日本の改革

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サウジ石油施設へのドローン攻撃、初めて大打撃:日本は防衛システム「ドローン・ドーム」導入を!

親イランの武装組織フーシ、サウジへの攻撃で、石油施設に初めて大打撃を与えました。日本は、軍事ドローン防衛システムのドローン・ドームを導入し、テロ等への対応を可能にすべきです。

親イランのフーシ、サウジ油田のドローン攻撃に初めて成功

サウジアラビアは、国営石油会社サウジアラムコの石油施設2カ所がドローンの攻撃を受けて出火したと発表、イエメンの親イラン武装組織フーシが犯行声明を出しました。サウジアラムコは生産施設のほぼ半分を閉鎖したようです。

対イラン制裁を巡り、トランプ大統領が今月下旬の国連で、イランのロウハニ大統領と直接対話する可能性を示唆した中での攻撃でした。

www.nikkei.com

ポンペオ米国務長官は「背後にはイランがほぼ100%いる」と主張、緊張緩和を模索する中での攻撃を非難しました。

www.nikkei.com

イエメンの内戦では、最高指導者ハメネイ師がフーシ代表に会う等、支援する姿勢を明確にしていました。アメリカと同盟を結ぶサウジが支援する暫定大統領派と、フーシの対立という構図です。

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ただ、アメリカは、フーシとの直接対話を行おうとしていました。これにより、その背後にいるイランとの対話も進める意図があります。イランとの緊張緩和を進める一方、凄惨なイエメン内戦も終わらせるべきで、アメリカとフーシとの直接対話は必要です。そんな中で、今回の攻撃が起きてしまいました。

www.nikkei.com

これまでも、フーシはサウジの油田やパイプラインを狙ったドローン攻撃等を仕掛けていましたが、大した効果はありませんでした。ところが今回は違います。本当に石油生産をストップさせてしまいました。これまで、サウジは空からの攻撃は全く心配していなかったので、サウジにとって新しい状況だ、と言われています。

Houthi drones attack Saudi oil heartland, sources say crude flows hit - Reuters

拡散する軍事ドローンの脅威増大

9月6日のNHKウェブで、中東でドローンが拡散している様子が報じられています。

イランやアフガニスタンが、アメリカ製の墜落したドローンから技術を模倣して、兵器として使っています。民生の部品を使って安価に自前のドローンを作っており、拡散を防ぐのは難しい、との専門家の意見を紹介しています。

www3.nhk.or.jp

イランのドローン攻撃に特に警戒しているのがイスラエルです。イスラエル軍の報道官はNHKの取材に対し、こう答えています。
「イラン製のドローンは、小型ですばしっこく動くので、いったん上空に飛び立ってしまうと迎撃するのが難しく、重大な脅威になってきている。イスラエルも負けずに新たな防衛手段や対策兵器を開発しなければならない」(イスラエル軍ヨナタン・コンリクス中佐)

軍事ドローンを使っているのは、もちろんイランだけではありません。イギリスのシンクタンク、ドローン・ウォーズ・UKは、軍事ドローン禁止を訴えるイギリスのNGOですが、そこが去年、報告書を出しています。報告書によると、そもそもこの分野では、アメリカとイスラエルが2000年代に軍事用・非軍事用のドローンを開発して以来、10年以上にわたって独占してきましたが、最近になって、新たに9つの国と、非国家組織への拡散しているとして、懸念を示しています。

dronewars.net

この報告書に今年になってアップデート情報が加えられましたが、今回のサウジ石油施設攻撃を行ったフーシに関連する情報も出ています。

フーシが戦っているイエメン内戦については、そもそもサウジアラビアUAEも、中国製のドローンを利用しているとのことです。フーシのドローンについては、国連の専門家パネルが、航行距離1200~1500キロの新型を開発していると報告していたそうで、今回の攻撃もこうした新型によるのかもしれません。

ドローン・ウォーズ・UKの報告書は、軍事ドローン拡散のための国際的枠組みが必要だ、と主張しており、イギリス政府に対応を要求しています。ただ、オバマ政権がこれに取り組もうとした後には、トランプ政権はむしろドローン輸出を始めてしまい、他に拡散防止に積極的な国がないとして懸念しています。

dronewars.net

軍事ドローンには、「ドローン・ドーム」等で対応を

ドローンの技術は拡散してしまっており、製造も安価で、今回のサウジへの攻撃のように、成功すれば効果は絶大です。軍事ドローン拡散防止の枠組みが出来るならそれに越したことはありませんが、直ちに効果を上げるのは現状では難しそうです。

