日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

自民も旧民主も、農家保護の公約。一貫してTPP賛成の唯一の政党・維新は、徹底した農業改革の訴えで独自色を!

参院選の帰趨を決する一人区は農村部が多いため、自公も、旧民主と共産の野党連合も、農家保護の公約を掲げています。自民も旧民主もTPPについて、与党として賛成、野党として反対の二枚舌でした。一貫してTPP賛成を主張してきたのは維新だけです。維新は、参院選であらためて農業改革を訴えるべきです。

TPP発効から半年、少しずつメリットを実感

少し前から、近所のスーパーで、キウイが目に付くようになりました。今年1月からTPPが発効し、果物の関税は即時ゼロとなったため、ニュージーランド産のキウイの輸入が増えたためです。値段はやっぱり少し安いと感じました。

普段の値段を意識してなかったので正確には分からずにいましたが、野菜ジャーナリストのコジマコブラ氏によると、スーパーでは国産より1割ほど安くなっているようです。コジマ氏の扱っている国産キウイも「そんなに美味しくないのに高い」ので、国産は品種の改良と栽培技術の蓄積で味を良くしないと、と書いています。消費者にとっては歓迎すべき話です。

【2019年】国産キウイフルーツが全く売れない-TPPで関税ゼロ! | 日刊野菜ジャーナル

日本農業新聞によると、TPP加盟国からの輸入は増えていて、即時関税ゼロとなった果物では、他にブドウも急増しています。輸入業者によれば、チリ、オーストラリア産等は、種がなくて皮ごと食べられる品種のようで棚持ちが良いそうです。関税の下げ幅が小さい牛肉、豚肉も、輸入コストが下がり、カナダ、オーストラリア等からの輸入が増えています。

日本農業新聞 - TPP発効半年 参加国から輸入攻勢 牛肉 カナダ、NZ急増 ブドウ 関税撤廃で最多

あの大騒ぎしたTPPも、国民生活で少しずつメリットを実感できるようになってきました。

もっと他国並みに関税を下げていれば、コメも牛肉も豚肉も「安くなったなあ!」と国民が喜んだことでしょう(牛肉、豚肉は、これから段々と関税が下がりますが、かなり時間をかけるので、国民がメリットを実感しにくい形です)。また、キウイについてコジマ氏が言う通り、もっと大幅な関税引き下げであれば、国内の農家が更に頑張って、価格低下や更なる品種改良を行うことにもつながったでしょう。

TPPでの農産品関税引き下げが中途半端になり、一部品目で国家貿易体制が残ったのは、農業団体の圧力のせいです。農業団体の利己主義のため、TPP参加国の中で日本だけが、農産品関税の引き下げ率が極端に低くなりました。これについては、ブログでたびたび書いてきました。トランプ大統領が、TPPを不公正だと言ったのは、日本の農産品関税については全く正しかったのです。

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そんな不十分なTPPでも、いざ発効してみれば、消費者がある程度メリットを感じられる結果となっており、結局は望ましい政策です。そのTPPに対し、旧民主党は野党時代に推進し、野党になり、民進党と名前を変えたら、反対に転じました。

www.sankei.com

自民党は野党時代には反対の論陣を張り、与党になったらTPPを締結しました。自民党も、旧民主党も、TPPについては二枚舌です。

これに対し、野党でありながら、一貫してTPPに賛成してきたのは、日本維新の会です。TPPが議論になってから、賛成の立場を変えなかった政党は、維新だけです。野党でも反対せずに賛成、というのは、維新が農業票に頼らない都市型政党であることの何よりの証です。

今回の参院選、維新は、都市の選挙区で、維新はTPPに賛成してきた、皆さんの生活はTPPで(まだ少しですが)良くなってきている、だが日本の農業はもっと良くできるし、もっとメリットが感じられる政策をやります、と訴えたら良いと思います。

自民も、旧民主も、農家保護が公約。維新は、農業改革のメリットを都市で訴えよう!

