日本の改革

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枝野氏、逃げの一手の党首討論:年金の対案は自公との合意の枠内の話、解散には言及一つなし。

党首討論、枝野氏のヘタレぶりが特に際立ちました。年金では、批判は突っ込み不足、対案は自公と合意した「社会保障と税の一体改革」の枠内、解散は言及さえなしです。

党首討論、枝野氏はダメダメ、玉木氏はまあまあ、志位氏は論外、片山氏はうまかった

昨日の党首討論、メディアの評判は散々ですが、時間がとても短いので、仕方のないところはあります。総理の答弁も、期待されたような?野党への挑発もなく、解散は否定してみせたので、こちらも大して興味をひく内容ではありません。

玉木氏や片山氏は短い時間で頑張ったと思います。それにしても、野党第一党の枝野氏のつまらなさが際立ちました。

以下、質疑の概略にコメントをつけてみます。

(質疑の文言等は、実際とは違うときがあります。)

枝野氏の討論

枝野

総理は、国民が年金の何を問題と考え、何を不安に思っていると思うか。

総理

年金によって自分達の老後の生活を賄えるかどうか、年金は持続可能なのかどうかに、不安を持っていると思う。

枝野

本質は、安心ばかりを強調して実態と向き合わないことではないか。金融庁報告書をきっかけに、多くの有権者が自分の年金だけでは老後の生活が成り立たない、にもかかわらず、安心ばかりを強調しているという姿勢に、国民が怒っているのではないか。

今回、大きな関心が広がったが、公文書の隠ぺい・改ざんも曖昧にしたままごまかした。ごまかす姿勢が生活に直結する年金だったので、関心集まった。

不安に正面から向き合うことが政府に求められる。公文書の公開、情報公開があらためて求められている。

総理

問題点は何か。平均値で見るのが問題。月々5万円赤字という表現で誤解が生じた。2500万円の預金があるという前提での話。多様な実態に対応しているかどうかが問題。低年金者への対策や介護保険料の軽減等で対応している。

様々な状況に向き合っていないのでは、という点について、持続可能性については、平均寿命が長くなったり生産年齢人口が減るので、2004年にマクロ経済スライドを導入した。現実と向き合いながら制度の改正を行っているところである。

(コメント)

今回の金融庁報告書の問題点について、枝野氏の批判は正確です。さすがに、年金だけでは足りないことを批判したりしていません。枝野氏は、この点は最初から一貫しています。批判しているのはあくまで、金融庁報告書についての政府の扱いです。

ちなみに、NHKも報じていますが、現在既に、高齢者のみの世帯の1年間の平均所得は、318万円、このうち、公的年金は211万円、働いて得た所得は70万円で22%、仕送りなどが17万円で5%です。月に6万円近くは働いて得ているので、金融庁報告書(無職者が対象ですが)の5万円不足というのは、高齢者は実感としても正しく感じられるものでしょう。

www3.nhk.or.jp

ただ、枝野氏は、政府の報告書の扱い方が問題と言うなら、報告書を受け取らない、なかったことにする等の常識外れの対応が許されるのか、もっと厳しく聞いたらよさそうなものですが、そこはスルー。森友問題等の公文書改ざんは大問題ですが、ここで出したら「またか」感が出ます。あの時と比較してどうこう、というのは評論家の言うことで、短い党首討論では、年金に関する報告書にしぼるべきでした。

党首討論に戻ります。

枝野

現実的に年金を大幅に上げるのは難しい。ただやれることがあるのにやっていない。国民年金では食べていけない。(政府が消費税引き上げで)年6万円増やすのは評価するが、多くの人は、病気や介護が必要なときを心配しているから、これに向き合うべき。

低年金で資産が少なくとも、一定の医療や介護を受けられるようにすべきだから、総合合算制度を早期に導入すべき。家計単位で医療、介護のトータルな金額で自己負担に上限をかけるべき。年金が低い人でも一定の範囲で医療、介護受けられれば、安心を高められる、と国民の皆さんに提案したい。