対応策として、先のNHKウェブで紹介されていたのが、イスラエルの防衛システムで、小型の軍事用ドローンに対応するための「ドローン・ドーム」です。半径3キロ以内であれば、無数のドローンが接近してきても、迎撃用の妨害電波を発射するだけでなく、強力なレーザー光線を照射して焼き落とせる、ということです。

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出所:NHK

要は、ミサイル防衛のドローン版ですが、迎撃にはレーザーを使っています。本ブログでは、レーザー兵器を使うミサイル防衛システムを導入すべきと主張し続けてきましたが、その具体例になります(対象はミサイルではなくドローンですが)。

ポスト核兵器の軍事技術と政治的リアリズムで目指す、本気の核兵器廃絶 ― 原爆の日に寄せて ― - 日本の改革

これを開発したのは、RAFAEL社で、イスラエルの軍事・防衛関連企業大手です。同社は、短距離ミサイル防衛システムの「Iron dome(アイアンドーム)」の開発元で、ドローン・ドームは、もともとこのアイアンドームから作られたものです。

CNNによると、イスラエルは既にアイアンドームを2100年以降、実戦に投入しており、アメリカ陸軍も導入を計画しているそうです。もともと、米軍がイスラエルに資金援助して出来たシステムです。こちらは迎撃ミサイルを発射するタイプですが、発射装置には標的をとらえる発射制御レーダーが備えられ、携行型もあって、装置の移動も簡単、というメリットがあるようです。

www.cnn.co.jp

こうして、ドローン・ドームのもとになったシステムは既に十分実戦配備段階であることを見れば、ドローン・ドーム自体も、有望に思われます。

中東全体でも、こうした防御的なシステムが広がってほしいところですが、日本でも、軍事ドローンの攻撃に備える必要があります。中国、北朝鮮、ロシアの脅威に備えるためでもありますが、ドローンが安価で非国家主体にも急速に広がっている実態を踏まえれば、まずはテロ対策としての備えが必要です。

既に今年5月、改正ドローン法が成立しました。2020年東京オリパラ前後に、会場上空でのドローン飛行を禁じること、自衛隊施設や在日米軍基地の上空飛行も原則禁止することが柱です。

改正ドローン規制法が成立 五輪会場や防衛施設上空の飛行禁止に :日本経済新聞

こうした法制度上の措置だけでなく、物理的に軍事ドローン攻撃を防ぐ必要もあります。商業用ドローンは「空の産業革命」の担い手として大きな期待を寄せられており、今後、ドローン自体は大発展を遂げることになります。こうした経済発展のためにも、軍事的な使用がなされないようにするとともに、軍事転用がされてテロが行われる事態にも十分な準備が求められています。

改正ドローン法を作る際に、昨年年12月20日、小型無人機に関する関係府省庁連絡会議 が、「小型無人機等に係る緊急安全対策に関する報告書」を発表しています。

その中でも、法案作成とあわせて、「現時点での検討項目例」として、「ドローンによる重要インフラの施設への攻撃に対して、有効な警備方法や、ドローン自体の飛行を阻止する措置など、施設側が取り得る実効性のある措置について、技術開発の動向も踏まえた対策の検討」を挙げています。

ここで言う「技術開発」の中に、「 諸外国において軍用での開発が進められているドローン対抗システム」も挙げられています。

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kogatamujinki/pdf/siryou11.pdf#search=%27%E3%83%89%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%82%BA+%E5%A0%B1%E5%91%8A%E6%9B%B8%27

このように、日本政府も「検討」は始める段階に来ています。ミサイル防衛システムやドローン・ドームは、基本的には純粋に防衛的なシステムであり、専守防衛の日本の国防・テロ対策に向いています。レーザー兵器を使うなら、現状のミサイル防衛システムよりも安価に準備できて、しかも無数のミサイルやドローンへの対応も可能になります。

軍事ドローンの急速な拡散という事態を踏まえ、早急にドローン・ドーム等の対抗システム導入を進めていくべきです。