日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

日米が天安門事件を許したことが全ての間違いの元。日経、朝日、産経が一致して「日本は中国に民主化を求めるべき」と主張。

今日の要点

・1989年6月4日の天安門事件から30年です。国際社会、とりわけアメリカと日本は、天安門事件に対する制裁も民主化要求も、すぐに取り下げました。アメリカはこれを誤りと認めて新冷戦を開始しましたが、日本は反省なく中国に協力しています。

・今や、日経、朝日、産経の社説が一致して「日本は中国に民主化を求めるべき」と、全く正しい主張をしています。日本政府は、短期的な経済的利益の追求ではなく、長期的な経済的利益自由民主主義という普遍的価値の実現のため、中国に民主化を要求するべきです。

天安門事件30年。過ちを認めたアメリカと認めない日本

1989年6月4日の天安門事件から、今日で30年になります。ウォールストリートジャーナルによると、民主化デモを弾圧する戦車の隊列に対し一人で対峙した人物(いわゆるtank man)の動画や画像は、中国では徹底的な検閲、削除をされ、今では若い世代には、その動画・画像の意味が分からなくなっているようです。そのうえ、中国は、外国に対してさえ、イメージコントロールを狙っています。記事から引用します。

中国政府はここにきて、世界においても、同じように自国の歴史のイメージをコントロールすることを狙っている。習近平国家主席とその側近らは、インターネットを「イデオロギーの戦場」と位置づけ、中国共産党はそこで勝利し、世界の世論に対する同国の影響力を拡大しなければならないと主張している。習政権は中国国内の情報統制を強化するだけでなく、自国の基準を外国人にも押しつけようとしているのだ。

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各国政府は、平和的な民主化要求デモを機関銃と戦車で弾圧する国をほっておけば、いずれは自国民の言論の自由まで奪われかねない、ということを、1989年の時点で、もっと真剣に自覚するべきでした。

振り返ってみれば、アメリカと日本は、天安門事件に対する制裁を真っ先に取り下げてしまった二国であり、現在の中国による人権弾圧と対外侵略に対して、重い責任があります。

よく言われるのは、日本が天安門事件後に対中制裁を解除し、天皇訪中を実現させてしまったことです。これについては、産経があらためて批判しています。記事から引用します。

天安門事件後、政府は欧米に先駆けて対中制裁を解除し、当時の天皇陛下の訪中を実現させた。中国の銭其●(=王へんに深のつくり)元副首相は、日本が西側の経済制裁を打破する際の「最もよい突破口」となったとし、「天皇がこの時期に訪中したことは、西側の対中制裁を打破するうえで、積極的な作用を発揮した」(『銭其●(=王へんに深のつくり)回顧録』)と明かしている。

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しかし、実は、日本政府に先立って、アメリカが抜け駆け的に対中制裁の解除に動いていました。

AFPBBによると、事件から1カ月後の7月、仏アルシュで先進7カ国(G7)首脳会議(サミット)で、当時外務審議官(経済担当)だった国広道彦氏が、対中制裁強化で足並みをそろえる他国に対し、中国の孤立は好ましくないと主張しました。これに対し、スコウクロフト米大統領補佐官は「日本は天安門事件の再発を憂慮していないのか」と批判しました。

ところが、なんとそのスコウクロフトが、実は同年7月初めに極秘訪中し、鄧小平と会談していたのです。日本の外務省は怒り心頭だったと言いますが、当時外務審議官(政治担当)だった栗山尚一氏は「日本は早く円借款の凍結解除をしたい思惑があったのである意味渡りに船で、今度は日本が米側を利用した」と言っています。

当時の日本政府もアメリカ政府も、ろくなものではありません。

問われる日本の「天安門後」外交=学生弾圧に涙した現場-欧米と一線、対中関係改善 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

その後、国際社会は中国への制裁をやめたのはもちろん、WTOへの加盟も許し、積極的に「関与」することになります。当時は、関与を続けて中国との経済関係を強化すれば、やがては中国も民主化するだろう、というのが、言い訳でした。

ウォールストリートジャーナルのジェラルド・ベーカー氏は、この判断が間違いだったと主張しています。ブッシュ大統領は当時、「人間には商業的な動機があるのだから、中国だろうとその他の全体主義国家だろうと、民主主義への移行は止めようがなくなる」と言っていたそうです。ベーカー氏はこれに対し、天安門事件以来、過去30年間に起きたことを考えれば、こうした甘い姿勢が失敗だった、と批判しています。

