日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

香港を通じた中国民主化に、陰に陽に動くアメリカ:トランプの安易な妥協を許さないよう、世界中で監視しよう。

香港を通じた中国民主化へ、表ではアメリカ議会が、裏では全米民主主義基金(NED)が動いています。トランプ大統領は最初、中国のデモを事実上無視したものの、批判に耐えられず、習近平と電話会談する等と発信。トランプ氏にブッシュ父元大統領のような裏切りをさせないよう、米国民はじめ世界中が監視すべきです。

弾圧黙認から否定へ、態度を一変させたトランプ

世界中の誰もが、恐ろしい悲劇が避けられないと感じたことでしょう。8月13日と14日、トランプ大統領は、香港デモについて、中国政府が(武装警察の)部隊を香港近くに送っていることをツイートしつつ、全く無関心な様子を見せていたからです。

中国は香港と境界を接する広東省深圳市に「武装警察」を終結させています。

中国の武装警察の人員は、もともと多くは人民解放軍の兵士だったはずです。以前、平松茂雄氏の本で読みましたが、鄧小平以降の軍の近代化=ハイテク化と核ミサイル強化の際に、大リストラされた元人民解放軍武装警察として国内の治安に当たらせていたものです。

それを、習近平がまた人民解放軍の下に戻しました。今では、中国共産党が国内向きに好きに使える軍事組織です。この武装警察が、香港デモに対する大弾圧に向けて、準備を整えています。

digital.asahi.com

にも関わらず、トランプ氏は、最初に紹介したように、全然興味のない態度でした。これに対し、政権内部からも批判が上がっていました。ポリティコによると、NSC国務省で中国を担当するボルトン補佐官は、香港空港がマヒした後にもデモを積極的に支持するよう、主張していました。しかし、トランプ氏は、中国による取り締まりは完全に内政問題だと言って、補佐官達を驚かせていたと言うことです。政府内の対応もバラバラになり、国務省は中国を批判する一方、ロス商務長官は香港なんて内政問題だと言う、と、政府からの発信も割れてしまっていました。

www.politico.com

トランプ氏の弱腰は、貿易交渉を複雑にさせないため、早期に成果を上げて大統領選でアピールするためでしたが、当然、議会から批判されました。

民主党のクリス・マーフィー上院議員は、「こんなやり方は外交政策ではない」と大統領を批判。更に、海外の人権・民主主義の活動を支援するべきだとツイート。

 民主党のマーク・ウォーナー上院議員は、アメリカはデモ隊に対する暴力での弾圧にはっきり反対すべきだと主張。共和党ミット・ロムニー上院議員も、中国共産党と軍隊(武装警察のことでしょう)は北京にいろとツイート。

他に、マルコ・ルビオ上院議員(共和、フロリダ州)も、リンゼー・グラム上院議員(共和、サウスカロライナ州)も、下院外交委の両党トップも、中国を批判しています。

Democrats criticize Trump response on Hong Kong | TheHill

トランプ氏、中国に香港デモで「人道的」対応要求 貿易合意絡め - WSJ

Trump’s stance on Hong Kong shows his focus on China trade - The Washington Post

 

極めつけは、もともと中国に対して人権問題で厳しい姿勢をとってきたナンシー・ペロシ下院議長で、香港行政長官に対し、デモ隊代表と会って、逃亡条例撤回・警察の暴力中止、そして、「普通選挙」について対話せよ、と要求しました。

 こうした動きに対し、トランプ氏も結局、態度を変えました。今度は、貿易交渉時に、まず香港問題を人道的に解決させよう、そして、習近平がデモ隊に直接会って解決すべきだと言い出しています。

 こんなこと、習近平がするはずがありませんし、相変わらず習近平頼み。貿易交渉で何とか譲歩を得ようと必死です。が、とりあえず、トランプ氏にとって一番気になる貿易交渉ともからめて発信したことで、今後、大統領も香港情勢に対して一定の関与をせざるを得なくなるでしょう。

アメリカの中国民主化支援:政権転覆も視野か

このように、トランプ大統領は何とも頼りない態度ですが一応は中国は「人道的に」解決しろと態度を変え、議会は超党派で香港のデモを支持、ホワイトハウス内でも、ボルトン補佐官は同様のスタンスです。

