日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

イラン革命防衛隊がホルムズ海峡のタンカー攻撃?一司令官が中東全域を不安定化させ、イラン自身を危険に。

ホルムズ海峡のタンカー攻撃は、イラン革命防衛隊による可能性があり、アメリカの強硬姿勢は一理あります。この組織の一部隊の一司令官が、中東全体を長期間にわたり不安定化させています。日本は、エネルギーの中東依存を下げた上で、中東諸国にも統治の近代化を求めるべきです。

タンカー攻撃は、イラン革命防衛隊の仕業か。

安倍総理がイラン訪問中、ホルムズ海峡でタンカー2隻が攻撃されました。イラン革命防衛隊による証拠隠滅と思われる映像を、アメリカが公開しています。

www3.nhk.or.jp

BBCによると、アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は、イランを名指しして、こう批判しました。

「この判断は、機密情報、使われた武器、作戦遂行に必要な専門技術のレベル、船舶に対する最近のイランによる攻撃、そして、これほど高度に洗練された行動を取れる胆力や熟練度をあの地域でもっている組織は他にないことに基づいている」

これに対し、イラン政府職員がBBCにこう話しています。

「『誰か』がイランと国際社会の関係を不安定にしようとしている」

www.bbc.com

誰が、イランと国際社会の関係を不安定にしているのでしょうか。タンカー攻撃を行ったか否かとは別に、「イランと国際社会の関係を不安定にしている」人物を、ウォールストリート・ジャーナルは、名指ししています。それは、イラン革命防衛隊で対外工作を担うコッズ部隊(クドス部隊)のカセム・ソレイマニ(スレイマニ)司令官である、と。同紙社説から引用します。

イランの戦略は、エネルギー輸送の生命線であるホルムズ海峡で脅威を与え、原油価格を押し上げることで欧州と日本をおじけづかせることだ。

 こうした攻撃の余波で欧州がイランの軍事的圧力に屈するようなことになれば、想定され得る中で最悪のシナリオとなるだろう。イランの外交政策は、イラン革命防衛隊で対外工作を担うコッズ部隊のカセム・ソレイマニ司令官によって実行される。同司令官は敵対する相手が屈服するまで何度も軍事的に攻撃する。その一方でイランは、穏健な顔としてジャバド・ザリフ外相を世界に派遣する。

jp.wsj.com

社説では、イランの外交政策が、スレイマニ司令官によって「実行される」となっています。しかし、実際のところ、こうした危険な瀬戸際外交は、ハメネイ師やロウハニ大統領のようなトップよりも、スレイマニ自身が主導権をもって決定し、承認を得て実行しているのかもしれません。相当長期間、中東全域での作戦行動の実権を握り続けているからです。

Foreign Policy誌のスレイマニに関する記事(Stanley McChrystal )によると、彼のキャリアは大変長く、他国では、たとえばアメリカでは、一司令官に何十年も、これほど広い地域で強大な権限を持たせた作戦行動などさせない、ということです。この記事は、熱心で目先の目標実現を追及するスレイマニは、悲惨な結果をもたらしうる危険な存在だ、と警戒しています。

foreignpolicy.com

ジャーナリストの黒井文太郎氏が、中東全体でのイランの勢力拡張、特に、スレイマニの率いるクドス部隊が果たす大きな役割について書いています。

黒井氏によると、現在、クドス部隊が暗躍しているのは、主にイラク、シリア、イエメンで、イランはクドス部隊を通じてこれらの地域の親イラン勢力の支援に、現在も年間10億ドル(約1113億円)を支出しているといいます。イエメンではフーシ派への支援、イラクでは、政府も実質的にイランの影響下におき、政府外のシーア派民兵はクドス部隊の下にあるとのことです。

最悪はシリアで、民主化を求めるアラブの春を弾圧してから続いているアサド政権の大虐殺は、ロシアの空爆だけによるのでなく、地上ではスレイマニ率いるクドス部隊こそが主導してきたようです。ロシア軍を引き入れるという外交的判断さえ、スレイマニがリードした可能性が指摘されています。

jbpress.ismedia.jp

このように強大な権限を持った一部隊の一司令官が、外交・安保政策を決定・実行しているイランの現状は、極めて危険です。

今回のタンカー攻撃に見られるように、その意図は極めて近視眼的、その方法は緊張を高める極めて危険なものです。安倍総理の今回のイラン訪問が、成果は最初から望めなくとも、少なくとも平和を目指してのものであったのは確かで、ハメネイ師もロウハニ大統領も、一応はその目的を共有したから安倍氏に会ったはずです。裏でスレイマニらに指示をした可能性ももちろんありますが、逆に、これまでの実態を見れば、スレイマニが主導した可能性もあるでしょう。

軍人に、それも、対外的な秘密工作を行う現場の一司令官に、強大な権限を長期間持たせているイランの統治機構自体が、イラン政府も、イラン国民も、国際社会も危険にさらしています。

日本は再エネ開発加速で中東依存度下げ、中東諸国に自由と民主主義を要求すべき

日本の平和安全法制の立法の議論で、存立危機事態として当初例示されていたホルムズ海峡での我が国権益に対する攻撃が、遂に現実のものとなりました。防衛省は冷静で、攻撃が持続的でないから、存立危機事態ではないとして、自衛隊は送らないと決定しています。今後のイランとアメリカの対応次第では、別の対応も必要となりえます。維新も、もう「日本周辺に限るべき」などと言っていられないでしょう。

軍事的対応以外で、日本は何をすべきでしょうか?

徐々に行われてきたことですが、中東へのエネルギー依存度を、劇的に下げる、中長期的には、ゼロを目指すべきです。どうせパリ協定の義務を果たすためには、2050年には温室効果ガスの排出はゼロにするべきなのですから、石油・天然ガスの輸入自体が不必要になるよう、再生可能エネルギー100%を本気で目指すべきです。

そのようにして、中東諸国に弱みを握られないようにして、しかしそれ以外の貿易・投資・技術移転・文化交流はこれまで以上に惜しみなく続けて信頼を得て、イランを含めた中東諸国に、国民の自由を保障し、民主化を進めるよう、政府の統治機構もシビリアン・コントロールが効くよう、求めていくべきです。民主主義国のイスラエルも含めてやるべきことかもしれません。軍部主導、現場司令官主導の外交・安保政策というのも、中東全体を不安定化させている一因ではないでしょうか。イランの場合には明らかにそのように見えます。

イラン自身のため、国際社会のため、厳しくても真摯にイラン政府に聞いてもらえる意見を言えるような、そんな外交を日本は目指すべきです。