日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

憲法改正が実現に近づく三つの理由:維新は好条件を生かすように振舞うべき

自民党人事が野党尊重に転換、国民民主党代表らは議論に賛成、世論も議論に賛成。維新はせっかくの環境を壊さないようにしましょう。

安倍内閣改造と自民党の人事

昨日の読売一面トップ、見出しは「憲法改正「力強く推進」」でした。総理が記者会見で、憲法改正について力を込めたことを報じています。

「新しい体制の下で憲法改正に向けた議論を力強く推進する」

「令和の時代にふさわしい憲法改正原案の策定に向かって、自民党は今後、(衆参両院の)憲法審査会において強いリーダーシップを発揮していくべきだ」

等々の、総理の言葉を引用しています。

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その割には、2面をめくると、「改憲 高いハードル」という見出しで、本文でも「道のりは険しい」としています。具体的には、国民民主党立憲民主党統一会派を組むことにつき、国民民主党の協力をあてにしていた自民党が「懸念を強めている」と書いています。

そこで自民党は、立民・国民の求める国民投票期間中のテレビCM規制の議論を先行させるアメや、逆に、議論を拒めば解散で脅すムチを検討しているらしい、とのこと。

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読売はどうも、一面記事の勇ましさに比べて、実際はなかなか厳しいと認めているというか、もっと言えば、弱気にさえ見えます。

が、私は、憲法改正は実現に近づいていると思います。理由は三つあります。

憲法改正が実現に近づく理由①:自民党の人事

一つ目は、自民党の人事が「正常化」したことです。

安倍総理自民党総裁は、細田博之元幹事長を党憲法改正推進本部長に、佐藤勉国対委員長衆院憲法審査会長にそれぞれ起用しました。産経によれば、改憲に対する安倍政権の強硬なイメージを和らげ、野党に議論への参加を促す狙いです。

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昨年、自民党は、総理側近で野党との調整能力もなさそうな下村博文氏を憲法改正推進本部長にしました。幅広い合意が必要な憲法改正の先頭に立つには、全く適任と思えない人事です。案の定、下村氏は、「憲法審査会の議論に参加しない野党は職場放棄」という趣旨の発言で、憲法審査会の幹事就任を辞退しました。

自民・下村博文憲法改正推進本部長「職場放棄」発言を謝罪 - 産経ニュース

私は今年4月のブログで、総理はもう本音では憲法改正なんてやる気がない、コアな支持層向けにやってるふりしてるだけだ、と書きました。そして、安倍総理憲法改正にやる気を失っている以上、参院選で「改憲勢力」が3分の2を割ればもう政権の求心力はなくなるし退陣もありうる、とまで書きました。

産経等の参院選予測では、自公維で3分の2割れ。安倍政権での憲法改正は不可能に。政権は目的を失い、安倍退陣にも現実味。 - 日本の改革

ところが、安倍総理・総裁は、この間違いを認める形で、ちゃんと憲法改正推進本部長を交代させました。参院選憲法改正を正面から訴えたことと併せて考えると、どうやら憲法改正については本気なようです。

細田氏が憲法改正推進本部長に就くのは2回目で、昨年3月には4項目の党改憲案を取りまとめています。先の産経の記事によると、自民党関係者は「首相に特別近いわけではなく、バランスを重視するタイプなので、野党の警戒感も和らぐのでは」と期待を寄せているとか。

衆院憲法審査会長には、国対委員長を務めて野党にパイプのある佐藤勉氏を起用したのも、本気度を感じさせます。

この憲法改正関連の人事というのは、相当難しいと思います。かつての「憲法族」のような全会一致カルチャーだけでは話が進みませんし、かと言って、下村博文氏のような勇ましいだけの人ではもっとダメだからです。

日経によると、現在の衆院憲法審査会長である自民党森英介氏は2016年9月に就任、労働組合との窓口役である党労政局長を務めるなど野党とパイプがあるとして起用されました。当時の与党の筆頭幹事も、野党との協調重視派とされる中谷元氏でした。

2015年の安保法制をめぐる与野党対立で1年5カ月も中断していた憲法審査会が再開したのは、森氏の就任後です。では、再開して憲法改正の議論が進んだかというと全然。やっていたことは、ひたすら憲法の制定過程や議会解散権に関する議論、参考人からの意見聴取など、つまりは「憲法についてのお勉強」です。これならもう、憲法調査会の時代から、飽きるほどやってきた話です。

