今日の要点
・連合が自民党に対し、消費税増税の着実な実施を要請しました。連合が支援する旧民主系野党は参院選向きの政策協定で増税中止と言っているのだから、言行不一致です。連合は、政府への政策要望でさえ、選挙向きに二枚舌を使っています。
・連合は国民の利益はもちろん、労働者の利益も代表していません。組織率は全労働者の1割、主張は経団連と同じ。今年の選挙では、連合の組織内候補は落選させましょう。
連合が自民党に消費税増税を要請、支援する野党は真逆の主張。政府への要請さえ選挙前に二枚舌。
時事通信によると、連合の相原康伸事務局長は、自民党の岸田文雄政調会長と面会し、今年10月の消費税増税の着実な実施と軽減税率制度の「廃止」などを盛り込んだ要請書を手渡しました。
一方、その2日前、連合が支援する立憲民主、国民民主等の政党・会派は、事実上の政策協定として、消費税増税中止等で合意しました。立憲民主党も国民民主党も、連合の組織内候補を夏の参院選で出す予定です。両党の「消費税増税中止」はあてにならないということになります。この点は本ブログでも言ってきました。
立憲民主党は、「本当に」消費税増税に反対か:連合は消費税増税に賛成。自治労もおそらく賛成。 - 日本の改革
連合について言えば、自民党の岸田政調会長に向けて言うことと、国民に向けて言うことが違っているので、言行不一致、二枚舌だ、ということになります。
それだけではありません。連合は、政府に向けた政策の要望でも、選挙の前では言うことを変える二枚舌を行っています。
連合が毎年、政府や与野党に出している「連合の重点政策」ですが、2019年度には、以下の通り、2.最重点政策の(3)「「公平・連体・納得」の税制改革の実現」の中に、「消費税率引き上げの着実な実施」が明記されていました。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/activity/seisaku_jitsugen/data/jyutenseisaku2019.pdf
連合は、昨年5月、この要望書を菅官房長官に手渡しています。
連合|菅官房長官に対し「2019年度 連合の重点政策」について...(連合ニュース)
ところが、今年5月に、やはり菅官房長官に手渡された「2020年度 連合の重点政策」には、どこを見ても「消費税」という文言自体がありません。
連合|菅官房長官に対し「2020年度 連合の重点政策」に関する...(連合ニュース)
つまり、連合は、昨年は政府に対して「消費税を増税しろ」と言っておきながら、今年は選挙の年だから支援する野党や組織内候補が有利になるように、政府向きの要請書では、消費税には一切ふれなかった、ということです。しかも、目立たないように、会長ではなく事務局長が、自民党の政調会長に、こっそり本音は消費税増税だから必ず税率を上げろ、と言ったというのが、冒頭のニュースです。国民をバカにするにも程があります。
労働者の利益と乖離した労働組合、連合。組織内候補は全員落選させましょう!
連合は、消費税増税に賛成し、脱原発政策には反対です。周知の通り、民進党時代から、支援政党が脱原発政策を打ち出すのに反対してきました。消費税でも原発でも、連合は国民世論と全く逆の主張をしています。
連合・神津里季生会長、原発政策めぐり蓮舫・民進党を厳しく批判「本当に政権を任せられるのか」 定例の意見交換会も急きょ延期 - 産経ニュース
連合は更に、労働者の利益も代表していません。
厚生労働省の「平成30年労働組合基礎調査」によると、労働組合の推定組織率は約17%、労働組合加入者の中で、連合加入者は約70%、0.17×0.7=0.12で、連合は全労働者の1割程度の組織です。
もともと、大企業・公益企業・自治体等の、雇用が安定した正社員や公務員のための労働団体です。旧産業や政府系の組織が雇用者の労働者のための組織のため、原発政策を見れば分かる通り、将来を先取りする発想がまるでありません。
消費税についても、原発政策についても、経団連の主張とまるで同じような内容になっています。消費税について言えば、経団連は消費税率を2025年までに20%程度まで上げろと言っていますし、
http://www.keidanren.or.jp/policy/2015/vision.pdf
連合会長の神津氏は、消費税増税論者の井手英策氏の「オールフォーオール」という消費税増税政策を絶賛しています。
連合会長が絶賛しよみがえりつつある民進党の経済政策「All for All」は是か非か!? | ハーバービジネスオンライン
全国民に批判されても、僕が「消費税を上げるべきだ」と叫ぶ理由(井手 英策) | 現代ビジネス | 講談社(1/5)
選挙の現場でも、威張り散らす連合関係者に嫌悪感を示す人の話はたまに聞きます。農業経済学者の森島賢氏は、TPP反対なので、農業政策では評価できませんが、連合幹部が新しい労働貴族となっている、という主張をしており、そこには賛成できます。日本農業新聞上の森島氏の文章から引用します。
新しい労働貴族が生まれている。一部の労働組合の幹部が、労働者の上にあぐらをかいて、王侯貴族のように振舞っている。そうして、労働者や農業者や中小資本家など、経済的弱者の怨嗟の的になっている。
(略)
野党統一候補の選挙事務所の光景をみてみよう。そこでは、部屋の中央の大きな机に、連合の幹部がデンと座り、封建領主のような顔をして、あたりを睥睨している。
まあ、ここまで言うと、かえって「ほめ過ぎ」、過大評価のし過ぎにも見えますが、それでも、選挙の現場について言えば、これが、連合関係者の生身の姿なのでしょう。勤め先の商売も雇用形態も時代遅れの一部労働者の既得権を守るための組織、そのために、消費税増税に賛成、脱原発には反対。労働組合というものは絶対に必要なものですが、今の連合が、労働者のためにも、国民のためにも、なっているとは思えません。
消費税増税について、国民に牙をむく組織、連合。今年の選挙では、連合の組織内候補は落選させましょう。