日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

ドイツで緑の党が支持率トップ:30年間で極左政党から若者支持の国民政党に脱皮。日本の第三極が参考にすべき点は?

・ドイツで緑の党が支持率トップに。かつての極左政党から国民政党に変わりつつあります。一方、労組政党の社会民主党SPD)と、保守派のキリスト教民主同盟(CDU)は退潮です。

・日本で既存政党を批判してきた第三極政党は、若者の支持を集めるために、反原発地球温暖化、親EU、寛容な移民政策等の政策は参考にすべきです。緑の党のように連立政権に加わることも、将来の政権交代につながるなら、検討はすべきでしょう。

緑の党、ドイツで支持率トップ。欧州議会でも、地方選挙でも躍進。

ドイツの環境政党緑の党」が6月1日公表の世論調査で初めて支持率トップになりました。日経によると、調査機関のフォルザが実施した世論調査で、緑の党の支持率が27%となり、CDU・CSUの26%を上回りました。SPDは12%にとどまり、極右、ドイツのための選択肢(AfD)が11%です。緑の党は5月26日投開票の欧州議会選挙でも、20.5%の票を集めて第2党に躍進したばかりでした。

www.nikkei.com

支持率低迷等により、労働組合に支持されるSPDでは、ナーレス党首が引責辞任をしました。日経が、SPD退潮の背景について、こう書いています。

世界の社民勢力の源流を自負する名門政党の大票田は「労働者」だった。だがグローバル化や雇用の規制緩和労働組合の加入率が下がり、長い伝統は「古くさい」というイメージになった。
(中略)
「親欧州」と言いながら南欧を助けることに消極的な党内右派に気兼ねして具体策はなし。「民主主義を守る」と誓いながら党内の親ロシア派に配慮してプーチン政権に断固たる態度をとらない。環境問題でも、産業界の負担増を嫌う労組の顔色をうかがって企業に厳しい政策を打ち出せない。

r.nikkei.com

労働組合を含めた既得権団体が国民から離れた存在となれば、労組頼みの政党が支持を失うのは当然のことです。そして、緑の党は、この社民党の票を食って伸びた、とも言われています。この見方によれば、左翼から左翼に票が移っただけ、ということになります。

しかし、必ずしもそうとは言い切れません。今回の欧州議会選挙では、左翼だけでなく、保守的なキリスト教民主主義勢力も退潮の傾向が見られる、と、朝日新聞の国末憲人氏が書いています。

digital.asahi.com

また、昨年のドイツ国内の地方選挙では、左翼票だけでなく、保守票が緑の党に流れた、と言われています。

岡崎研究所Wedgeに書いた記事によると、去年10月のバイエルン州議会選挙では、1958年以降ずっと単独過半数だったCSUキリスト教社会同盟)が、得票率約37%で大敗(第一党は維持)、同じ10月のヘッセン州議会選挙では、CDUが得票率27%と、やはり大敗でした。SPDはそれ以上の惨敗、緑の党と右翼政党AfD(ドイツのための選択肢)が躍進しました。この記事は、以下のように分析しています。

 今回の選挙結果は、ドイツ政治の構造的な変化も表している。難民・移民問題をめぐり排外主義的なAfDが躍進したとよく指摘されるが、AfD以上に伸びているのが緑の党である。(中略)CDU・CSUが失った票は、AfDよりも、むしろ緑の党に多く流れたとの分析がある。CDU=保守、緑の党=リベラルという分け方が単純には成り立たなくなっているように見える。

