日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

最高裁判所は、最高裁の女性判事が旧姓で判決文書くのを認めるのに、国民には夫婦同姓の不便を強制し続けるのか

選択的夫婦別姓訴訟、控訴審で、原告の主張に沿った訴訟指揮。弁護士が旧姓で法の執行に関われるという点につき、国に主張を促しました。そもそも、現行法に合憲判決出した最高裁自身が、女性判事に旧姓で判決文書くのを認めています。最高裁も高裁も、これ以上、国民に不利益を押し付けるのをやめて、違憲判決を出すべきです。

世論も政界も、選択的夫婦別姓にますます賛成

選択的夫婦別姓制度の実現は、可能か不可能かの問題ではなく、早いか遅いか、の問題です。世論でも賛成は増え続け、それにつれて政界でも賛成が増え、地方議会への陳情も次々採択されています。いずれ実現するのは確かですが、いま現在、困っている人達が大勢いるのですから、一日も早く実現すべきです。

国立社会保障・人口問題研究所の「全国家庭動向調査」で、「夫婦は別姓でもよい」と考える既婚女性が、1993年の調査開始以来、初めて5割を超えました。50代以下はいずれも賛成が5割超、30代の60.3%が最も高く、60代の賛成は43.9%、70歳以上は36.4%です。

www.nikkei.com

実現が「時間の問題」なのは、反対者が高齢者だけだからで、反対の人が自然に少なくなれば当然実現します。しかし、高齢者が反対している今でも、統合された存在としての「国民」はもう全体として「賛成」と見るべき時期がとっくに来ています。

実際に制度を実現する、具体的には民法750条を改正するのは国会ですが、国会議員にも、賛成は増えています。

7月の参院選の候補者を対象にした朝日と東大の世論調査で、夫婦別姓の賛否をめぐり、自民党で反対派が賛成派を上回っているものの、かつての調査に比べ反対派が半分以下に減りました。朝日は、「有権者の間で賛成派が増えたことも影響しているようだ」としています。

digital.asahi.com

自民党の国会議員が多数賛成となるのも、時間の問題でしょう。有権者だけでなく、ポスト安倍に擬せられる小泉進次郎氏が、自身の結婚にあたり、選択的夫婦別姓につき、「選択肢を増やすだけなのに反対する人がいる。『今まで通りの選択肢もある』と言っても進まない日本(の状況)は変えていきたい」と発言しました。本当に安倍後継になるかはともかく、人気者がこうした発信を続けたら、反対と言いにくい自民党議員は増えるでしょう。

選択的夫婦別姓導入に意欲=自民・小泉氏:時事ドットコム

3月に本ブログで紹介した「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」も、順調に採択を増やしています。

日本会議 VS 日本国民:内閣府の直近の世論調査、国民のほとんどあらゆる層が、選択的夫婦別姓を支持!一人一人が動けば、必ず勝てます! - 日本の改革

6月25日、中国地方で初めて、広島市で採択、6月26日は東京・立川市で委員会不採択からの「逆転採択」、6月27日は、東大和市で16:5の賛成多数で採択、7月1日、茨城県牛久市の本会議で全会一致採択、7月2日、東村山市で全会一致・議員提出議案での一発採択、7月3日、調布市で採択、7月3日、多摩市で全会一致採択、7月5日、墨田区で全会一致採択。

東京が多いですが、中国地方や茨城にも広がっています。

https://chinjyo-action.com/area/

8月は議会はお休みでしたが、大坂維新の会が勉強会を開いてくださり、サイボウズの青野慶久社長、作花知志弁護士、全国陳情アクション井田奈穂事務局長の話を聞いてくださいました。井田氏からお願いしたらすぐに大坂維新の勉強会を実現してくれた足立議員、本当にありがとうございます。大阪でも、この動きが広がってほしいものです。

ただ、都議会の対応は問題です。

6月19日、東京都議会の定例会最終日、「選択的夫婦別姓制度の法制化を求める意見書の提出に関する請願」が賛成多数で採択されました。都民ファーストの会公明党共産党などの賛成多数で可決され、自民党は反対しました。

www.nikkei.com

ところが、今月9月13日、都議会文教委員会の理事会が、選択的夫婦別姓制度の法制化を国に求める意見書について、同委員会で審議をしないことを決めました。これにより、国への意見書の提出は見送られると言います。

意見書は全会一致で決定するのが慣例で、自民が反対したからだめだ、と言うのです。

東京新聞:<論戦 都議会>選択的夫婦別姓 国への意見書見送り:東京(TOKYO Web)

こんなバカな話はありません。本会議で意見書を提出すべきという請願を多数決で採択しておきながら、いざ実際に意見書を提出することについては、全会一致が必要だから見送るなどと今さら言うのは、理解不能です。

請願の採択と、実際の意見書提出は、議案が違うと言うのなら、それ自体が、全くおかしな話です。6月の請願採択は都議会としての意思表示であり、上にリンクを貼った通り、メディアでも大きく報じられました。にも関わらず、今になって意見書自体は出せないと別の決定をしました、と言うのでは、都民に対する裏切りです。

一番問題なのは、反対を続ける都議会自民党なのはもちろんです。が、都議会全体としての意思表示を意味不明なものにしてしまった責任は、やはり最大会派の都民ファーストにもあります。本件については、都民ファーストの役員に会って直接質問します。

