日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

大津で2歳が2人。池袋で3歳が1人。交通事故対策においても、「すべては将来世代のために」。2025年までに、小学生以下の歩行中事故死者数を「ゼロ」に。

今日の要点

・歩行中の幼児が自動車に轢かれて亡くなる事故が相次いでいます。対策は色々考えられますが、直近で出来るのは、実現可能な最も厳しい目標値の設定でしょう。交通安全対策でも、将来世代を重視した目標にすべきです。

・次の交通安全基本計画(2021~2025年度対象)では、歩道上の子どもの事故防止を特出しにしましょう。2025年度までに、小学生以下の歩道上事故死者数の目標値を「ゼロ」に設定し、国・地方・社会全体で、実現しましょう。

相次ぐ痛ましい交通事故。対策は色々。まずは、実現可能な最も厳しい目標値の設定を。小さな子どもの歩道上の事故死をゼロに。

先月、東京都豊島区池袋で、87歳の旧通産省工業技術院の飯塚幸三元院長による自動車暴走事故で、横断歩道を自転車で横断中の母子2人が亡くなりました。

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今月、滋賀県大津市で、交差点での車2台の衝突事故から車が歩道に突っ込み、歩道を歩行中の保育園児2人が亡くなりました。

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どちらも、歩道または横断歩道上の事故です。池袋で亡くなった子どもは3歳、大津で亡くなった子どもは2人とも2歳でした。こうした事故をどうすれば防げるのでしょう。

ノンフィクションライターの窪田順生氏は、歩行中に自動車の事故に巻き込まれて死亡するケースが、日本では欧米よりはるかに多い、として、「歩行者軽視」が問題だ、と主張しています。

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窪田氏の挙げる国際道路交通事故データベース(IRTAD)による各国の交通事故の比較のデータは、平成29年度交通安全白書に出ていました。孫引きですいませんが、載せておきます。確かに、他国と比べると、歩行中の事故の比率が相当高いことが分かります。

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出所:内閣府「平成29年度交通安全白書」

参考-2 欧米諸国の交通事故発生状況|平成29年交通安全白書(全文) - 内閣府

政府は5年ごとに、交通安全対策のため、交通安全基本計画を作っています。現在は第10次基本計画で、対象期間は2016~2020年度です。これから、国全体で対策を行うなら、2021~2025年度までの基本計画をどうするか、というのが大本の議論です。

(なお、基本計画を決めるのは、内閣府の中央交通安全対策会議の交通対策本部のようですが、どうも議事概要しか出していないように見えます。計画の決め方について情報公開が十分か、これはこれで後で調べてみたいと思います。)

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実は、現行の交通安全基本計画でも、これまでは車中心の対策だったのを、「人優先」に変えるべき、ということを言ってはいます。窪田氏が指摘するように、国際比較で見て歩行中の事故が多いので、これを減らすべき、ということも書かれていますし、上掲の表も載っています。そして、高齢者と子どもの歩行中の事故を減らすべき、とも書いてあります(平成28年度交通安全基本計画p14~16)。

https://www8.cao.go.jp/koutu/kihon/keikaku10/pdf/kihon_keikaku.pdf

ただ、目的について書いている部分は、「高齢者及び子供の安全確保」と、一括りですし、記述も高齢者についての言及がはるかに多いです。高齢者の方が数が多いのだから、そうなるのでしょう。交通安全基本計画では、あくまで、国全体の交通事故死傷者数の減少を全体の目標としているので、高齢者対策に重点をおく方が、より効率的に全体の死傷者数を減らせるでしょう。

多くの場合、高齢者と子どもに対する対策は共通するでしょうけれど、池袋の事故の場合のように、高齢者が加害者となるケースが非常に多いことも周知の事実です。それに、あえて言いますが、これから長い将来のある子ども達については、高齢者よりも一層、その命を守ってあげる必要があります。数は少なくとも、子どもの事故を減らすことをまず最優先にする交通安全対策にすべきです。

なお、平成30年度交通安全白書では、「トピックス」として、「児童・生徒の交通事故防止対策について」というパートも設けていますが、そこでは、事故被害については、小学生以上のデータしかなく、池袋や大津の事故のような園児等の数字は出ていません。そこに掲げられている対策も、交通ルールの遵守の話ばかり。ルールを完全に守っても就学前の子どもが亡くなった今回の二つの事故のようなケースには、そもそも目が向いていないようにさえ見えます。

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2025年度までに、小学生以下の歩道上事故死者数の目標値を「ゼロ」に!

このため、次の交通安全基本計画(2021~2025年度対象)では、歩道上の子どもの事故防止を特出しにすべきです。特に、2025年度までに、小学生以下の歩道上事故死者数の目標値を「ゼロ」に設定し、国・地方・社会全体で、実現しましょう。

これは、「リスクゼロ」ではなく、「死者ゼロ」、それも、長い将来のある子どもの死者ゼロを目指す政策です。純然たる計算上のコストが多少高くとも、社会全体で甘受すべきです。更に、これまでの実績を見て、決して実現不可能な政策ではありません。古いデータですが、平成24年度子どもの交通安全確保に関する地方自治体等の施策の実態調査報告書によると、6歳以下の子どもの歩行中の交通事故死は、2001年に10万人中14人でしたが、2011年には同4人まで減っています。この期間であまり減っていない年齢層もありますが、その年齢層については、絶対数自体がかなり小さいので、ゼロを目指すのは不可能ではありません。

https://www8.cao.go.jp/koutu/chou-ken/h24/pdf/2-2-1.pdf

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具体的な対策は、その目標に応じて、最適な政策手段を組み合わせるべきです。平成30年交通安全白書によると、ゾーニングが効果的だということなので、それを徹底するのも一つでしょう。

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大津の事故について言えば、現場の県道は国土交通省が「事故危険個所」に指定したことから県が対策を講じてはいたようなので、その対策の見直しが必要でしょうし、

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ハンプ等も、効果があるなら設置すべきです。

http://www.mlit.go.jp/road/road/traffic/sesaku/pdf/leaflet_2-2-1.pdf#search=%27%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AC%E3%83%BC%E3%83%AB+%E6%95%B4%E5%82%99%E7%8A%B6%E6%B3%81%27

対策は既に山ほど準備されていますし、実際に実施されています。

重要なのは、まずは、交通安全対策について、その哲学を変えることです。交通事故の防止についても、「すべては将来世代のために」。次の交通安全基本計画には、「2025年までに、小学生以下の歩行中事故死者数を「ゼロ」に」と明記し、社会全体で実現しましょう!