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その後、鄧小平と胡錦涛の時代には、一応は経済的な「改革・開放」は続きました。中国の国民への統制も、ほんの少し緩められました。ところが、習近平は、これを完全に逆転させ、習自身による独裁を徹底させる形に、政治体制を変えてしまいました。

外交関係評議会(Concil on foreign relations)のエリザベス・エコノミー氏は、習近平による根本的な体制変革を、毛沢東、鄧小平の変革に次ぐ「第三の革命」と呼んでいます。その本質は、国内で徹底した権力集中と監視システムを敷くとともに、そうした独裁体制の制度・技術・イデオロギーを他国にも広げることにあります。習近平独裁を外国に広めるための手段が一帯一路政策であり、これは単なるインフラ整備政策ではないのです。

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中国という巨大工場・巨大市場が欲しくて、経済的利益を政治的理念に優先させ、天安門事件を許してきたツケを、今、国際社会は苦い思いで支払い続けています。中国は、経済においてさえ国有企業への補助金を増やして、内外企業への統制を強化しており、経済的にも他国との利益が両立しなくなっています。

こうした反省に立って、アメリカは昨年、対中政策を転換し、10月のペンス演説以降、ますますはっきりと、中国に新冷戦を挑むようになりました。これについては、以前もブログで取り上げました。ペンス演説から再び引用します(訳は「海外ニュース情報翻訳局」サイトによる)。

これまでの政権は、中国での自由が経済的だけでなく政治的にも、伝統的な自由主義の原則、私有財産、個人の自由、宗教の自由、全家族に関する人権を新たに尊重する形で、あらゆる形で拡大することを期待してこの選択を行ってきました。しかしその希望は達成されませんでした。

自由への夢は、中国人にとっては未だ現実的ではありません。中国政府はいまだに「改革開放」と口先だけの賛同をしている一方で、鄧小平氏の有名なこの政策はむなしいものとなっています

 https://www.newshonyaku.com/usa/20181009

米中冷戦と1989年の理念 - 日本の改革

このように、アメリカ政府は、これまでの中国に対する「関与」政策の誤りを自覚し、政策転換を行いました。

ところが、日本政府は、天安門事件後の制裁解除やその後の中国との協調外交への反省も総括もせず、相変わらず「戦略的互恵関係」という意味不明のお題目の下、とうとう中国独裁制の対外輸出戦略である一帯一路への事実上の協力までするに至っています。

日本政府は、大手メディアも求める通り、日本政府に中国へ民主化を要求すべき

こうした日本政府の誤りにつき、日本の大手メディアも、やはり自覚し始めているようです。今日6月4日、大手新聞の社説では、日経、朝日、産経、毎日が天安門事件30周年について取り上げ、そのうち、日経、朝日、産経の3紙は、日本政府に対して、中国に民主化するよう要求せよ、と異口同音に言っています。日経、朝日、産経の順に、該当箇所を抜粋します。

天安門事件の後、中国は西側諸国の制裁によって孤立した。その中国を国際社会に復帰させる道筋をつけたのは日本だった。それならば、置き去りにされてきた人権・民主化、情報自由化などでも中国に注文を付けるべきだ。

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当時、西側主要国が対中制裁を続けたなかで、日本はいち早く経済支援の再開を表明した。孤立させれば、かえって民主化が遅れてしまうと主張した。

 その見通しは甘かった。だが中国の改革を促す意欲は今こそ発揮すべきだ。あの事件の総括と民主化なくして、中国の真の発展はない。そう言い続ける責務を日本は果たしていきたい。

 

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中国に民主化を促すことは、日本の国益にも合致するはずだ。状況悪化が伝えられる中国の人権問題で、日本が世界の先頭に立つことも重要だ。
 自由と民主主義の価値観を確認して中国に向き合いたい。

www.sankei.com

中国に甘い日本のメディアでさえ、このようにはっきりと天安門事件を許したことが誤りであり、日本政府が中国に民主化を要求すべきだ、と主張しています。国民はそれ以上に、中国を放っておけば、我が国の自由と民主主義まで脅かされると感じています。

天安門事件での虐殺から30年。我々日本国民は、事件の記憶を再び呼び覚まし、次の世代に伝え、あの事件に対する日本政府の対応が間違っていたことを国民全体で認識し、日本政府を通じて、中国に民主化を要求していこうではありませんか。