日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

銀行がもうからなくても、不動産融資と対外投資が過熱しても、金融緩和は断固継続を!野党は金融緩和については、安倍政権の路線継続を!

現在の金融緩和政策で、銀行の収益は圧迫され、地銀が再編される方針です。超低金利で不動産融資もバブル気味です。国内で儲からない邦銀は対外投資を急増させています。それでも、金融緩和は断固継続すべきです。野党は、金融緩和については、むしろ安倍政権の継続を訴えるべきです。

「副作用」が色々あっても、金融緩和は続けるべき

参院選で、野党のアベノミクス批判の訴求力がさっぱりです。

枝野幸男氏は相変わらず輸出重視のアベノミクスではダメだと言っていて、朝日新聞は相変わらずエダノミクスとか言っていますが、この言葉、朝日が何年言い続けても、全く浸透していません。

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一つの理由は、現在の金融緩和に対する批判に、説得力がないからでしょう。マイナス金利政策に長期金利のコントロールも導入することで、企業も個人も借入コストは大幅に下がります。国債の大量購入で、国の財政も支えられています。もちろん、「結果的には」為替も円安となって、GDPにはプラスです。

それが物価上昇と実質賃金の低下で国内の分配を歪めたというのが枝野氏の主張ですが、物価上昇は大して起きておらず、しかも物価上昇の一番大きな原因は、民主、自民、公明がいっしょに決めた消費税増税です。アベノミクス、特に金融緩和への批判にこだわっても、国民にはほとんど響かないでしょう。

野党による、こうした浅薄な金融緩和批判には、本ブログではたびたび反対してきました。

物価上昇も、実質賃金マイナスも、消費不振も、消費税増税が原因!悪いのは、自民・旧民主・公明の三党すべて! - 日本の改革

野党は、統計不信では、実質賃金マイナスより、賃金の上振れを叩け。アベノミクスでは、実質賃金マイナスより、消費水準の低迷を叩け。 - 日本の改革

今日は、最近生じてきた問題について、別の視点から、金融緩和の「副作用」を三つほど挙げてみます。いずれも金融緩和をやめる原因にはなりません。

地銀の収益が悪化し、再編に追い込まれる⇒非効率的な銀行はむしろ退場させるべき

まず、金融緩和によって利ザヤがほとんどなくなり、銀行の収益が圧迫されています。

日経は、東証全体からみた銀行株の時価総額シェアが下がり続けていて、特に地銀が厳しいとしています。なお、同じ記事で、これは国際的な現象で、リーマン・ショック以降の低金利政策で、欧米の銀行でも大きく株価を下げているところが多いと報じています。

www.nikkei.com

日本の地方金融機関の経営は特に厳しく、これが、スルガ銀行や西武信金の不正融資につながりました。日銀は、今年4月に発表した経済システムレポートで、約6割の地方銀行が10年後の2028年度に最終赤字になるとの試算を示しました。原因としては、人口減と低成長に伴う資金需要の先細りで貸し出しの伸びが鈍ること、銀行間の競争で利ざやの縮小も続くことが挙げられています。

また、金融庁の試算によれば、地銀の半分にあたる54行がすでに本業赤字で、東北や九州などの23県は1行独占でも不採算ということも紹介されています。

www.nikkei.com

(上記記事の、日銀の金融システムレポート中の、中長期シミュレーションを踏まえたストレステスト(以下リンクp78~)は、以下です)

http://www.boj.or.jp/research/brp/fsr/data/fsr190417a.pdf

 このため、政府は、6月に決めた成長戦略でも、骨太の方針でも、地方銀行を今後再編していく方針を示しています。経営環境が厳しい地方銀行は10年間で集中的に再編を促し、独占禁止法の除外を認める特例法を20年の通常国会に提出する予定です。成長戦略というほどの政策ではありませんが、金融緩和による影響への手当としては、妥当なものでしょう。

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http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai29/siryou1.pdf

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/dai29/siryou4-1.pdf

政府はあわせて、地銀への監督指針を見直しています。スルガ銀や西武信金のような事例は、今までの指針でも論外でしたが、地銀再編に向けて収益力について厳しく見ていくことになります。

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https://www.fsa.go.jp/news/30/wp/supervisory_approaches_revised.pdf

要は、金融緩和で儲からなくなった地銀について、今後つぶれるところが出ないよう、事前に再編して経営体力をつけさせようということです。本当は、金融庁が強権的に業界再編を進めることなど、望ましくはありません。地域で金融機関が減るのは競争政策上はもちろん問題ではあります。

しかし、お金をろくに貸してくれないような金融機関なら借り手にとってはいてもいなくても同じで、整理統合されても仕方がないでしょう。そもそも、日本の銀行は、大手でも地域金融機関でも、IT化への対応が遅れて非効率的なのだから、フィンテックでの新規参入を認める等の対応で、独占・寡占の問題はクリアすべきです。