そこで2018年秋の自民党人事で、与党筆頭幹事に新藤義孝氏、自民党憲法改正推進本部長に下村博文氏という首相側近の改憲派をつけたところ、下村氏の「職場放棄」発言もあって、憲法審査会が止まってしまいました。

野党も野党で、今年の通常国会では、国民投票法改正案の質疑・採決の合意を立民の筆頭がやったのに、枝野幸男代表がちゃぶ台返し。もともと、議論にさえ応じない野党が悪いのはもちろんで、「職場放棄」というのも正しかったのですが、下村氏の立場の人間がそんなことを言えば、野党はもとより、公明党にも議論をさぼる口実を与えてしまいます。

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昨日、公明党北側一雄副代表は、自民改憲本部長について、「野党との人間関係も含めて、環境作りをできる方がいいと期待している」と発言。他党のことについて、随分と図々しい言い方ですが、仕方ありません。細田氏なら、お眼鏡にかなう可能性はあるでしょう。

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もう一つ、自民党は、憲法改正推進本部長だけでなく、役員全体で、挙党体制で野党と交渉する姿勢も見せています。 

政党同士が重要課題で取り決めを交わす際、最後は幹事長や政調会長のレベルでの合意が一般的なので、そちらのパイプも大いに使おう、という話が一昨日の役員会でなされました。日経によれば、二階氏は公明党と太いパイプを持つし、これまで改憲に積極的な発言を控えてきた岸田政調会長も野党対策に加わり、3期目の森山裕国会対策委員長立憲民主党辻元清美国対委員長と「一定の信頼関係を築いてきた」と言うことで、あらゆるルートを使って、野党に憲法審査会での議論を促してくことになります。

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このように、安倍総理・総裁と自民党が、短兵急な正面突破をやめて、野党を尊重する姿勢を人事等で見せているのが、憲法改正が実現に近づく一つ目の理由です。

憲法改正が実現に近づく理由②:国民民主党代表らは議論に賛成

二つ目の理由は、国民民主党代表の玉木氏や同党の実力者の前原氏は、立民と統一会派を組むことになった後も、憲法改正の議論はやるべきだ、と言い続けていることです。

玉木氏は、元フジテレビ解説委員安倍宏行氏のインタビューで、憲法改正について答えています。

憲法改正の議論に入る条件は、国民投票法のCM広告規制等をまず話し合うことだとしたうえで、まずは野党第一党自民党の間で議論できる環境を整えてほしい、と言っています。

自公維で3分の2を割っているのですから、自民は乱暴なやり方はすべきでないし、出来もしません。玉木氏は、この状況を、丁寧な議論が出来る環境だとして歓迎しています。また、「議論をちゃんとやらないと、野党の側にも世間から批判が来るということを私はひしひしと感じている」とも言っています。

そのうえ、玉木氏は、野党統一会派結成の際には、憲法審査会で議論に応じる方針について合意を「する。」と明言しています。参院選後は、野党との合意がないと改憲は進められないのだから、野党はいきなり採決されたりすることはもうないから恐れずに、ちゃんと議論すべきだと言っています。

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玉木氏だけではなく、前原誠司氏も、立民との統一会派結成の後でも、改憲の議論に賛成です。

前原氏は、格差拡大と将来不安、財政赤字の拡大等の内政課題では立民と共通の政策ができるとしつつ、憲法改正については私は逃げずに議論すべきだと発言。更に、維新についても、以下のように言っています。

現在は野党共闘の枠に入っていない日本維新の会とも話をすべきだ。維新は自民党の補完勢力のように見られているが、大阪では自民党から共産党まで束になっても維新に負けている。関西で見えている風景は東京とは異なる。政策にすべて賛同できるわけではないが、議論はすべきだ。
 もし枝野氏がその気にならないのならば、国民民主の玉木雄一郎代表が話をする、というようなことがあってもいい。

このように、前原氏は、維新と議論して協力すべきところは協力し、野党で連携すべきだと言っています。もちろん、憲法改正でも同様でしょう。一方で、れいわ新選組との連携は否定しています。

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このように、国民民主党は、立憲民主党統一会派を組むことになった今でも、憲法改正の議論には応じるつもりです。そのうえ、立憲民主党との統一会派で、憲法審査会の議論に入るよう合意する、とさえ言っています。国民民主党立憲民主党統一会派を組むのは残念な話ですし、国民も冷ややかに見ていますが、憲法改正という点については、立憲民主党を前向きに変える一因となるかもしれません。

