日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

緊急避妊薬のオンライン処方指針に下らない要件いくつも:毎年16万人が人工妊娠中絶、虐待死の6割は0歳児の現実。早急に市販も認めるべき!

今日の要点

・昨日、オンライン診療指針を見直す検討会があり、緊急避妊薬(アフターピル)のオンライン処方に厳し過ぎる要件が付きそうです。産婦人科医に必ず関与させようという現状の要件案は緩和すべきです。

・女性が望まない妊娠は極めて多く、日本では毎年16万人の人工妊娠中絶が行われ、虐待死の6割は0歳児です。性教育で避妊法を詳しく教える等の対策の他、速やかに緊急避妊薬の市販も認めるべきです。

オンライン診療指針の見直し、緊急避妊薬の処方を認めるが、産婦人科医の処方と事後の診察を義務付け!

薬機法の改正案が、来週6月5日の衆議院厚労委員会で審議入りの見通しと、医療系のサイトに出ています。解散風も吹いていることですし、今国会で成立するかは微妙なようですが。

mf.jiho.jp

今回の改正では、オンラインでの服薬指導について、ほんの少しだけ解禁される方向ですが、非常に限定的なものになるようです。

関連して、既に認められているオンライン診療についても、ガイドラインが厳し過ぎて、対面なしでの診療が可能なのは、禁煙外来だけです。これについては、本ブログでも今年1月に取り上げました。

オンライン診療・投薬「解禁」かと思ったら・・・ - 日本の改革

一方、政府は規制改革実施計画で、オンライン医療の普及・促進のために、ガイドラインは少なくとも1年に1回は見直すように定めています(以下リンク文書の21ページ)。

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/publication/180615/keikaku.pdf

現在、この計画によるガイドライン見直しが、厚生労働省で行われています。議題となっているのは特に、緊急避妊薬(アフターピル)の解禁についてです。検討会のリンクはこちらです。

オンライン診療の適切な実施に関する指針の見直しに関する検討会|厚生労働省

昨日、5月31日の検討会で、緊急避妊薬のオンライン処方の要件について、役所の案が了承されたようです。

オンライン診療で緊急避妊薬処方、要件まとまる|医療維新 - m3.comの医療コラム

この問題、朝日新聞によると、処方するのは産婦人科医に限ると条件を設けるべきだと主張する日本産科婦人科学会や日本産婦人科医会と、できるだけ女性が緊急避妊薬を入手しやすくすべきだと考える女性医師らの団体(産婦人科医も参加する日本女性医療者連合等)で見解が分かれていました。

産婦人科学会等は、処方は産婦人科医だけにやらせろ、処方されたら3週間後にもう一度病院に来い、と言っています。

これに対し、要件をより緩やかにすべきと考える団体は、世界保健機関(WHO)が緊急避妊薬について「すべての女性が安全に使用できる薬」であり「医学的管理下に置く必要はない」としていること等から、処方医を産婦人科専門医に限定せず、3週間後の受診も必須としないことを求めていました。

digital.asahi.com

要望書提出に関わった遠見才希子医師(産婦人科医)は、検討会での議論に、科学的根拠のない意見が出されており、それらが根拠となって判断されるのは問題だ、と批判しています。遠見医師は、以下が科学的・医学的な基本事項であり、検討会ではそれに反する意見が出ている、として、議事録の該当箇所をマーカーで示しています。科学的基本事項のみ抜粋しますので、議事録のトンデモ議論については、遠見氏のブログをご覧ください。

*緊急避妊薬は日本で処方箋医薬品であり、現在、対面診療において、特に研修もなく診療科を問わず処方できる。

*処方するときに必要なのは基本的に問診のみ。(内診しません!)

*安全性が高く海外は薬局でも購入できる。
(1周期に繰り返し使用しても有害事象は報告されていない。万が一妊娠中に使用しても胎児に害はない。)

*WHOは「意図しない妊娠のリスクを抱えたすべての女性および少女には、緊急避妊にアクセスする権利があり、緊急避妊の複数の手段は国内のあらゆる家族計画プログラムに常に含まれねばならない。」と勧告している。

*処方3週間後の受診は必須ではない。
日本のガイドライン上→「必要に応じて来院」
WHO→医学的管理下におく必要なし
FIGO(国際産婦人科連合)→フォローアップ受診不要
(もちろん市販妊娠検査薬で陽性ならば受診を)

男児の女性化の報告はない。そのリスクを否定する論文も複数出ている。

*妊娠しているかどうかは自分で市販妊娠検査を買って、尿をかけるだけで陽性か陰性かわかる。(超重要!笑)

*性暴力被害だけでなく、同意ある行為でコンドームが敗れた場合も、なるべく早く72時間以内に内服する緊急性がある。

*私は日本産科婦人科学会員、日本産婦人科医会員ですが、会員の総意を求められる機会があったか知りません。

ameblo.jp

私には専門的な議論でどちらが正しいかは判断できませんが、素人目には、遠見氏の主張に説得力を感じます。WHOも安全だと言っているうえ、他の先進国では緊急避妊薬は市販されている例も多いためです。第一、何が何でも「産婦人科医」の診療が必要な形にしろ、というのは、絵にかいたような既得権死守、または焼け太り狙いに見えます。

産婦人科医会の要望はこちらです。緊急避妊薬をオンラインで処方した場合、一定期間後に必ず対面診療を行え(日本語訳:我々に診療報酬が入るようにしろ)と言っています。

https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000496180.pdf#search=%27WHO+%E7%B7%8A%E6%80%A5%E9%81%BF%E5%A6%8A%E8%96%AC%27

そして、昨日了承された処方の要件案でも、こうした産婦人科団体の要望が反映されています。以下は、要件のごく一部です。

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出所:厚生労働省

これではダメです。望まない妊娠について、対面であれこれ聞かれたくない(まして説教されたくない)というのは当然の話ですし、安全性が国際的にも確認されている避妊薬について、ここまで産婦人科医が関わる理由はないはずです。一万歩譲って、産婦人科医以外の医師でも構わないはずです。

この検討会について、遠見医師が指摘している問題点が、本質をついています。12人の委員のうち、女性が1人しかいません。「非科学的議論」も、想定外の妊娠をした女性への差別や蔑視が根っこにあるせいかもしれません。

せっかくですから、検討会メンバーを紹介します。遠見医師が非科学的と批判した意見を言った人達の名前が挙がっています。

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出所:厚生労働省

障がい者政策と同様、女性の権利に関わる政策も、“Nothing About Us Without Us” (私たちのことを、私たち抜きに決めないで) の原則が守られるべきです。

毎年16万人が人工妊娠中絶、虐待死の6割は0歳児。オンラインだけでなく、市販をすぐ認めるべき!

女性が望まない妊娠は極めて多く、日本では毎年16万人も人工妊娠中絶が行われています。

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/eisei_houkoku/17/dl/kekka6.pdf

また、虐待死の6割は0歳児、2割は0日児です。0日児の死亡事例については、8割が希望しない妊娠でした。

 https://www.mhlw.go.jp/content/10803000/000514060.pdf

このように深刻な現状を変えなければいけません。女性が子どもを産むか産まないか、その選択肢が確保されるために、緊急避妊薬は入手しやすくする必要があります。もちろん、現在は学校での性教育が不十分な点も問題で、学校教育の改善も同時にすすめなければいけないでしょう。

オンライン処方は第一歩ですが、更に、他国同様、緊急避妊薬の市販も、出来るだけ早く認めるべきです。