日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

トランプ元側近バノンの目指す「打倒中国共産党」:ソ連だって、誰も倒せると思っていなかった。日本国民は時代の先を見よう!

今日の要点

・トランプ米大統領の元側近、スティーブン・バノン氏が、中国共産党の脅威を訴える運動を始めました。中国にも、欧米流の「ポピュリズム」を広め、中国内部から共産党体制の変革を目指しています。この考え方は、アメリカ国内でも、一定の存在感を示しているようです。

・米ソ冷戦がアメリカの勝利とソ連の崩壊で終わったように、米中冷戦もアメリカの勝利と中国の一党独裁体制の打倒で終わります。日本はそれを早めるため、アメリカと協力して、中国の体制変革を目指した政策を、体系的に進めるべきです。

バノンの目指す「打倒中国共産党」。中国大富豪と組んで、中国国民の間でのポピュリズム普及を目指す。

トランプ米大統領の側近だったバノン元首席戦略官・上級顧問が、ニューヨーク市内の個人事務所で4月下旬、インタビューに応じた際の記事が、昨日5月4日の日経に出ていました。バノン氏は、「中国でもポピュリズム運動の機が熟した」とし発言。日経の記事から、引用します。

「(中国共産党の問題を解決する)『究極的な解』はポピュリズム運動だ。機は熟した」

バノン氏は中国・習近平(シー・ジンピン)国家主席重商主義的な政策を世界の脅威と位置づける。トランプ政権幹部として中国の「野心」を打ち砕こうとしたが、ホワイトハウスから放逐され、挫折したようにみえた。ところが「戦い」は終わらなかった。いまは中国の人権問題を告発する団体「法の支配」を支援する。情報発信を通じて中国の市民を刺激し、内部から共産党体制を揺さぶりたいようだ。

極めて野心的な構想のように聞こえるが、「数年かけて取り組む」覚悟だという。さらに米国の世論を喚起し、米政権に対中強硬策をとらせるための「仕掛け」も用意している。3月に外交や国防の専門家と設立した組織「現在の危機に対応する委員会・中国」だ。外交・安全保障政策の提言に力を入れる。

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以上のように、バノン氏は、二つの組織を通じて、中国共産党と戦うようです。

一つは、「ルール・オブ・ロー・ファンド(法の支配基金)」。中国の不正を監視する基金で、中国共産党などの不正を告発してきた中国人大富豪の実業家と組んで1億ドル(約113億円)を拠出し、バノン氏が基金を運営する会長となります。

この基金は、中国人経営者や政治家の死亡や失踪事件の調査を支援対象にして、習近平中国共産党の権力乱用がないか監視するということです。

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資金提供をするのは、米国逃亡中の実業家の郭文貴氏です。郭文貴氏は、下のリンクの記事を書いた福島香織氏によれば、「北京五輪公園開発で暗躍した闇の政商であり、太子党の“ラスボス”とも呼ばれている元国家副主席の曾慶紅の腹心」ということです。権力闘争に敗れ、自身も恐らくは脛に傷持つ身で米国に逃げて、ボイス・オブ・アメリカで習政権の腐敗について話そうとしたところ、その放送がなぜか中断された、ということがありました。現在、アメリカで事実上の亡命状態のようです。

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郭文貴氏も、習近平政権・中国共産党も、もとは同じ穴のムジナで、どっちもどっちではあったでしょう。しかし、中国に追い回されたうえ、世界中から極右扱いのバノン氏にまで協力している以上、今では、文字通り命がけで、中国共産党と戦うしかありません。郭文貴氏の中国国内のネットワークと豊富な資金力、バノン氏のポピュリズム的な扇動の「実績」とが結びついて、本気で中国の世論を動かそうとするなら、中国民主化に向けた一つの動きにはなりうるでしょう。

バノン氏は、トランプ氏の2020年再選のための運動に直接は協力しないようですが、息のかかった団体がトランプ氏を支援するようです。アメリカ政府とのつながりも持ちつつ、しかも、情報機関の秘密作戦などではなく、白昼堂々、中国の体制変革を実現しようという動きです。

バノン氏が主導するもう一つの組織は、「現在の危機に対応する委員会・中国」(The Committee on the Present Danger: China、以下、CPDP)です。団体のウェブサイトは、以下です。

https://presentdangerchina.org/

この組織については、東京大学東洋文化研究所の佐橋亮准教授が、東京財団のサイトで紹介しています。

佐藤氏によれば、米国の対中世論は現在、強硬になっているものの一枚岩ではなく、四つに分類できる、と言います。ざっと言えば、少数派の協調派一つと、中身の違う強硬派三つのようです。

バノン氏のCPDPは、その中でも最も強硬で、中国の「体制変革」を目指しているグループに分類されます。今のところ少数派ながら、「最近近い考えが散見されるようになっているため注目を要する」、と、佐藤氏は述べています。佐藤氏の説明を引用します。

