日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

盛り上がり始めたアメリカ民主党予備選:旧民主と維新、本気で政権狙うなら予備選を!

アメリカ民主党予備選、ようやく3人にしぼられ、有力候補者の報道が多くなっています。日本の旧民主と維新も、今からでも是非、次期衆院選に向けた予備選をやって、自民党以外の選択肢を示すべきです。

追い上げるウォーレン、逃げ切り図るバイデン、組合に頼るサンダーズ

2020年の大統領選、相手がトランプなら勝てるだろうと思ったのか、アメリカの民主党の予備選には我も我もと手が上がり、最初はなんと27人も指名争いを始めました。アメリカのリベラル系メディアはやきもきして、何とかしぼれ、とにかく勝てるのを選べと言い続けてました。最近になって、ようやく構図が見えてきました。

ブルームバーグが、ウォーレン候補が各種世論調査で支持を伸ばしていることを報じています。今日、ヤフーニュースでも出ていました。

米大統領選、民主党候補指名レースでウォーレン氏支持伸ばす-CBS - Bloomberg

同じタイミングで、エコノミスト誌が、アメリカ大統領選での民主党予備選につき、各種世論調査での候補者の支持率を分析しています。

projects.economist.com

全国規模の信頼できる様々な世論調査の平均では、直近のデータでは、バイデン28%、ウォーレン19%、サンダーズ15%です。後の候補者は一桁の支持率ばかりですから、ようやく、この3人にしぼられてきた感じです。

時系列での変化は以下の通りで、バイデンはゆるやかに下落傾向ながらトップを余裕で維持、ウォーレンはそれよりは急激に上昇傾向ながら、バイデンとの差は10%近くあります。サンダーズはゆるやかに下落して、ウォーレンに抜かれました。

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出所:Economist September 9th 2019

個別の主要な世論調査は以下の通りです。一番下のMonmouth大学の調査でウォーレンがトップだったので個人的には喜んだのですが、他の調査では、バイデンとはまだ二桁以上の差がついているものが多くあります。

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出所:Economist September 9th 2019

人種、年齢、教育水準等で見ると、黒人の支持は圧倒的にバイデン、ヒスパニックもバイデンが1位で、白人はウォーレンが1位です。なんでも、1980年以来、アフリカ系アメリカ人の支持なしに民主党の指名候補勝った人はいないとか。

ここはオバマ政権で副大統領を務めたのが大きなメリットになってるのでしょうが、バイデン支持の底堅さが分かります。増えつつあるヒスパニック系でリードしているのも強みです。ただ、白人はそれでもボリュームゾーンですから、ウォーレンにもまだチャンスはあると思います。

年齢別に見ると、30歳未満のミレニアル世代では、サンダーズとウォーレンがほぼ同じでバイデンをダブルスコアでリード、30~44歳では3人で横一線、45歳以上はやっぱりバイデン。投票率が高い層を抑えているのは有利で、ここでもバイデンの底堅さが見えます。

これが教育水準になると、高卒等ではバイデンがトップなものの、大卒、院卒となるとウォーレンがトップ、学歴は高いほどウォーレン支持率が高まります。元ハーヴァード・ロースクール教授という肩書の霊験はあらたかですが(笑)、とにかく具体的でよく考えられた政策をガンガン打ち出す姿勢も、高等教育を受けた層には伝わりやすいのでしょう。

さて、「民主党」という名前の政党は、アメリカでも日本でも、やっぱり労働組合の支持を受けているのは確かです。予備選の主要3候補も、労働組合の支持も得ようと必死です。大統領選では、幅広い支持が必要なので、民主党候補とはいえ、労働組合の支持が最優先でもないようです。アメリカの労働組合の組織率は10%で、弱いと言われる日本の連合の17%より更に低くなっています。それでも組合員は1500万人になるので、重要な票田です。

これについては、Splinterという新しいメディアで、Hamilton Nolan氏が書いています。

splinternews.com

一番労組向きの姿勢を打ち出している候補は、サンダーズです。スローガンは「職場の民主主義」(“Workplace Democracy Plan” )だそうで、Nolan氏によると、サンダーズはとにかく労組寄りの政策を並べ立てているとかで、労組のストラテジストがブレインストーミングで出したときのリストのようだ、と皮肉っています。具体的には、カードチェックによる労組加入手続きの簡略化や、団体交渉から労働調停までの期間短縮化等です。

ただ、アメリカの労組はどうも日本の連合ほどにはまとまっていないようで、個別の労組ごとに支持が決まるようです。一応ナショナルセンター的な最大組織のAFL-CIOは、まだ態度を決めていません。前回の大統領選挙では、ヒラリー・クリントンとサンダーズがデッドヒートの末に、AFL-CIOがクリントン推薦を決めました。これにサンダーズ支持者が強く反発してしまい、結果的にトランプ当選を許したため、候補者とタイミングを慎重に見極めているようです。

バイデンはなんだかやたらに曖昧な言い方でとにかく組合は素晴らしい!私が当選したら、組合はホワイトハウスにこれ以上ない友達が出来ます!と言ってるそうです。バイデンはもともと、政策を曖昧にして八方美人に支持を集める作戦です。しがらみがないわけでもなさそうで、たとえば、消防士の組合は真っ先にバイデンを支持しています。

