日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

香港行政長官、逃亡犯条例改正を無期延期。それでも香港市民は満足しない。香港を中国民主化の特区に!

香港の逃亡犯条例改正案は審議延期。100万人デモが一定の成果ですが、民主派団体はまだ不満です。香港が中国民主化の特区となるよう、国際社会は圧力をかけるべきです。

香港政府が条例改正案の一時棚上げ。100万人デモの成果

香港政府が、逃亡犯条例の改正を期限を定めず延期しました。林鄭月娥行政長官は、「説明不足は認める。社会の分裂を招いた」と表明しました。朝日はじめ各メディアが理由の一つに挙げるのは、アメリカの下院で、香港を関税等で優遇している「香港政策法」の見直しを含めた法案が提出されたことです。他に、香港内の親中派まで反対したことや、台湾の総統選への影響、G20が近いこと等も挙げられています。

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また、日経によると、今回の条例改正が、中国にとっては、雨傘運動で問題となった行政官選挙ほどには重要ではなかったから、という見方があります。中国共産党は最初から関心がなかった、今回のことは香港行政長官の勇み足だ、という見立てですが、どうも、中国共産党のメンツを立てるための後付けの言い訳にも見えます。

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ポリティコは、米中両政府とも、香港でもめるのは避けたいのが本音だ、としています。トランプ政権は、香港政策法についても、中国政府自身が力で介入する等の事態がなければ、同法を見直さないだろう、という米政府高官の声を紹介しています。逆に言えば、人民解放軍がデモを本気で制し始めたら、アメリカも対抗措置を取る、ということです。それなら、中国も香港に直接手を出しにくいでしょう。

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それにしても、驚きました。100万人デモが、これほど早く、一定の成果を上げた形です。デモが始まったころには、香港行政長官も中国政府も強気一辺倒の姿勢に見えました。しかし、そんなこととは関係なく、香港市民が必死のデモで、見事にあの中国共産党を押し戻した形です。

それでも、民主派団体は全く満足していません。発表はあくまで条例改正案の審議の「延期」に過ぎず、改正案の「撤回」ではないからです。朝日によると、民主派団体「民間人権陣線」は記者会見で、改正案が撤回されるまで抗議を続ける方針を明らかにし、今日も予定通り大規模デモを実施する、ということです。

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こうなればもう、香港の民意は止まりません。「無期延期」は、実際は香港当局と中国共産党のメンツを考えた事実上の撤回かもしれませんが、油断が出来ないのは確かです。

ザ・ヒルには、「アメリカは今度こそ正しいことをすべきだ」という論説が載りました。天安門事件当時に、ブッシュ父政権が裏では鄧小平に外交関係は変わらないと伝えていたことを批判したうえで、2009年のイラン民主化デモの時にも、2014年の香港での雨傘運動のときにも、事実上何もしなかった米政府の姿勢は間違いだとして、今回の香港のデモは支援すべきだ、という趣旨の記事です。全くその通りです。

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今日以降のデモがどうなるかは分かりませんが、日本含めた国際社会は、G20の場を含めて、中国・香港当局に対して、条例改正案の「完全撤回」を要求すべきです。

雨傘運動の指導者・周保松氏が主張する「香港・中国民主化特区構想」

朝日新聞は、中国が香港の大規模抗議行動に譲歩したのは胡錦涛の時代までで、強権的な習近平の下では雨傘運動は失敗した、今度も習近平が譲らないのでは、というトーンで書いていました。これについては、以前、本ブログでも紹介しました。

香港で、中国への犯罪人引渡に反対する100万人規模のデモ、「一国二制度」の危機。一方、日本政府は、中国と犯罪人引渡条約を非公開で協議中。日本の言論の自由を守ろう。 - 日本の改革

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しかし、今回は、少なくとも当面、デモが大きな成果を上げました。

雨傘運動と今回の逃亡犯条例改正案とでは、性質が違うのは確かです。日経ビジネスの池田信太朗氏は、2014年の雨傘運動のときは、香港行政長官の民主的選挙と言う「いまないものを求めた」けれそ、今回のデモは、香港での言論・人身の自由という「いまあるものが失われようとしていることを食い止める」という闘争だ、としています。

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確かにそうでしょう。しかし、雨傘革命で失敗したデモという手法が、一定の成果を生んだということは、今後のあらゆる運動に対し、大きな自信を与えたはずです。これから、条例改正案の撤回はもとより、香港行政長官の選挙にも、いずれは要求が広がって、デモ等の手段による行動が起こされるでしょう。今回の件で、香港行政長官の権威は、地に堕ちたからです。香港の統治機構の根幹である一国二制度を完全に否定するような改正案を準備し、反対されてもこれに固執し、強行突破しようとしてもその力もないことまで露呈したからです。

では、今後、香港の民主化運動は何を目指し、どこに向かうのでしょうか?雨傘運動の指導者・周保松氏は、昨年の日本での講演で、香港は中国民主化の特区を目指すべきだ、と主張しています。

周氏によると、香港返還以降、香港の中では、民主化要求も含めてどんどん成熟化が進む、しかし、中国共産党の大陸での統治は逆に、どんどん強圧的になっていく、という矛盾が生じていました。そして、民主的な支持のない香港行政長官の統治能力も落ちていると言います。そうした一国二制度の失敗を踏まえて、「香港独立論」も出ているようですが、周氏は、香港を中国全体の民主化の特区にすべきだ、と主張しています。産経の記事から周氏の講演内容を引用します。

「中国政府に十分な自信と知恵があり、かつ香港に対する信頼を持つことができれば、香港を政治的な実験場、政治特区にすることができるだろう。香港で民主主義を実践し、将来的に中国全体で民主化する際の参考にするという選択肢だ」

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確かに、この目標でしたら、実現可能でしょうし、恐らくは香港の世論にも、国際社会にも支持されるでしょう。中国民主化について、「一国二制度」をテコに、民主化運動の実績も踏まえて、まずは特区から徐々に、しかし中国とは離れずに、という漸進的で現実的なアプローチだからです。

周氏自身は、この講演を行った昨年の時点では、それでも雨傘運動が失敗し、中国の支配が強まっているという現状が問題、としていましたが、今回、民主化運動が現実の香港政治を動かせることも、国際社会の後押しもあることも、香港政府も中国共産党もそう簡単に弾圧など出来ないということも分かりました。

周氏の「香港を中国民主化特区」にするという理念・目標を、香港市民と、日本含め国際社会が共有して、一致して中国共産党に主張すれば、香港での民主的な選挙も、そして、中国本土の民主化も、必ず実現可能です。

日本含む国際社会は、民主化特区・香港」に、今後とも関心を持ち、民主化運動を応援をしていくべきです。