前提として、質量ともに医療介護が不足。医療・介護従事者の賃金を抜本的に引き上げていくべき。所得ごとの自己負担下げるべき。これは直接的には現役世代への賃上げにつながる。総理の御見解は。

総理

高齢期では年金が生活を支える柱なのは当然だが、負担もある。この6年間で新たに雇用が増えた。政権交代前は…(以下、安倍政権で雇用は良くなった話)

景気回復でマクロ経済スライドの数字は改善した。経済成長により働き手が増えることが極めて大事。運用益は経済成長で44兆円、民主党時代の10倍。経済を拡大し、雇用を増やしていくことが年金のためにも大事。最低賃金民主党時代より増えている。税収も増えている。成長と分配の好循環を作っていく。

枝野

実質経済成長率、安倍政権は1.1%、民主党政権は1.8%だった(⇒玉木氏の質問のとき、総理は「それはデフレだったからだ」と反論)。

私の問いかけには答えていない。総合合算制度、一時導入の方向だったのに、軽減税率の財源でなくなった。介護・医療従事者が重労働で低賃金、老後の安心のためのサービスの充実のために財源を投入せよというのに、一般論に逃げた。分配のやり方を抜本的に変えるべき。明確な対案として示していきたい。

(コメント)

老後の生活充実につき、年金制度の改正でいくのか、それより経済成長でいくのか。

ここは面白い骨太の論点ですが、時間があまりに少なすぎて議論が広がらず、残念でした。総理も枝野氏も悪くないというか、党首討論制度の限界ですね。

枝野氏の言う総合合算制度。昔なつかしい制度の話が出てきました。民主党政権のとき、自公と合意して作った「社会保障と税の一体改革」で、消費税を上げる際の低所得者対策の一つとして出されていました。質疑にある通り、医療・介護・保育等の負担について、家計単位で上限を設ける制度です。

財務省の資料では、給付付き税額控除や軽減税率と並んで書かれています。

 

f:id:kaikakujapan:20190620112411p:plain

出所:財務省

https://www.mof.go.jp/comprehensive_reform/soan_gaiyou.pdf#search=%27%E7%B7%8F%E5%90%88%E5%90%88%E7%AE%97%E5%88%B6%E5%BA%A6+%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E4%BF%9D%E9%9A%9C%E3%81%A8%E7%A8%8E%E3%81%AE%E4%B8%80%E4%BD%93%E6%94%B9%E9%9D%A9%27

この制度、確かに、真面目に考えれば面白い話です。医療、介護等の制度の垣根を取っ払うという意味で、ベーシックインカム的な感じもあります。制度の重複も減らせる可能性があるので、行革にも良さそうです。

ということで、悪くはないのですが、社会保障と税の一体改革案では確かに言及されたものの、安倍政権になってから棚上げ、無視されていました。枝野氏は軽減税率の財源に使われたと恨み節を言っていますが、その前から、丸っきりなかったことにされていた、というのが実態でした。

やると言っていたことをやっていないではないか、という批判は筋論としては分かります。しかし、せっかく年金に関心が集まっているところを、「約束守って」と言うより、約束違反もけしからんし、メリットを強調して拡充せよ、医療と介護の垣根を低くしろ、という大きな話につなげれば良さそうなものでした。このへんが、社会保障と税の一体改革を未だに遵守する旧民主党の限界、自公と決定的にケンカにならないヘタレさも露呈しています。

医療・介護従事者の給料増やせに至っては、やっぱり自治労への忖度か、としか感じません。

何より、内閣不信任案にも、解散にも、一切言及しませんでした。総理からの挑発もなしでしたが、自民の支持率が下がっているこのタイミングで、ファイティングポーズさえ見せないのは全く意味不明です。メディアが酷評するのも当然ですし、国民も失望感を立憲民主党に抱いたでしょう。

枝野氏は、批判を意識してか、党首討論後に不信任案を出す可能性に言及しましたが、はっきりせず、どうしようもない腰砕けです。

special.sankei.com

玉木氏、志位氏、片山氏の討論

その他の党首の討論も見てみます(こちらはだいぶ端折ります)。

玉木

金融庁の報告書につき、金融庁は大バカ者だと総理が激怒した、という報道は事実か。

総理

自分は円満に生きている、大切なことは国民に誤解を与えない資料を作ること。

玉木

(報告書を総理に渡すパフォーマンス)

