日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

2019年1~3月期のGDP、年率で実質2.1%プラス。消費減⇒輸出以上に輸入が減⇒純輸出プラス。消費税の増税延期の理由にするなら「消費不振と世界経済のリスク」

今日の要点

・今日発表の1~3月期のGDP速報、年率で実質2.1%の成長です。消費も設備投資も政府需要も減少ですが、輸出から輸入を引いた純輸出がプラスでした。輸出も輸入もマイナスですが、輸出のマイナス幅より輸入のマイナス幅が大きかったので、純輸出がプラスになりました。消費が減ったせいで輸入も減った、とも見れます。

・仮に、今回の結果のみで、消費税増税延期の判断根拠にするなら、「消費が相変わらず不振で、純輸出が伸びたとは言え、輸出も輸入も減少して世界経済のリスクが大きい」ということでしょう。

1~3月期のGDP速報、プラスの理由は、輸出の落ち込み以上に輸入が落ち込んだから。

先ほど、内閣府が今年1~3月期のGDP速報値を発表しました。年率で実質2.1%、名目3.3%のプラス成長です。以下、政府統計は正しいと仮定します(笑)。

f:id:kaikakujapan:20190520100319p:plain

出所:内閣府

https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/sokuhou/gaiyou/pdf/main_1.pdf

GDPは、昨年7~9月期に西日本豪雨や北海道地震の影響で大きく落ち込んだ後、10~12月は、元に戻り、今回はそれを上回る数字です。

実質2.1%の成長は意外に高いと感じる人が多いのではないでしょうか。例の「実感がない」というやつです。そこで、需要項目ごとに見ていきます(以下の数字はすべて、上に貼った内閣府のリンクで確認できます)。

まず消費です。民間最終消費支出は、実質▲0.1%(10~12月期は0.2%)で、そのうち家計最終消費支出は、実質▲0.1%(10~12月期は 0.2%)です。相変わらずさえませんし、10~12月期と比べて、0.3%下がっています。

次に投資です。民間企業設備は、実質▲0.3%(10~12月期は2.5%)で、こちらもマイナスです。

政府需要については、政府最終消費支出が、実質▲0.2%(10~12月期は0.7%)で、これもマイナスです。ただし、公的固定資本形成は、実質1.5%(10~12月期は▲1.4%)で、インフラ整備はプラスです。

あとは、輸出と輸入です。 財貨・サービスの輸出は、実質▲2.4%(10~12月期は1.2%)、同じく輸入は、実質▲4.6%(10~12月期は3.0%)です。どちらもマイナスです。

というわけで、家計の消費、企業の投資、政府の支出、輸出、輸入、全部マイナスです。

ではなんで、GDPが全体としてプラスになったかというと、輸出から輸入を引いた純輸出がプラスになっているからです。純輸出は、▲2.4%から▲4.6%を引いて、2.2%のプラスとなります。これが大きく利いて、GDPがプラスとなりました。

各項目の寄与度について確認すると、外需の純輸出(輸出-輸入)が0.4%、内需が0.1%です。内需については、民間需要と政府最終消費のマイナスを、公共事業のプラスが打ち消して、かろうじて0.1%のプラス、という形です。

f:id:kaikakujapan:20190520103733p:plain

出所:内閣府

この時期に、為替レートが大きく円安にふれたわけでもないのに、輸入が大きく落ち込んでいます。理由は、国民生活の実感から察するに、やはり消費がマイナスになったからでしょう。