ウォーレンもまた組合支持を一所懸命に訴えています。個人的には面白くありませんが、とりあえず仕方ありません。選挙キャンペーンのスタッフまで労働組合化したのが話題になっています。そして、労働組合アメリカの中産階級を作った、労働組合がそれを再建するだろう、とリップサービス

とはいえ、実際の政策では、やはりサンダーズほどの労組寄りではありません。たとえば、アマゾンの倉庫でのひどい労働条件が問題になったとき、サンダースは、アマゾンやウォルマートなどの大企業の賃上げを義務化する法律を提案したのに対し、ウォーレンは、お得意のアマゾン等「ビッグ・テック」の分割を主張しています。ウォーレンの大義名分はあくまで資本主義の復活、競争の復活。だからこそ反トラスト法にこだわり続けており、そうそう労組言いなりには偏しないように見えます。

jp.techcrunch.com

こんな風に、予備選で主要候補が3人にしぼられたことで、それぞれの主張、支持率、支持層等がはっきり見えてきて、メディアはアメリカに限らず盛り上がり始めています。野党の民主党がこのように注目を集められるのは予備選の大きなメリットで、巨大権力を持つうえに個性的すぎる現職へ対抗するための、大きな力となります。

旧民主、統一会派結成という大失敗。立民、国民民主、維新で切磋琢磨を!

ひるがえって、日本の野党はどうでしょう。

今日発表されたTBSの世論調査、立民は下落、維新が上昇、国民民主が少し上昇。いずれにしても、どの政党も一桁の支持率、37%超の自民党と比べるべくもありません。全部足しても自民党の3分の1未満です。

TBS「世論調査」

一番改革姿勢の鮮明な維新の支持率が伸びているのはありがたい話ですが、これでは選挙になっても、どんなに伸びても10%ちょっと。候補者もそうそう揃えられないでしょうし、2012年の50議席台になったとしても、結局は何もできはしないのは過去の経験の通りです。かと言って、自民と連立なんかしたら、もっと何も出来ません。

維新は、やはり、旧民主と、選挙区予備選や客観的な世論調査結果で、ちゃんと有権者の目に見える形で政策・主張を戦わせて、それぞれの支持層とのつながり具合も見てもらって、そのうえで候補者を一本化して、自民党政権を倒すべきです。

立憲民主党と国民民主党は、政策の違いも支持層の違いも明らかなのに、もっと小さなところで言えば、支持する労組の違いさえ明らかなのに、国民に何の説明もないまま、統一会派を組んでしまいました。これは最低、最悪の選択です。

立民は、れいわ新選組やN国人気で日和って、国民民主に至っては、維新との連携論が党分裂をもたらすのを嫌って、立場の弱い者同士の弱者連合を作ってしまいました。

mainichi.jp

国民の期待が集まるはずがありません。立民がこのところ支持率を下げているのもこれが理由でしょう。

そもそも、旧民主の統一会派がうまくいくはずもありません。たとえば、立民の原発ゼロ政策です。電力総連の岸本薫会長は9月4日、静岡県内で開いた定期大会で、国民民主党に、会派合流協議にあたっての基本政策の維持を求めました。つまりは、立民が提出している法施行後5年以内に廃炉決定する原発ゼロ法案に賛成などさせない、という意思表示です。大会に出席した玉木代表は、「皆さんの声も反映して物事を進めたい」と発言。もう玉虫色でごまかすしかありません。

「国民民主は基本政策維持を」電力総連会長 会派合流で :日本経済新聞

統一会派の結成や、その先の旧民主の再合流は、立民の支持母体の官公労系労組の利害にさえ反しています。

以前、本ブログでも書きましたが、比例代表の組織内候補は両党で分かれ、党で当選ラインの個人得票に差がつきました。立民は5人全員が当選し、国民民主は電機連合とJAM(ものづくり産業労働組合)の候補が落ちました。立民の当選ラインは下がっていたので、立民支持の労組は、本音で言えば、統一会派結成などしてほしくなかったはずです。

連合「支持政党」明示せず 立民・国民連携に期待 :日本経済新聞

 政府・与党は当然、このデタラメぶりを攻撃してきます。と言うか、もう今となっては、その価値さえないと思われてるかもしれません。とにかく、旧民主は統一会派を続けたところでジリ貧です。

国政維新も、せっかく東京で議席を得て、さあこれから、というときに、相変わらずミニ野党で甘んじて、40~50議席も取れれば大躍進だと喜ぶようなやり方をこれからも続けるのかどうか、本気で考え直してほしいところです。旧民主は組合の支持を得ていますが、何も維新が組合依存政党になるわけではなくて、組合政党と堂々と予備選で戦えば良いのです。アメリカの民主党候補者さえ、組合に対して、案外是々非々で接しています。

旧民主も、維新も、予備選なり客観的な世論調査なりで、アメリカのように野党同士で政策を戦わせ、次の衆院選では各選挙区で候補者を一本化させ、自民政権への選択肢を示すべきです。