不動産融資が過熱し、バブル以来の数字も出ている⇒金融検査・監督をしっかりやればよい

次に、金融緩和で、不動産融資が過熱してきたとも言われます。先に紹介した、今年4月の日銀の金融システムレポートでも、銀行による不動産業向け融資がバブル期の1990年末以来の「過熱」状態にある、としています。金融緩和政策で供給された資金が、地銀などを通じ、不動産に流れ込んでいるからです。

特に、個人向けに賃貸用不動産の取得費用などを貸し出すアパートローンが増えていてるのが問題です。スルガ銀行等の事件もあって、新規融資は減らしつつあるようですが、こうしたローンは貸出期間も長いので、残高はなかなか減らないようです。

ただ、地下の水準は、都心の一部を除いてバブル当時とは比較にならない水準ですし、金融システムレポートでも、不良債権比率は下がり続けているようです(55ページ)。

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不動産融資、バブル期以来の「過熱」状態に :日本経済新聞

これについては、日銀も既に警戒を始めているようですが、政府としても、新指針に基づく金融検査・監督をしっかりやるべきです。ただ、結局は金融監督・金融規制の問題であり、金融政策自体を変えるべき根拠にはなりません。投資用不動産向け融資について、物件所有者となる会社員の収入状況について、原本で資料を必ず確認すると答えた銀行は25%にとどまるなど、ずさんな融資の実態があるようです。こうした点をしっかり是正すればよい話です。

給与明細「必ず原本確認」25%どまり 投資用不動産融資 金融庁が銀行調査 :日本経済新聞

対外投融資が急増している⇒危険なCLOについては規制をすべき

最後に、金融緩和で国内の投融資先が減ったので、海外投融資が急増しています。これについては、最近のアメリカの金融市場ではリスクも高まっているので規制が必要ですが、それも金融規制で出来ることで、金融緩和をやめる理由になどなりません。

日経によると、銀行による国境をまたいだ投融資は、リーマン・ショック以後の10年間で、アメリカは2割減の2.8兆ドル(約310兆円)、ドイツも3割減の2.2兆ドルでした。一方、日本だけは4割増やし、3.7兆ドル(約410兆円)になり、金額、伸び率ともに世界一です。

www.nikkei.com

理由は、やはり国内の金融緩和です。アメリカでも欧州でも低金利政策ですが、特にアメリカでの高利回り商品を求めて投融資を行っています。

日本の金融機関の最近の対外投資のリスクについては、本ブログでも繰り返し指摘してきました。特に、CLOと言われる、低格付け企業への債権をまとめた商品の購入が問題です。

 

インスタのアカウントまで担保にする低格付け債権で出来た金融商品CLOの保有規制を強化し、国内投融資促すため、国債で家計向きバウチャー発行を。 - 日本の改革

ローン担保証券(CLO)保有残高7.4兆円の農林中金、リーマン・ショック時の二の舞となるか。農協と金融事業の完全分離を! - 日本の改革

最近、アメリカでは、米低格付け債の発行が急増していますし、世界的に見ても債務不履行が増えているということですし、世界全体の債務も膨張しているとの指摘もあり、日本の金融機関による対外投融資には、十分な注意が必要です。

米低格付け債の発行急増 6月、1年9カ月ぶり :日本経済新聞

債務不履行、世界で2割増 1~6月 小売業目立つ :日本経済新聞

「債務膨張」というマグマ 危機の芽どこに :日本経済新聞

ただ、この問題も、金融規制で対処できます。私は、CLOについては、通常の金融商品より厳しい自己資本規制にする、つまりリスク・ウェイトを段々高めて、最終的には、事実上このような商品の保有を禁じてしまうべきだ、と主張しました。これもやはり、金融規制の問題であり、金融政策の問題ではありません。

以上、金融緩和の「副作用」として、銀行の収益悪化、不動産融資の加熱、対外リスク投資の増加を見てきましたが、いずれも、金融緩和をやめる理由にはなりません。

最後に一言、日銀が事実上の財政ファイナンスをしているのがけしからん、という批判についてですが、これはバブル崩壊リーマン・ショックを乗り切るためにやむを得ない現実として受け入れるべきです。財政ファイナンスの最大のデメリットとされる悪性インフレは全く起きていないからです。対外純債務がない限り、この政策は持続可能です。現在の日本の対外純資産は340兆円にのぼります。全く何の心配もありません。

債券市場、波静かなる理由 編集委員 滝田 洋一 :日本経済新聞

平成30年末現在本邦対外資産負債残高の概要 : 財務省

というわけで、野党は、参院選の前でも後でも、金融緩和の継続は断言すべきです。ここで安倍政権を批判したら、絶対に選挙に勝てませんし、支持も広がりません。改革を訴えることと、金融緩和の継続は全く何の矛盾もしません。特に、日本維新の会は、金融緩和継続をはっきりと掲げるべきです。