また、米国務省の報道担当者は14日、米国が香港に付与してきた通商面などでの優遇措置を打ち切る可能性に改めて言及、弾圧に対する制裁を示唆しています。

www.nikkei.com

アメリカは、表と裏と、両方から、香港の民主化を通じた中国民主化を支援しています。

表の動きは、先ほど挙げたような議会の香港デモ支持で、下院議長は、はっきりと香港での普通選挙実施を事実上要求。

一方、裏の動き、というか、公開はされていますが、より目立たない形での民主化運動への経済支援というのもあります。『選択』が8月号で報じている、全米民主主義基金(NED,National Endowment for Democracy)による、民主化団体への資金援助です。この組織は、1983年、レーガン政権時代に、それまでCIAが中南米等で行ってきたような他国の政権転覆を、よりマイルドに民主化支援の形にしてオープンに民主化団体等に資金援助をするものです。『選択』の記事は、2014年の香港での雨傘革命以来、今日まで、NEDが香港の民主派に資金援助やアメリカのNSC出席等の便宜も与えている、と報じています。

www.sentaku.co.jp

NDEのウェブサイトを見てみると、人権団体や米国際民主研究所(NDI)の香港支部に、2018年に合計で44万5000ドルの寄付を行っています。

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出所:National Endowment for Democracy

HONG KONG (CHINA) 2018 – NATIONAL ENDOWMENT FOR DEMOCRACY

NDI香港のウェブサイトはこちらです。

Hong Kong | National Democratic Institute

『選択』によれば更に、現在の香港デモの中核である民間人権陣線構成団体の一つに継続的に資金援助をしている、とのことです(上記の寄付の中から出ているのでしょうが、私は未確認です)。

こうして、資金援助や現地のアドボカシー等を支援する活動をアメリカは行っています。これにつき、『選択』の記事は、主権侵害につながることを理由にm、批判的なトーンで書いていますが、私は全く問題ないと思います。昨日も書いたことですが、ニュルンベルク裁判と東京裁判以降、国際社会では、平時だろうと戦時だろうと、国家主権の名の下に人権弾圧を行い独裁制をしくことは、少なくとも理念上は許されないからです。

東京裁判の遺産は、国際法に「個人」を持ち込み、自由主義・民主主義発展の元となったこと。国際社会は、この遺産を正しく使うべき。 - 日本の改革

かつてCIAが担ったような、反米政権の転覆という「汚れ仕事」を引き継いだという面はあったとしても、白昼堂々と公開して民主化のための資金援助等を各国に行うのは、むしろ現在の国際社会の理念にかなうものです。

日本のメディアも日本国民もトランプを監視しよう!

アメリカは、1989年の天安門事件を許して中国の人権弾圧と独裁制を黙認するという大きな過ちを30年間にわたって続けてしまいました。その過ちを、貿易上の利益を確保するだけの目的とはいえ、厳しく正そうとし始めたトランプ氏の功績は、高く評価されるべきです。

しかし、香港デモやウイグル強制収容所への対応を見ると、トランプ氏はやはり視野が狭すぎ、自由と民主主義という現代の普遍的価値への関心が低すぎます。これから、貿易交渉で何等かの成果が上がれば、あるいは上がらなくとも成果が上がったと詐称することで、中国の人権・民主主義の問題を無視する恐れがあります。

ここで注意すべきは、トランプ氏が、ブッシュ(父)元大統領のように、表向きは中国を批判しながら、経済的利益のために裏で妥協して、香港デモへの弾圧含め、中国による人権弾圧を認めてしまうことです。

ブッシュ(父)元大統領が、天安門事件の直後に極秘裏に鄧小平に対して、問題視しないと本音を伝えていたことを、6月4日のブログでも紹介しましたが、再掲しておきます。

89年12月、日本の対中姿勢を非難したスコウクロフトが実は同年7月初めに極秘訪中し、トウ小平と会談していたことが判明した。外務省では、米の「二枚舌」外交に怒り心頭だったが、栗山は「日本は早く円借款の凍結解除をしたい思惑があったのである意味渡りに船で、今度は日本が米側を利用した」と実情を明かした。

問われる日本の「天安門後」外交=学生弾圧に涙した現場-欧米と一線、対中関係改善 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

日米が天安門事件を許したことが全ての間違いの元。日経、朝日、産経が一致して「日本は中国に民主化を求めるべき」と主張。 - 日本の改革

自由と民主主義に対するこのような裏切りを、アメリカの大統領も、日本政府も、二度とするべきではありません。彼らにそんなことをさせないために、まずはトランプ大統領が香港について何を考え、何をしようとしているか、日本国民含め、世界中でよく監視し、問題があれば、諸国民が声を上げようではありませんか。