いやだ。こんな風に、2,3歳の幼児がだだをこねるように、経済団体が反対してきたため、せっかく環境相が国民と国際社会のためを考えて税金を使って専門家と利害関係者で議論してきた成果が、生かされないままになっています。環境省の来年度税制要望も、意味不明状態のままです。

更に言えば、これも本ブログで書いたことですが、炭素税には、連合まで反対で、国民民主党の議員といっしょに、政府に反対の要求までしています。

参議院議員 小林正夫の活動日誌

連合の神津会長が「連合は原発推進派ではない」と大嘘。傘下の電力総連等は、経団連同様、原発再稼働も推進、石炭火力発電も推進で、国民民主党を拘束。 - 日本の改革

経団連日本商工会議所や連合には、16歳のトゥーンベリ氏を未熟だと批判する資格などありません。自分達は、幼児並みのだだをこねているだけなのですから。

国民のためになる政策が、愚かな一部業界団体の抵抗で棚ざらしになっている、ここでこそ、小泉氏は、政治決断によって、再来年度の税制改正に向けて、炭素税導入を決定すべきです。

これまで自民党内で戦ってきた実績、それを見てきた国民の支持、父親から受け継いだ政治的資産、なんでも使って、欧州並みの炭素税を導入する税制改正要望を断固出すべきです。

就任時の記者会見では、小泉氏は、CO2削減には、とにかく技術革新、イノベーションが大事だ、と強調していました。

環境省_小泉大臣就任記者会見録(令和元年9月11日(水)22:03 ~ 23:07 於:環境省第1会議室)

 ただ、この「技術革新」という言い方がくせ者です。これこそ、日本商工会議所が、炭素税を含むカーボンプライシングに反対する時の言い訳に使ってきた言葉だからです。以前も本ブログで紹介した通り、パリ協定のための長期戦略を政府が閣議決定したら、即日で日本商工会議所が、これに賛成する会長名のコメントを発表しています。

曰く、「カーボンニュートラルな社会の実現のため、ビジネス主導の非連続なイノベーションの推進を骨格としたことを評価する」、つまり、政府が対策として、「いずれすごい技術革新が出るからそれまでは今のまま」としていることを評価しています。

そして、「温室効果ガス削減に向け、安全性を最優先させたうえで原発再稼働を推進することが有効」と、脱原発も全否定なのはもちろん、「石炭火力発電については、諸外国における石炭火力発電プロジェクトにわが国の高効率・低炭素な発電技術を提供することを通じて、わが国が世界全体の温室効果ガス削減に貢献していくことを期待」ということで、国内では全然減らす必要なんかありません、と言っています。

そして最後に、「カーボン・プライシングについては、本戦略の根幹である民間主導のイノベーション創出を阻害する恐れがあり導入すべきではなく、極めて慎重な議論をお願いしたい」ということで、要するに、「民間主導のイノベーション創出を阻害」するという言い訳で、炭素税なんて反対だ、と言っています。

「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」の閣議決定に対する三村会頭コメント - 日本商工会議所

温暖化で成果見込めないG20。日本の環境政策は、欧州緑の党の「炭素税・配当」政策と、アメリカの「グリーン・ニューディール」を取り入れるべき! - 日本の改革

技術革新はもちろん重要です。しかし、それを、炭素税のように化石燃料使用を減らす実効性ある政策をやらない言い訳にしてはいけません。これについては、メディアも批判しています。

www.nikkei.com

技術革新と言うなら、化石燃料を減らす炭素税の導入等によって、出来るだけ少ない化石燃料の利用で良くなるような技術革新を促すべきです。規制等が技術革新をかえって促す、というポーターの考え方こそ、小泉氏は生かすべきです。

経済団体も、連合も、温暖化対策のためには原発が必要だと言いつつ、化石燃料を減らすための炭素税には反対し続けるという、どうしようもない二枚舌を続けています。それを終わらせるのは、国民の支持のある政治家が、既得権者たち、しがらみ団体に負けずに、断固として下す政治的決断です。再来年の税制改正に向けた話になりますが、小泉環境相は、環境省が省として取り組み続けてきた炭素税実現を、まずは目指すべきです。

もちろん、自分の政権実現に向けて、脱石炭と同時に脱原発も掲げ、再エネ中心のエネルギーミックス実現に向けた種まきを、今から続けてほしいものです。