日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

自動車の高関税も数量規制も回避し、日本国民も米政権も満足する方法:TPP以上の農産物市場の開放。維新は外交でこれを言ったら?

今日の要点

アメリカは日欧に対する自動車の追加関税に関する判断を先送りしました。しかし、数量規制も含め、アメリカはカードとして温存しています。

・自動車の追加関税も数量規制も回避し、日本国民もトランプ政権も満足できる方法は、TPP以上の農産品市場の開放です。維新は、国政選挙でこれを訴えて、外交政策についての信頼回復を図ってはどうでしょうか。

追加関税か、数量規制か?

アメリカは、自動車への追加関税に関する判断を最大180日間先送りすると発表しました。中国との交渉を優先させるようですが、この交渉はもちろんまだまだ続きます。

日経によれば、自動車の輸出数量規制を日欧に求める案もまだ残っているようです。数日前に取り沙汰されたように、「25%の自動車関税」か対米輸出台数を制限する「数量規制」の二者択一を迫る案を出してくることもありえる、ということです。日経は、「数量規制は世界貿易機関WTO)ルールの明確な違反だ」としています。

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しかし、数量規制が、本当にWTO協定違反となるかは微妙なところです。安全保障を理由にすれば、例外的に数量規制は許されますし、今回も、やはり安全保障を理由にしています。

自動車の技術で他国に負けるのは安全保障上の脅威だ、と言うのは滑稽に見えますが、笑ってはいられません。ごく最近、今年4月5日、WTOの紛争処理委員会が、安全保障を理由にした、ロシアの対ウクライナ通商制限を容認しているからです。

WTO、安保理由の通商制限容認 米政策に追い風 :日本経済新聞

アメリカの日欧に対する自動車の輸出数量規制の要求は、相応の現実味がある話と考えるべきです。

この手法は、1980年代の忌まわしい「自主規制」を思わせるものです。レーガン政権の要求に対し、日本は自動車等の輸出を自主規制する手法で、経済産業省OBも、この手法には反対しています。

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官房長官は、数量規制案については、ノーコメントです。

車輸出制限要求の米報道「コメント控える」 菅官房長官:朝日新聞デジタル

日経によれば、追加関税や数量規制に対し、珍しく、トヨタ現地法人がはっきりと反対して、アメリカ政府を批判しています。どうも、追加関税や数量規制に、全米商工会議所も自動車のビッグスリーも軒並み反対していて、トヨタだけ何も言わないのはまずい、ということのようです。まあ、本音は分かりませんが。

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八方うまくおさまるのは、TPP以上の農産品市場の開放。

このように、日本としては避けたい自動車追加関税と数量規制です。しかし、アメリカとの通商交渉は何とか妥結させる必要があります。では、どうすれば良いでしょう?

トランプ政権が狙っているのは、短期的に言えば、来年の大統領選に向けて、外交交渉上の目玉となる成果を得ることでしょう。特に、何か具体的な「数字」がほしいはずです。自動車についてだけ見ていると、すぐに数字で結果を出すのは、少し難しいと思います(輸入についてなら、やり方はあるように思いますが、それはまた別の機会にします)。

自動車の追加関税も数量規制も回避し、しかも、日本国民もトランプ政権も両方とも満足できる、ウィンウィンの政策が、TPP以上の農産品市場の開放です。これは本ブログで繰り返し主張してきましたが、自動車の輸出数量規制を回避するための手段として、あらためて訴えます。

日米貿易協定交渉:為替条項は入ってもOK、農産物はTPP以上の開放、ゆうちょ銀行等は全株売却を! - 日本の改革

日米貿易交渉を、国内改革に利用すべき。農業はTPP以上に自由化し、サービス分野で、ゆうちょ銀行等の完全民営化を! - 日本の改革

去年の秋、日本はアメリカに対し、農産品の関税はTPPの水準までしか下げないと主張し、アメリカもそれをいったん飲んでいました。しかし、トランプ大統領は、本音ではこれに不満です。アメリカの農業団体は「TPP以上の合意を」と言って、トランプ政権をせっついています。

だからトランプ氏は、4月26日の日米首脳会談で、農産物関税引き下げを突然要求してきたりしたのです。この経緯については、以前もブログで書きました。

日本政府は、アメリカに対しては農産物の関税をTPP以上に下げ、中国に対しては一帯一路から撤退せよ。10連休外交、安倍・二階の外遊で正反対の政策が進行中。 - 日本の改革

しかし、安倍政権は、この主張を簡単には受け入れられません。すぐ上のリンクで書いた通り、自民党参院選に向けて、また農業票を狙っていて、安倍総理JA全中の会長に「農産品の関税引き下げはTPPまで」と約束までしているからです。

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こうして、自動車ではトヨタさえ反対の高関税や数量規制は飲めず、農業でもJA全中との約束があるから譲れずで、とうとう、日米首脳会談での共同声明さえ出来ない、という異例の事態になりました。

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自民党は、ここは農業票を失ってでも、日本全体の消費者・日本国民の利益のために、都市部での票を重視して、農産品市場でTPP以上の関税引き下げ、輸入枠拡大、コメと乳酸品での国家貿易の仕組みの見直しを行うべきです。

そうすれば、日本国民が安くて品質の良い農産品を買うことが出来ます。関税を下げて輸入枠を増やして、国内の農業改革として株式会社の農地所有や生乳流通の更なる自由化を進めれば、国内で資金・技術の点で優れた担い手が安くて安全で質の高い農産品を供給できます。もちろん、輸入品でも、日本の消費者が選ぶような良いものが、もっと安く手に入ります。

コメの第二種兼業農家や、もう何がどうなっても廃業するしかない酪農家は喜ばなくても、日本の消費者、ひいては、日本国民は大喜びです。アメリカに対しては、すぐに農産品輸入が増えなくても、トランプ氏が批判し続けてきたTPPを上回る成果を、関税率や輸入枠という形で、つまりは、トランプ氏の何より欲しい「数字」の形で、示すことが出来ます。JA全中との約束を破ってまで、日本国民とアメリカのために頑張った!とアピールすれば、自動車の高関税や数量規制を回避するディールになるでしょう。

自民党が、以上のようなディールに向けて変われるかが問題ですが、私は変わってほしいと思ってはいるものの、まあ無理でしょう。それなら野党の出番ですが、立民も国民民主も、政府・自民党以上に農業団体の言いなりで、農業政策はどうしようもありません。

そこで、日本維新の会の出番です!

もうくだくだしくは言いませんが、丸山発言は、維新のイメージには大打撃を与えています。真摯な謝罪とともに、外交・安保について、維新への信頼回復を図るべきです。外交政策について、維新はあんなアナクロニズムではないんだ、都市型の改革政党なんだ、国際協調を望んでいるんだ、それを必死になって、国民にアピールしましょうよ。

「TPP以上の農産品市場開放」。都市の消費者のため、国際協調のため、古い政治でなく新しい政治をするんだ。維新がこう訴えて、信頼を回復し、それどころか、見直されて支持率を更に上げるきっかけにしてほしい、と願っています。