最高裁は女性判事に旧姓での判決認めながら、国民には旧姓での生活を認めないのか

ということで、都議会が妙なことになっているのは腹立たしい限りですが、それ以外は、世論も、国会も、地方議会も、制度実現に向けて動いています。

更に、裁判でも明るい兆しがあります。サイボウズの青野社長の提起した訴訟の控訴審です。

9月18日の東京高裁の期日で、裁判長から、以下の指示が出たそうです。

・「原判決は、戸籍法上の氏による別姓を認めたら氏が2つになる」と、氏の個数を言っているが、高裁は氏の数は問題ではないと考えている。その点について両当事者は主張書面で主張を追加してください。

・控訴人側が出した控訴理由書2の第1に書かれた、「旧姓を職務上の氏として使用している弁護士は、民事訴訟も刑事訴訟もそれらの判決文にもその旧姓で書かれるし、さらには破産管財人にも旧姓でなれて、登記も旧姓できるのだから、現在の法律が、必ず民法上の氏を使用しなければならないとしているわけではなく、それぞれの法の趣旨に適合した形で、旧姓を使用することを法律は許容している。」との主張に、国は反論を書面でしてください。

sentakuteki.qloba.com

この事件を受任している作花弁護士は、今回のような憲法裁判の控訴審は1回の期日で結審し、すぐに判決となることが通常なのに、原判決に具体的な指摘がされて、双方に主張書面を出すことが求められたので、「大きな期待」を抱いた、と書いています。

戸籍法上の夫婦別姓訴訟/東京高裁での第1回期日が行われました | 弁護士作花知志のブログ

今年3月25日の東京地裁の判決は、現行法では、個人が「社会において使用する法律上の氏は一つであることが予定されている」としていますが、社会の実態とはかけ離れています。東京高裁はこの点について、地裁の判断に誤りがありうるから、とりあえず両当事者とも主張せよ、と促したように見えます。

作花弁護士は、控訴理由書で、弁護士が公的文書や職務でも旧姓を使用できることを、社会において使用する法律上の氏が一つでない例として挙げています。

弁護士はもちろんですが、そもそも、法の執行に関わる公務員が、行政だろうと司法だろうと、公的文書を含む多くの業務で、今では旧姓の使用を認められています。2015年の最高裁判決で同姓の強制が合憲とされた後、この動きが一気に進みました。

まず、2017年6月、最高裁が、裁判官や書記官が判決文や令状に自分の氏名を記す際、結婚前の旧姓を使うことを認めました。判決を含む外部に示す公文書でも含めてです。

判決文や令状、旧姓OK 裁判官や書記官 :日本経済新聞

行政では、2017年7月、特許庁が、職員にすべての業務で旧姓使用を認めました。公的文書への記名なども対象です。これが中央省庁では最初です。行政処分など庁外に出す書類も対象です。それでも、給与明細など戸籍との整合性が求められるものは例外ですが。

特許庁、旧姓を容認 省庁で初、公的文書含め全業務 :日本経済新聞

さらに、2017年9月、政府は、国家公務員の旧姓使用について、対外的な行為を含め全省庁で原則として認めると発表しました。菅義偉官房長官も当時「旧姓使用者の大半を占める女性職員の意欲向上につながる」と期待を示しました。もともと、2001年から、公務員にも旧姓使用は認められていましたが、職員録や内部文書等の限られた範囲だったようです。各省庁が、行政処分など対外的な文書も含め、て旧姓使用を認める方針を申し合わせました。

国家公務員の旧姓使用、原則認める 政府が発表 :日本経済新聞

極めつけは、2018年9月、弁護士から最高裁判事に就任した宮崎裕子氏が、「今まで弁護士として使ってきた旧姓を最高裁でも使う」と明らかにしたことです。

それまで、女性判事は判決などで戸籍上の姓を使っていました。しかし、宮崎氏は、弁護士業務では依頼者と信頼関係を築くことが重要で「宮崎という名前で仕事を始めた以上、宮崎という名前で仕事を続けていくことは十分合理的な理由がある」としています。

www.sankei.com

このように、もはや、判決や行政処分やそれらを記した公文書においてさえ、旧姓使用が認められ、その意味で、社会において使用する法律上の氏は、一つではありません。サイボウズの青野社長の訴訟で、東京地裁はこの点について誤った判断をしています。その点については、東京高裁の判断を待ちたいと思います。

それより、現行の同姓強制制度に合憲判決を下した最高裁判所が、最高裁の判事に旧姓で判決を下しているのを認めているのは、極めておかしな状態です。

一般の国民には、未だに、旧姓使用が認められない範囲は大変多くあります。各種資格・免許、年金含めた社会保険、確定申告や年末調整等の税金関係、等々。税金や年金等は、公的な手続きだという理由で国民に旧姓使用を認めていません。しかし、公務員については、行政処分だろうと判決だろうと、旧姓使用が可能です。

最高裁に至っては、国民が不便を強いられているのに、その不便を合憲判決で強制している最高裁を構成する裁判官自身が、旧姓での判決を下しています。

これはもちろん、宮崎判事に旧姓使用をやめろという趣旨ではありません。公務員が公権力の行使についてまで旧姓使用のメリットを享受できるなら、国民に課せられる同姓強制のデメリットは早急に取り除くべきだ、ということです。

サイボウズの青野社長の訴訟、高裁判決はひょっとしたら期待できるのかもしれませんが、もし最高裁までいくなら、最高裁自身の姿勢が厳しく問われることになります。

最高裁も、高裁も、身内の裁判官を含めてあまねく国民全体に夫婦別姓のメリットを享受させるべく、民法改正を国会に求める違憲判決を下すべきです。