日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

トランプ、また失言。弾劾はなくても、世論調査では既に民主党候補がリード:もし民主党政権になったら、アメリカの政策は?

トランプ大統領が、外国政府から大統領選候補の情報持ちかけられても、FBIに伝えない可能性を示唆し、批判されています。弾劾はなさそうですが、世論調査では民主党の候補数人がリード。民主党政権になったときのアメリカの政策の変化を考えます。

トランプ、今度こそ致命的失言か

ABCのインタビューで、トランプ大統領が、外国政府から大統領選の他の候補のスキャンダルの話が出たら、その話を聞くだろう、と発言しました。この場合、FBIに報告すべき義務があるようですが、これについて、最初はFBIに報告しないと言った後、するかもしれない、とも言いました。インタビュアーから、FBI長官はそうした場合報告すべきと言っていると指摘されたら、長官が間違っていると。

abcnews.go.com

トランプ大統領は、2016年の大統領選で、トランプ陣営がロシアと接触した点について捜査されていましたが、結局、訴追に関する大統領特権もあってか、特別捜査官は証拠不十分と判断し、捜査は終結していました。トランプ氏はこれで疑惑が晴れた、としていました。ところが、今回の発言は、せっかく過去の大統領選の疑惑が一段落したところなのに、来年の大統領選で、外国政府からの選挙戦に関する情報を受け取る、という発言を自らしてしまいました。これがメディア、民主党はもとより、身内の共和党からも、強く批判されています。

thehill.com

ただ、ザ・ヒルによると、民主党は弾劾まで持ち込むつもりはありません。今回の発言はトランプ氏の戦術だ、という議員までいるようで、ペロシ下院議長も、弾劾はやる気がないようです。

thehill.com

ロシア疑惑にしても、今回の失言にしても、あらためて感じるのは、アメリカ大統領というのは、相当強く法的に守られた立場だということです。そのうえ、大統領の支持率は底堅いものがあるので、民主党もうかつに攻められないのでしょう。民主党は、途中で弾劾によって辞めさせるのはもう無理筋だから来年の大統領選で勝てばいい、というスタンスに見えます。

実際、最近の世論調査で、トランプ大統領は、民主党の予備選に名乗りをあげた数人の候補に、リードを許しています。トランプ対民主党候補、一対一でどちらが良いか、という質問に対して、世論調査で定評のあるキニピアック大学の調査結果では、バイデン53%に対して、トランプ40%で、13%も負けています。他の候補(まだ予備選前ですが)についても、

サンダーズ対トランプ 51 - 42 
カマラ・ハリス対トランプ 49 - 41 
ウォーレン対トランプ 49 - 42 
ブティジェーグ対トランプ 47 - 42
ブッカー対トランプ 47 - 42 

ということで、有名どころには全敗です。

National (US) Poll - June 11, 2019 - Top Dems Lead Trump In Head-To | Quinnipiac University Connecticut

まだまだどうなるかは分かりませんし、景気さえ良ければ、スキャンダルや失言は響かないかもしれません。ただ、ロシア疑惑が片付いたと思った後に外国政府への態度がおかしいと見られたら、相当マイナスにはなると思います。

民主党政権では、同盟国との関係強化、高所得者増税、関税利用控える一方、米中冷戦とIT大手への規制強化は継続

では、仮に民主党政権になったら、アメリカの政策はどう変わるのでしょうか?民主党の予備選候補者は大変な乱立ぶりで、それぞれ政策は違います。ここでは、トップを走るバイデン氏を軸にしながら、誰がなっても民主党政権はこうなるのでは、という政策を予想してみます。

バイデン氏はもともと、民主党の中では穏健・中道派で、極端に右や左に寄らないので、安心感もあって一番支持されてきたようです。これまで、政策ではっきりしたことを言わないのも奏功してきたようです。

ところが、ロイターによると、最近急激に「左旋回」していると言います。もともとカトリックで中絶反対だったのを賛成(連邦政府資金を中絶に使うことを禁ずる条項に反対)したり、温暖化政策で厳しい立場にしてみたりしているようです。