4月に設立大会が開かれた「目前に迫る危機委員会:中国(Committee on the Present Danger: China)」は、体制変革の理念型に近いといえる。モデルになっているのは、冷戦期に対ソ・デタント政策を批判した同名の委員会だ。彼らの公式ウェブサイトには綱領が掲げられている。そこでは、中国共産党はグローバルな覇権確立を目指しており、超大国として米国に対峙するのは自明であること、西側の民主主義に干渉していること、そして共産党支配が続く限り中国と共存する希望はなく、米国と「自由世界」を守る手を打たなければならないことが提唱されている。

創設メンバーには、スティーブ・バノン元首席戦略官に加え、米国政府の元情報関係者、シンクタンク関係者(Project 2049事務局長、AEIアジア部長)、キリスト教NGO代表、コーク系リバタリアン団体などが含まれている。

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つまり、米ソ冷戦と同様、米中冷戦で中国共産党一党独裁を倒すことを目的として、米国世論に訴えることを目的としている組織です。

米ソ冷戦同様、米中冷戦はアメリカが勝ち、中国共産党一党独裁は終わる。日本も、今からそのための努力を!

平成最後の日、4月30日の本ブログでは、平成は米ソ冷戦終結で終わったものの、その後、中国が覇権主義をむき出しにし、日本をはじめとする先進国がそれを許してしまった、令和の時代には、米中冷戦で日本はアメリカ側に立って、中国の体制変革を目指すべきだ、と主張しました。

平成最後の日に振り返る:平成は、先進国型経済・社会への転換が進んだが未達成、米中冷戦への対応はこれから。 - 日本の改革

5月4日の日経の社説は、より端的に、「平成の世は「米ソ冷戦」の終結から「米中新冷戦」の開始に至る時代と言ってもいい」と喝破しました。日経は、まだまだ中国に配慮した論調ではあるものの、米中対立が日本に踏み絵を迫っている厳しい現実を受け止めるべき、という趣旨の主張もしています。大手メディアも、段々と、米中冷戦について、現実的な議論を行うようになってきた印象です。

www.nikkei.com

かつての米ソ冷戦時代、ほとんど誰も、冷戦が終わるなんて思っていませんでした。ソ連の存在を受け入れて封じ込めるなり、緊張を多少緩和するなり、という方針をとるのが現実的だ、と思われていました。

そんなとき、外交については素人のロナルド・レーガンが、アメリカ国民の民意により、大統領になりました。1980年代に物心くらいはついていた年代の人はよくおぼえているでしょうけれど、レーガン大統領は最初、世界中から、頭のおかしい好戦的な政治家と思われて、罵倒されていました。彼は、当時の外交エリート達が主張するような、ソ連と共存する「現実主義」を結局は拒否しました。そして、SDIを含めた軍拡競争等でソ連に戦いを挑み、平和的な形でアメリカの勝利、ソ連の崩壊を実現しました。

なぜ、アメリカは米ソ冷戦に勝てたのでしょう?当時のレーガン支持者達は、資本主義の勝利だとか、キリスト教の勝利だとか、色々な立場で感想を言うでしょうし、それぞれの思いは当然あるでしょう。

ただ、一人の日本国民の実感として言えば、あれはやっぱり、自由主義と民主主義の勝利でした。ソ連社会主義帝国主義、あのような非人間的な残虐な政治体制は、やはり長くは続けられない、政治体制なるものも結局は、生身の人間が単位になって出来ているのだから。それが単純な真理なのだろうと思います。

中国の今の政治体制も同じです。今の今、「中国は民主化すべきだ!」「打倒中国共産党!」と叫んでも、現実味を感じられない人がほとんどでしょう。ただのバカウヨの威勢だけが良い国内向きのたわごとに見えるでしょう。

しかし、アメリカ政府が、本気で中国と戦おうという姿勢を見せています。彼等には、米ソ冷戦の勝利という実績があります。彼等を支える人達が、組織を作って、中国の世論にも、米国の世論にも、本気で働きかけています。アメリカでは、主張は違っても、対中強硬派が超党派の支持を得ており、その中でも中国の体制変革派が、今は少数ながら、存在感を増しつつあります。

そして何より、中国の国民は、中国共産党の残虐な圧制に苦しんでいます。チベットウイグルは言うに及ばず、中国政府・中国共産党の、恣意的という言葉では全く足りない強権政治が、中国の国民の人権を踏みにじっています。これまでは経済成長によって沈黙させられてきた民意が、中国経済の成熟化・低成長化によって、押さえつけられなくなってきています。

日本国民は、こうした時代の変化を正しく読んで、日本にとっても、東アジア全体にとっても、国際社会全体にとっても、望ましい政策を日本政府にとらせるべきです。まずは、日本政府に、一帯一路への協力などという政策をやめさせましょう。そして、中国に国際貿易のルールを守らせるだけでなく、中国在住の日本国民はもちろん、中国の国民が、中国共産党による不当な人権弾圧を受けないよう、声を上げようではありませんか。

そして、日本政府は、米中冷戦にあたって、明言はしなくても、中長期目標を中国の民主化においた政策を、安全保障だけでなく、経済政策でも、体系的に遂行していくべきです。繰り返しますが、まずは、一帯一路への協力をやめるべきです。そして、目先の「自由貿易」の利益ではなく、中国共産党が打倒された後の、本当に自由で公正な貿易ルールに基づく、中長期的な大きな利益の獲得を目指すべきです。