参院選は、勝敗が変わりやすい一人区が勝負です。

日経によると、前回の2016年参院選では、直前にTPP署名があったため、東北6県中5県で野党が勝利したため、安倍総理は今回の参院選では、農業票奪回に力を注いできました。ところが、5月に来日したトランプ米大統領参院選後の日米交渉について「密約」を匂わせるツイートをしたこともあり、農村では疑心暗鬼が広がっいると言います。秋田県の農政連は自民現職の推薦を決めたが、県内13支部のうち3支部は「自主投票」で、組合長は「農家をまとめきれない」と語っているそうです。

r.nikkei.com

序盤の情勢に関する各社報道を、はる/みらい選挙プロジェクトさんがまとめていますが、確かに、秋田県は自民の中泉松司氏が苦戦し、無所属の寺田静氏が「リード」の報道があるようです。

note.mu

序盤の一人区情勢と農家票につき、山下一仁氏が、7月6日の朝日の調査をもとに、書いています。朝日によると、一人区のうち、秋田、長野、愛媛、沖縄で野党候補がリードし、岩手、宮城、山形、新潟、滋賀で競り合い。これにつき、山下氏は、以下のように分析しています。

沖縄は基地問題、愛媛と滋賀は野党が人気のある候補を擁立したという事情があるだろう。しかし、それ以外は東北、信越地域である。長野は伝統的に野党勢力が強いという事情があるが、それ以外の東北、新潟は保守的なイメージが強く、ここで自民党候補が苦戦していることに意外に思われる人が多いのではないだろうか?

 これらの地域には共通点がある。いずれも、経済や社会のなかで農業の占める役割や地位が大きい。しかも、農業のうち米の占める比重が他地域に比べて高い。

安倍政権になって、農業界が反対してきたTPPに参加したこと、2014年産の米価が大きく下落したことが、前回の参議院選挙で自民党が東北地方区で1勝5敗と大きく負け越した原因だと言われている。

つまり、もともと保守的な「農業区」で、特にコメ農家の強いところで、TPP参加等が主因で自民が苦戦している、ということです。

webronza.asahi.com

二階幹事長は引き締めに躍起で、土地改良事業予算について、あけすけに選挙協力とのバーターだと言う発言をしました。

二階・自民幹事長:「選挙やるなら予算づけ」 土地改良関係者前に - 毎日新聞

 自民党だけではありません。自民も、公明も、連携している野党諸派も、みんな農家の短期的な利益保護、中長期的な日本農業の成長も、都市の消費者・国民の利益も無視、という政策を、堂々と参院選公約に掲げています。日本農業新聞が、以下のように一覧にしています。

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出所:日本農業新聞(2019年7月8日)

日本農業新聞 - [2019参院選] 自民、公明 スマート化と輸出 立憲、国民共産、社民「家族農業」を重視 本紙 農政公約アンケート

自民は、「家族農業を含む」「多様な農業」の振興ということで、これまでの兼業零細農家含めた保護(家族農業の振興)と生産性の高い大規模農家の参入(多様な農業の振興)とでバランスを取った形です。どちらかと言うと、「家族農業を含む」とわざわざ付け加えたところや、大規模農家と言わずに「多様な農業」と言うあたりに、選挙向けの「思い」を感じます。「米価の安定」を挙げているのは、先に紹介した記事で山下一仁氏が言う通り、東北・北陸のコメどころを意識してのことでしょう。

立憲は、種子法廃止を今さら批判、TPPより新しいにしても手遅れ感しかありません。「家族農業を守る」というのは、自民党以上にはっきりと企業参入批判、「地域社会を守る」というのは、農業なんかやっていない「准組合員」がJAバンクにお金預けていいですよ、だって農業じゃなくて「地域」が大事、そこに住んでさえいれば農協に入れるし、JAバンクも使える今の体制を守りますよ、という意味です。農協は農家の組合という建前で保険や銀行を兼業できる仕組みは絶対買えませんし、JAバンクが農業になんか融資しないでアメリカの危険なCLOに投資しても全然オッケーです、ということです。小泉進次郎氏が改革のポーズだけは取った自民党も真っ青の農業利権死守政党です。