 緑の党の支持者には若者が多いという特徴も見られる。緑の党の支持者は教育水準が高く豊かな傾向にもある。今回躍進した2州は、いずれも経済的に裕福な州である。今や、緑の党は、移民容認、貿易重視、多様性重視といった「開かれた社会」の標榜者の潜在的代表者といえるかもしれない。他方、長年リベラルの代表者であったSPDは凋落が著しい。SPDは国民政党と言っても、結局は労働者の党である。しかし、ドイツではブルーカラーの労働者は減り、労働組合への加入者も減少が続いている。社会主義政党の没落は、ドイツに限らず欧州で広範に見られる現象である。また、SPD緑の党と対照的に、デジタル時代、環境時代に対する解答を持ち合わせていないという指摘があるが、その通りであろう。

wedge.ismedia.jp

緑の党が躍進したのはドイツだけではなく、欧州議会全体で、緑の党系の環境政党が伸びて、第四党になりました。

岡崎研究所のドイツに関する上記の分析は、西ヨーロッパにはあてはまる部分が多いでしょう。事実、毎日新聞は、欧州議会選挙では、緑の党やその系列の環境政党が、反EUを主張する右翼勢力を嫌う層の受け皿になった、としています。更に、スウェーデン人の少女グレタ・トゥーンベリさん(16)による環境問題に関するデモが、若者を中心にヨーロッパ全体に広がったという背景を指摘しています。

要は、移民問題と環境問題が両方とも後押しとなり、左右の古い既存政党が各国で見放され始めたため、緑の党が躍進した、ということです。

mainichi.jp

日本の第三極政党は緑の党から何を学ぶべきか?

では、日本は、ドイツ緑の党から、何か学べることはあるでしょうか?私は、日本の改革を目指す、いわゆる「第三極」政党にとっては、いくつか参考にすべき点があると思います。

第一は、環境政策の重要さです。この点では、日本とヨーロッパの世論は同じではないでしょうが、環境問題は、日本でも実感されてきた温暖化の悪影響と、中国の輸入停止で喫緊の課題となったプラスチックごみ問題等、極めて重要な課題になっています。こうした問題は、所得水準や教育水準が高い若者には、やはり訴求力があるでしょう。そもそも持続可能な成長というのは若者のための目標なのですから、ドイツで緑の党が獲得したような支持層を得るためには、環境政策の優先順位を大きく上げなければいけません。

この点、現状では、自民党旧民主党はダメでしょう。地球温暖化では、自公政権は2050年までの温暖化ガス排出ゼロとは言っていません。旧民主党系は、脱原発に消極的です。

日本維新の会は、若者に支持を広げたいと思ったら、原発フェードアウトという曖昧な言い方から原発(実質)ゼロに舵を切るべきです。また、地球温暖化政策をこれまでほとんど言っていないので、そこを充実させる必要があります。

地域政党で言えば、都民ファーストの会は、小池知事とサステイナブルな都市を目指すという方向は共有して、海洋プラスチック憲章の問題では存在感も見せました。今後一層、環境問題重視の姿勢を見せるべきでしょう。

第二は、移民政策についてです。移民の人権を保障し、それが可能な範囲で出来るだけ受け入れるという政策であれば、所得・教育水準の高い若者にアピールする可能性が高いでしょう。自公政権がやっている入管制度の改正と技能実習制度温存は、安い労働力を手に入れたいというだけで、外国人の人権も、賃金が下がりかねない日本の労働者の利益も考えていません。外国人の人権をきちんと保障したうえでの移民政策、という選択肢が、若者の支持拡大には有効でしょう。

最後に、政権との間合いについてです。ドイツ緑の党は、1998年から2005年まで連立政権に加わり、安全保障も含めて主張が現実的になっていきました。

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日本の第三極は、国政で唯一残った日本維新の会は安全保障については現実派ですが、問題は、連立政権を組むことの是非です。自公と組んではあっという間に取り込まれ、改革など全く出来なくなるおそれもあります。このため、私は維新が連立に参加することには反対でした。しかし、緑の党は、何年か連立政権に参加して、現実的な方向への変化はしても、アイデンティティを失いませんでした。かえってその後、若者を含めて支持を伸ばし、現在では支持率トップです。こうした緑の党の実例を見れば、もしも、政党自体の解消や自民党に吸収合併されることを行わず、あくまで最後は自分達が中心の政権を作るということであれば、連立も一つの選択肢だと思います。

いずれにせよ、ドイツ緑の党の現在は、日本の改革のために、いくつか参考になる視点を提供していると考えます。