国民民主党が、こうして憲法改正の議論には今でも賛成し続け、統一会派を通じて立民の姿勢を変える可能性さえあることが、憲法改正が実現に近づく第二の理由です。

憲法改正が実現に近づく理由③:世論も議論に賛成

第三の理由は、世論です。

日経とテレ東による8月30日~9月1日の世論調査で、憲法改正に向けて各党が国会で具体的な議論をすべきかどうかにつき、「議論すべきだ」は77%、「議論する必要はない」は16%でした。

憲法改正を「議論すべきだ」は内閣支持層で84%、不支持層でも70%、野党支持層でも67%、特定の支持政党を持たない無党派層でも71%でした。与野党支持者問わず、国民の方は、3分の2超が、既に憲法改正の議論に賛成です(笑)。

こうなったのは、何と言っても、安倍総理が7月の参院選で、リスクを恐れずに、憲法改正について「国会で議論すべきだ」と訴えて、しかも勝利したことが利いています。

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もちろん、「議論をすべき」と言うのは、憲法改正に賛成とか、9条改正に賛成とかいう意味ではありません。また、同じく「議論すべきかどうか」についての世論調査でも、各社で数字は違っています。それでも、たとえば時事通信の7月調査では「参院選後に改憲議論を進めること」に「賛成」は41.2%で、「反対」は26.3%で、やはり議論すること自体については、賛成が反対を上回っています。

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玉木氏が、「議論をちゃんとやらないと、野党の側にも世間から批判が来るということを私はひしひしと感じている」と言っているのは、このように客観的な裏付けのある話です。同じ感触を、立憲民主党も持ってはいるでしょう。

このうえ、憲法改正で議論するか否かを争点に解散をされたら、たまりません。世論が議論に賛成なところへ、解散風で脅されれば、支持率が伸び悩む立民も、結局は憲法審査会の開催に応じざるを得なくなるでしょう。

憲法改正を実現するために、維新はどう振舞うべきか

以上、憲法改正が実現に近づいていると見るべき三つの理由を見てきました。この絶好の環境を生かすため、日本維新の会は、振舞い方に十分注意すべきです。

玉木氏は、先のインタビューで、維新についてこう言っています。

日本維新の会も、ある意味自民党としっかり対峙すると言うことであれば、私は野党勢力の1つとして協力できるところは協力していけば良いと思っている。ただ、(維新の会は)予算案に賛成したり、不信任案を否決したりするから、やっぱり与党なのかなと思ってしまう。(与党に対して)是々非々でやっていくことは否定しないし、日本維新の会のおっしゃっている事の中でうなずけることもある。協力できるところはしたいが、単なる与党補完の勢力なのかというところは見極めないと。

日本維新の会に聞きたいのは、本当に自民党・安倍政権に変わる政権を樹立すると言うのであれば、どうやってそれを目指すのか。日本維新の会だけではできないと思う。ある程度野党をまとめなければいけない。そういうときには我々も連携できる連携をすればいいと思う。ただ、今は一体どちらに行かれようとしているのか分からないので、判断しかねる。

「躊躇せず消費税減税を」国民民主党代表玉木雄一郎衆議院議員 | NEXT MEDIA "Japan In-depth"[ジャパン・インデプス]

日本維新の会に聞きたいのは、本当に自民党・安倍政権に変わる政権を樹立すると言うのであれば、どうやってそれを目指すのか。」

これを聞きたいのは、玉木氏だけではありません。維新の支持者もみんな聞きたがっています。どの党を支持するかを問わず、国民はみんな聞きたがっています。私は、維新は国民民主党と連携すべきだと言ってきましたが、同党が立民と統一会派を組んだ今でも、それはやるべきだと思います。自民政権への選択肢を示すだけではなく、憲法改正を実現するためです。自民党さえ、党人事で国民民主党立憲民主党に最大限の配慮をして、挙党体制で野党を説得しようとしています。維新は、もちろん是々非々を貫きながら、同じ野党として、出来るだけ国民・立民と連携すべきです。

旧民主に対して、不必要に挑発的な言動はせず、臨時国会ではどうせ水膨れとなる補正予算案には反対し、国会終盤での内閣不信任案にも、自分たちなりの理由はつけて、お付き合いで賛成するくらいのことはやるべきです。かつては不信任案に賛成してきたのだから、今さら失うものなどありません。

旧民主に「譲る」とか「妥協する」とか言われるのがいやなら、もっとマッチョっぽく、「追い詰める」という言い方でもいいです。とにかく、憲法改正に向けて絶好の環境が整いつつある今、国会を挙げて、国民民主党立憲民主党憲法審査会の開催に賛成できるよう、耐えがたきを耐え、忍び難きを忍んででも、出来ることは何でもやるべきです。