これは、同氏の主な支持層である中高年・中道・産業界・労組等が反対するような政策ですが、党内左派(ロイターは「改革派や進歩派、ミレニアル世代」と言っています)などの票を、バイデン氏も無視できなくなったようです。

jp.reuters.com

だとすると、中絶賛成や厳しめの環境政策に加え、党内左派が主張し、世論調査でも高い支持率を示している別の政策、たとえば、富裕層の所得・資産への増税は、バイデン氏であれ誰であれ、ある程度取り入れざるを得ないでしょう。オカシオ・コルテスやウォーレンが主張する富裕層への課税強化については、本ブログでも取り上げました。

所得再分配のため、米国民主党議員は大金持ちに課税しろと言い、日本の旧民主党議員は消費税率を上げろと言う。 - 日本の改革

また、ウォールストリートジャーナルによると、共和党民主党超党派で一致している政策もあります。対中貿易への強硬姿勢とIT大手プラットフォーマーへの規制強化です。民主党の大物議員がいかに中国に厳しいスタンスか、記事から引用します。

この超党派の対応を象徴する人物は、民主党のチャック・シューマー上院院内総務だ。シューマー氏とトランプ氏はともにニューヨーク出身で互いを良く知りすぎており、ほとんどの事柄について狙い撃ち式の争いを演じているが、対中貿易問題は例外だ。

 トランプ氏が先月初めに中国産品への関税を引き上げた際には、シューマー氏は「(トランプ)大統領よ、対中強硬姿勢を貫け。一歩も引くな。強さは中国に勝利する唯一の方策だ」とツイートした。シューマー氏は中国を「略奪者」と評し、中国政府について「規則を曲げ、規則を破る」ような「不公正な競争相手」と批判しているが、同氏のこうした対中貿易政策に関する発言はしばしば、まるで熱烈なトランプ支持者のもののように聞こえる。

一方、トランプ外交のうち、同盟国にもケンカを売る路線を、民主党は強く批判しています。

jp.wsj.com

ポリティコは、バイデン氏の対中政策について、オバマ政権の副大統領時代の実績をもとに、言うほど中国に甘くはなく、むしろ同盟国と結束を固める形で中国に圧力をかけるだろうし、中国に対抗するためにもTPPへの復帰を考えるだろう、としています。内政では、教育投資やインフラ投資を増やすと予想しています。

www.politico.com

以上をまとめると、民主党政権では、以下のような政策になると予想します。

1.内政

・富裕層への所得税と資産税の強化

・教育、インフラ投資増

・IT大手プラットフォーマーへの反トラスト法規制:分割も視野

温室効果ガス排出規制強化

・中絶等の問題ではリベラル寄りにふれる

2.外交安保

・米中冷戦継続

・同盟国との貿易戦争は控える

・TPP復帰

内政での富裕層課税や環境規制強化は経済にマイナスに見えます。ただ、トランプ政権での法人税減税は、アメリカ企業の国内回帰にもつながったようですし、止めないんではないかと思います。法人税減税を続けて、教育・インフラ投資を増やして、民主党の目論見通りに中間層の生活がいくらかマシになれば、経済にはむしろプラスかもしれません。

日本やEUとの貿易摩擦は弱まるでしょうし、TPPにアメリカが復帰してくれるなら、日本にとっては有難い話です。若干頼りないものの、バイデン氏が大統領になっても、中国との冷戦は続くでしょう。

TPPは一帯一路に対抗するという側面もあったのだから、なおさらです。日米が再びTPPで合意すれば、かつてそうだったように、むしろ中国や韓国がTPPに入りたいと言い出すでしょう。そこで、技術の強制移転や不公正な産業補助金をやめろ、とTPP諸国が一致して要求すれば、中国は言うことを聞かざるを得なくなります。もともとそのためのTPPです。

ということで、日本は、現在の中国に対する政策、特に、一帯一路への事実上の協力等を、ただちに止めるべきです。現在のトランプ政権でアメリカの側につくことになりますし、仮に民主党政権になっても、TPPを武器に中国を変えることが出来るからです。来年の大統領選はどうなるか分からないのですから、今から、どちらが勝ってもよいような準備をすべきです。