ローン担保証券(CLO)保有残高7.4兆円の農林中金、リーマン・ショック時の二の舞となるか。農協と金融事業の完全分離を! - 日本の改革

国民民主党は、総合的な戸別所得補償制度という零細農家の規模はそのままにしてのバラマキを推しています。これは小沢一郎氏肝入りですが、玉木氏も農業利権ど真ん中で同じ考えです。あとの帰農者への支援は、民主党政権時代の「青年就農給付金」制度を充実・強化するとかで、夫婦の一方が生まれ育ち、親が住んでいる(または住んでいた)故郷に帰農する場合、年最大250万円を給付するそうです。要は、大失敗中の地方創生政策と同じ話ですね。家畜伝染病対策は検疫体制の強化で、そこだけ聞けば良い話ですが、これをやるから獣医は増やさなくていいでしょ、加計学園岡山理科大学)の獣医学部新設を批判してもいいでしょ、という言い訳に見えます。

農林水産 - 国民民主党 政策INDEX 2019

ということで、自民も旧民主の二党も、農業政策はろくなものではありません。

さて、維新です。最初の項目は、農林水産業の成長産業化ということで、ちょっと抽象的過ぎますけど、方向性は分かります。家族営農ガー、地域社会ガーと言い訳をせずに、ちゃんと稼げる農林水産業を目指すんだ、という宣言です。農林水産業で稼げるようになってこそ、地域社会に安心して若い世代が入ってこれるし、零細な家族営農での地域の助け合いも可能になります。

重要なのは二点目、三点目です。

農地の株式会社所有、これがしっかりした担い手が農業を続けられるようにするためのカギです。農林水産省は賃貸で十分のはずだという根拠不明の独断で、特区以外には企業の農地所有を絶対認めようとしません。ここを打破するんだ、というのは、維新らしい改革案です。

複数の地域農協設立推進については、現行制度でも新農協の設立をすることは可能ですが、それが全く進まず、現在の農協による独占は変わりません。形式的な法制度だけでは足りず、よそ者を嫌ったり排除したりする社会規範が働いていないかどうか、という問題にも踏み込む姿勢が見られます。職員に給料払うことが自己目的化したような、堕落した現在の農協ではなく、本当に農家のためになる、協同組合の原点に返った「新農協」を作るよう、地域社会の規範自体を変えていこうじゃないか。こんな風に訴えれてはどうかと思います。

今回、日本農業新聞のこの記事を見て、ちょっと意外だったのは、各党の公約についてのコメントが、けっこう中立的だったことです。それどころか、維新については、こう書いています。

維新は規制改革が看板政策。成長産業化路線を徹底し、企業の農地所有解禁を主張。同じ地域で複数の農協にサービスを競わせるなど独自色を打ち出す。

 まるで、ちょっと応援してるみたいに見えないでしょうか?農業新聞は論調があまりに改革に後ろ向きだとして、自民党が叩いたことがあったかと記憶してますが、それもあってか、あるいは、本音では日本農業新聞の中にも、心ある改革派がいるのか。私には分かりませんが、少なくとも、維新の掲げる農業改革は、全く正しいものです。そして、日本農業新聞が言う通り、自公と野党連合の狭間に合って、大いに独自色を打ち出せるものです。是非、都市部の消費者に、維新の改革案が実現すれば、キウイがちょっと安くなりましたというだけではない、より安くより美味しくより安全な食べ物が沢山手に入るようになると訴えてほしいと思いますし、一方で、維新の農業改革案が、実は本当に農家のためにもなる、ということを、全国で、もっと大きな声で伝えてほしいと思います。

上に挙げた、山下一仁氏の論説記事によれば、OECDの試算では、日本の農業保護による国民負担は4兆円です。消費税2%弱くらいになります。これをゼロにしようと訴えてはどうでしょうか。野党はどこもここも消費税増税反対を叫んでいますが、あんまり効いてませんし、同じこと言っても埋没するだけです。関税も国家貿易も農地所有制限もゼロに!消費税増税分をチャラに!と言えるのは維新だけです。この有利な立場を是非十分生かしていただきたいところです。