麻生大臣が受け取らないのは問題。諮問したのは麻生大臣だから、ガバナンス上の問題だ。

(コメント)

金融庁の報告書の扱いについての質問で、そこを突くのは、枝野氏同様、結構な話です。「金融庁を大バカ者だ」という発言につき、総理が否定しなかったのはちょっと笑えました。

digital.asahi.com

ただ、ここでも、問題は大バカ者がどうのではなくて、「報告書を受け取るな、なかったことにしろ」という指示を、官邸が出していた、というのが問題の本質です。そこについては一切ふれなかったことが、紙媒体の報告書を渡すパフォーマンス以上に、全然ダメでした。

他の点では、もっと時間があれば面白そうな質問もしていました。年金の話で当然するべき質問は、出来ているはずの年金の財政検証を政府が出していないことについてです。そこはしっかり聞いていました。

そこから更に、5年前の検証での最も悪いシナリオより更に悪い経済指標が出ているのだから、そこを正直に言わないのはけしからん、100年安心というのは確証がない、と断じたのは大変結構な話でした。更なる負担増や給付減の可能性については、出来る限り早く国民に説明すべきです。

玉木氏は更に、報告書の問題に関して、都合の悪いことを受け取らない、なきものにするという政権の態度が国民を不安にし、消費を委縮している、として、「不都合でも真実をしっかり出して、正直に語る政治が必要ではないのか。今のままでは数字も信じられない、数字を扱う政府も信じられない。誠実な政治をやるべき。行政への信頼も、年金への信頼も得られない」と、ボルテージを上げました。この辺りはうまかったと思います。

そして最後に、国民民主党は、家計を重視する政策に変えるべきと訴えている、子育てと家賃補助やるべき、と結んでおり、「ちょっと見てみようかな」と思わせるくらいの訴求力はあったと思います。

www.dpfp.or.jp

志位氏は、マクロ経済スライドやめて、高額所得者の負担増と給付減と組み合わせれば、1兆円収入増のはずだと主張、総理から、マクロスライド廃止すると7兆円足りなくなる、バカげていると瞬殺されて終わり。

片山氏は、ほとんど時間が割り当てられていないのに、「解散はするのか」という質問にほぼ絞って、これは当然メディアでも大きく取り上げられ、大成功でした。総理はその場では、頭の片隅にもないと言っていましたが、党首討論後のNHKの解説は、解散の可能性を否定していませんでした。

結局、昨日の党首討論でも、解散するかどうかは分からずじまい。解散について、総理も野党もサプライズはなし。まことにつまらない話でした。党首討論後、片山氏はインタビューで、政府は「楽しんでるな」と言っていましたが、そんなところでしょう。私も最近そう感じていたので、解散の有無にこだわるのがバカバカしくなり、このところブログでもツイッターでもあまり追いかける気になりませんでした。

このように、政府与党は余裕綽綽のように見えますし、枝野氏が不信任案も出さずに腰砕けで立憲民主党の支持率が落ちて、このままいけば、野党は惨敗でしょう。しかし、私は今度の参院選衆院選については、やはり一番重視すべきは、選挙後に自公で3分の2割れが起きるかどうか、だと思います。もともと公明党が反対だから現状でも憲法改正は無理筋ですが、それでも自公合わせて3分の2割れは、世論には大きな影響を与えます。何のための安倍政権なのか、と誰もが思うでしょう。既に今国会、国民投票法改正案さえ通りませんでした。

mainichi.jp

羽生田氏の言う「ワイルドな憲法審査会運営」など嘘っぱちで、憲法改正やるやる詐欺が行われていることがはっきりしました。野党はやっぱり頼りないけれど、衆あるいは参で自公3分の2割れになれば、少なくとも自民の中で、ポスト安倍の話が本格化するでしょう。