日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

トランプ「日本が攻撃されたら我々は第三次世界大戦を戦う」「我々が攻撃されたら日本はソニーのテレビで見てるだけ」⇒ではどうしろと。

トランプがまた日米安保条約が不平等だと不満をもらしました。ミサイル防衛はどうせ自国防衛も他国防衛もつながっているのですから、他国防衛目的の集団的自衛権行使の可能性も検討すべきです。

「日本が攻撃されたら我々は第三次世界大戦を戦う」「我々が攻撃されたら日本はそれをソニーのテレビで見てるだけ」

トランプ大統領が、Fox Business Networkのインタビューで、日米安保条約への不満をまた表明しました。孫引きですいませんが、The Hillから引用します。

“Let me start off with a general statement," Trump said. "Almost all countries in this world take tremendous advantage of the United States. It’s unbelievable."

"We have a treaty with Japan. If Japan is attacked we will fight World War III. We will go in and we will protect them and we will fight with our lives and with our treasure," Trump continued.
"We will fight at all costs. But if we’re attacked Japan doesn’t have to help us at all. They can watch it on a Sony television, the attack," he said, referring to the Japanese company. "So there’s a little difference, OK? As bad as the economic things are, the military."

thehill.com

大阪でのG20に先立って、日本やインドとの貿易交渉について、安保条約とからんで聞かれたことへの答えとしてなされた発言です。大雑把に訳すと、

「ほとんどすべての国がアメリカから利益を得てきた」「もし日本が攻撃されれば、我々は第三次世界大戦を戦う」、「我々は攻撃し、彼等を守る、命も財産もあらゆるものを犠牲にして戦う」「しかし、我々が攻撃されたら、日本は我々を助ける必要がない。攻撃をソニーのテレビで見ているだけだ」、「経済同様、軍事もひどいものだ」、だいたい、こんな意味ですね。

まあ、この言い方なら、この発言に先立って報じられたブルームバーグの「日米安保条約破棄の可能性に言及」に比べれば、まるっきり冷静なトーンです。

トランプ氏、日米安保破棄の可能性漏らす…米通信社報道 : 国際 : 読売新聞オンライン

ブルームバーグの報道では私的な会話で言ったということで、公的にはともかく本音ではどうか、という話でした。日米の高官が否定に躍起になっていたのは、かえって大統領の本音だろうな、という感じを与えましたが。

一方、冒頭に紹介したFoxでの発言は公になされたものです。こちらははるかに安全運転で、G20に先立ってビジネス系の番組で質問されたから、貿易交渉への抱負を述べた、という内容です。第一、日本が攻撃されたら、第三次世界大戦になっても日本を守る、「あらゆるコストをかけて」「命も財産もかけて」日本を守る、と発言しています。メディアに対し、ここまではっきり言った大統領は、逆に記憶にありません。来年の大統領選を控えて、よくアメリカ国民にここまで言ったものです。

で、返す刀で、でも日本は我々を助けない、「ソニーの」テレビで攻撃を見てるだけだ…このフレーズには笑ってしまいましたが、言いたいことは、アメリカ製品をもっと買えという話です。来日直前、日本政府には安保とからめてプレッシャーを再度かけて、来年の選挙に向けて国内向けにもアピールという形です。

今回、トランプ氏が日本政府に発したメッセージは明確です。日本の防衛に対して、アメリカのコミットメントは本気である、必ず守る、だから貿易交渉ではこちらの主張を聞け、ということです。

日本はどうすべきか?貿易交渉では農産品市場開放、安全保障では、他国防衛の集団的自衛権行使の検討

ということで、今回のトランプ氏の発言に限って言えば、日本はあわてる必要はありません。やるべきことは、本ブログで繰り返し主張している通り、TPPを超える農業市場開放を行って、具体的に数字での結果を出すことです。来年の大統領選の行方はまだ全く分かりませんが、TPPを上回る農産品関税引き下げ等を行えば、アメリカからは「超党派」で評価される話です。もちろん、TPP11諸国に対しても、同じことをするべきです。

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問題はむしろ、トランプ氏が「私的に」語ったという「日米同盟破棄論」です。この点の真偽は分かりませんが、もともとトランプ氏は、2016年の大統領選のときに、在日米軍の駐留経費の日本側の負担増がなければ、在日米軍を撤退させると言ったこともありました。2017年には、北朝鮮のミサイルが日本上空を飛んだときに打ち落とすべきだったとも言いましたし、同盟国は米軍駐留経費の50%分を、防衛による受益分として上乗せして支払え、とも言いました。