輸出と輸入のどちらもマイナスになった原因は、米中の貿易戦争の先行きが不透明だったことが原因でしょう。日経の解説はこちらです。輸入の落ち込みについて暖冬で衣料品が不振と言ってますが、

www.nikkei.com

普通に雇用者報酬が落ちているからではないでしょうか。まあ、去年の7~9月期は自然災害であれだけGDPが落ちたのだから、季節要因でこの程度動いても不思議はないのかもしれませんが。

f:id:kaikakujapan:20190520104852p:plain

出所:内閣府

消費税増税延期の大義名分にするなら、「消費不振と世界経済のリスク」を強調。

では、今回のGDP速報値で、消費税増税や解散はどうなるでしょうか?茂木経済再生担当大臣は、早速、消費税増税は予定通り、としています。

news.tv-asahi.co.jp

二期連続でGDPがプラス、しかも、10~12月期よりも良い数字なので、もともと延期に慎重な大臣がこう言うのは当然でしょう。

今、政府内も自民党内も、消費税増税延期の是非については、割れているように見えます。私は、「消費税増税は延期ではなく凍結または撤回すべき」という意見ですが、「今回は政府は延期したくても出来ない可能性が高い」と予想しています。今の時点ではっきり方針を打ち出せないほどに政府・自民内が割れているのでは、もう時間切れだろうと思います。

一方、解散は何が何でもしたいはずです。直近の世論調査でも、内閣支持率は軒並み高い数字ですし、野党支持率は相変わらずひどいものです。読売の世論調査で、立憲民主党の支持率は前回と同じで4%です。

安倍内閣の支持率上昇43% 不支持を12ポイント上回る - 毎日新聞

内閣支持率は50% | 共同通信

無条件で日朝会談「賛成」52%…読売世論調査 : 選挙・世論調査 : 読売新聞オンライン

官房長官は、5月17日に、野党が内閣不信任案を提出すれば、それは解散の大義名分になると発言、今朝の衆議院決算行政監視委員会でも同じことを言っています。

www.jiji.com

通常国会の会期末に、野党が緊張感なく惰性で出し続けてきた内閣不信任案が大義になるなら、要は、いわゆる大義、特段の理由がなくても解散する、という意思表示に見えます。ということは、消費税増税を延期しなくても、解散するようにも見えます。

私は、先に述べた通り、残念ながらもう間に合わないから、消費税増税の延期は難しいのでは、と思っています。ただ、予定通りに消費税増税を行うとしても、やはり解散はするのではないか、と本ブログで指摘してきました。菅官房長官の今回の発言は、そのようにも読めそうに思います。大義は国会の年中行事があれば十分だ、と言っているのですから。GDPの数字は良いですし、最近の内閣支持率は大変底堅いので、増税延期なしの解散も、やはりありうると思います。

消費税増税は延期せず、かわりに大型補正予算組んで衆院解散か。企業向けバラマキの目玉は「データ資本主義」? - 日本の改革

このところ、何があっても下がらない内閣支持率。消費税増税延期できなくても、解散するのでは。 - 日本の改革

一方、直近の世論調査では、消費税増税に反対の意見が圧倒的なのも確かです。安倍総理も含め、政府・自民内で、増税延期をしたい人達は最後まで可能性を模索するでしょう。それなら、消費税増税を延期すべきという立場からは、今回のGDP速報については、どう見ることになるでしょうか?

消費税増税延期を言うためには、今回の結果につき、

「今回GDPがプラスになったのは、消費が低迷して輸入が大きく落ち込んだことが原因だ。全体としてプラスとは言っても、中身は予想以上に悪い。これは、米中貿易戦争の激化が予想されて、先行きへの不安から、国民が消費を減らしたからだ。今回の統計では、輸出と輸入の両方が大きく落ち込んでいることに着目すべきで、これは世界経済全体の縮小という外からの大きなリスクがあるからだ。現在の米中貿易戦争の激化は、リーマンショック以来の悪影響を世界経済に及ぼす可能性が高い。この状況で消費税を増税するわけにはいかない」

と評価するのが一つのやり方だと思います。消費と輸入の減少は政府のせいではなくて、米中貿易戦争という外的要因のせいだ、リーマンショック以来、あんな大きな海外ニュースは見たことないでしょ、と強調するのがミソですね(笑)。

増税延期にはそれでもハードルが高いように思いますが、消費減と輸出・輸入両方の急減は、いずれにせよ対策が必要でしょう。増税は予定通りにする代わり、補正予算を異次元に大型にすることもありうるでしょうし、いずれにしても、解散は年内に行うのでしょう。