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現在の日米同盟のあり方について、トランプ大統領が疑念を持っていることは事実で、今回の発言も、それを背景にしているのは確かです。これは、トランプ氏が非合理的な人物だから言っている、ということではなく、アメリカ国民には根強くこうした見方があるから、トランプ氏は世論の支持を得るため、そして恐らくは自分の信念にも合致しているために、繰り返し、現在の日米同盟はおかしい、と言い続けているのでしょう。来年、大統領選で誰が勝っても、こうしたアメリカ世論は変わらないでしょうし、どの大統領も、世論を無視することはできません。そもそも、「アメリカは世界の警察官ではない」と言ったのはオバマ大統領でした。

米政府の高官達も、口では日米同盟が大事だ、日本を守ると抽象的には言っていますが、実際のところは分かったものではありません。今回、Foxとのインタビューで、トランプ氏が、第三次世界大戦になっても日本を守る、どんなコストをかけても戦う、と発言したのを聞いて、米国防省や米国務省の中には、青ざめた向きもあったのではないかと想像します。いや、そこまでは本当はするつもりはない、と。

では、日本は、安全保障面では、どうすべきでしょうか?

本ブログでは、繰り返し、核ミサイルを無力化させるための技術開発と実装を進めるべきだ、集団的自衛権について他国防衛目的も含めて拡張すべきだ、国民に安全保障についての情報公開を積極的に行い、万一の戦争被害にも十分補償する制度も作って、国民自身が国防に自発的に参加できるようにすべきだ、ということを言ってきました。今回のトランプ発言を機会に、あらためて、繰り返します。

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ここでは、他国防衛のための集団的自衛権について、一言します。

2015年に成立した平和安全法制では、集団的自衛権の行使が法律によって認められることになりました。ただし、そのためには三つの要件を満たすことが必要で、自国防衛のための集団的自衛権の行使だけが認められます。三つの要件とは、周知の通り、以下の通りです。

(1)我が国に対する武力攻撃が発生したこと,又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し,これにより我が国の存立が脅かされ,国民の生命,自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
(2)これを排除し,我が国の存立を全うし,国民を守るために他に適当な手段がないこと
(3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと

安全保障法制の整備 | 外務省

(1)の要件から、集団的自衛権の行使には、我が国の存立が脅かされ、国民の権利が根底から覆される明白な危険があること、が必要になります。

これに対し、我が国にはこうした危険はないけれど、アメリカが攻撃された場合には、日本は攻撃はできません。一般的には、これで構いません。世界中で活動する米軍を日本が守ることなど出来ません。

問題は、中国や北朝鮮の核ミサイルが、日本を標的とせず、アメリカだけを標的にして発射されることが予想されている、というような場合です。トランプ氏の、北朝鮮のミサイルが日本上空を飛ぶときには打ち落とすべきじゃないかという発言は、こうした事態をも想定しているでしょう。

この場合、平和安全法制を厳しく解釈すれば、理屈の上では、日本はミサイルを迎撃できないことになります。それ以前に、政府・自衛隊は、3要件に該当するかをまず判断する必要があります。

私は、アメリカ本土が中国や北朝鮮のミサイルで本当に狙われるような場合、日本には攻撃の可能性が全くなくても、ミサイル迎撃を出来るようにすべきだと思います。これにより、日米両国民の間で、共同して中国・北朝鮮の脅威に対してお互いを守るという結束が固まり、相互の信頼が得られるからです。

そもそも、こうした場合は、3要件の(1)に該当する、と解釈してしまうのも一つのやり方です。あるいは、端的に、アメリカ本土への中国・北朝鮮ICBM等での攻撃の場合に限っては、他国を防衛するための、いわゆるフルスペックの集団的自衛権を認めるべきだと思います。ミサイル防衛については、米本土の防衛と、日本周辺と言う戦域防衛の区別が曖昧になり、シームレスになっている、との指摘もあります。

wedge.ismedia.jp

しかし、政府は現在のところ、こうしたフルスペックの集団的自衛権は認められていない、憲法改正にあたっても、9条2項の削除はしない、なぜなら、削除すれば他国防衛のためのフルスペックの集団的自衛権を認めることになるからだ、と言っています。

www.sankei.com

確かに、4年前にあれだけ大騒ぎして平和安全法制を決めた後、今の段階で他国防衛の集団的自衛権容認とは、政府は自分から言い出せないでしょう。それならそれで、アメリカ本土への中朝のミサイル攻撃を日本が迎撃するのは、平和安全法制上、基本的に認められるという点をはっきりさせるべきです。これにより、日米両国民が中国・北朝鮮という共通の脅威に対して、結束してあたるべきだという信頼感が生まれ、日本の防衛が一層確かなものになるはずです。

もちろん、中朝からの圧力は更に強まるでしょうから、政府はまずは日本国民から信頼を得なければいけません。これまでのように、防衛省自衛隊が情報公開をまともにしない姿勢を完全に改め、万一の戦争被害への十分な補償を行う制度も作り、国防は政府のためではなく国民のためのものだ、と国民が本当に思えるような改革を行うべきです。