日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

日本政府は、アメリカに対しては農産物の関税をTPP以上に下げ、中国に対しては一帯一路から撤退せよ。10連休外交、安倍・二階の外遊で正反対の政策が進行中。

今日の要点

・日本政府は、対米貿易交渉では、農産物の関税引き下げに抵抗する一方、中国の一帯一路政策には参加の姿勢です。アメリカには強硬に出て日本の消費者・国民の利益を害し、中国には協力して日本国民と国際社会の利益を害しています。

・やるべき外交政策は全く逆です。対米貿易交渉では、日本の農業団体の利益ではなく、消費者・国民の利益を優先させて、米国産農産物の関税を下げるべきです。中国の一帯一路政策からは撤退すべきです。

アメリカには強硬に、中国には朝貢する日本の外交。逆に、アメリカには農産品市場を開放し、中国の一帯一路からは撤退すべき!

10連休で、日本の外交が活発化しています。現在、アメリカでは日米首脳会談、中国では二階自民党幹事長が一帯一路国際会議に出席。米中二大国への日本外交が同時進行中です。

まず、日米です。ワシントンで、トランプ大統領は、「とてもすばらしい長期的な貿易協定を結べる可能性がある」と指摘し、日本による防衛装備品の購入を評価する一方、「日本は農産品に対する関税をあげているが、一日も早くなくしてほしい」と要求しました。

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これには伏線があります。

去年の秋、日本はアメリカに対し、農産品の関税は「過去の経済連携協定EPA)水準までしか下げない方針」を伝え、共同声明にもそう盛り込まれました。つまり、アメリカに対しては、TPPの水準までしか下げない、ということです。

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今回の訪米・訪中の直前、安倍総理と二階幹事長は、全国農業協同組合中央会JA全中)の中家徹会長と会食、会談しました。そこでは、日米貿易交渉で、「国内農業に配慮しながら進める方針」を伝えたということです。安倍総理は、「農産品の関税引き下げは環太平洋経済連携協定(TPP)で認めた水準を限度とする」と伝えた、ということです。これは夏の参院選のための農業票固めだ、と日経が報じています。
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当然、トランプ大統領は、これに不満です。アメリカ政府にはアメリカ政府の事情があり、国内農業団体が、TPP以上の日本市場開放を求めています。実際、日本は対EUの協定では乳製品でTPP以上の市場開放を行っているのですから、アメリカの乳業団体は当然、TPP以上の合意をすべき、と主張しています。これについては、以前も、本ブログで取り上げました。

日米貿易交渉を、国内改革に利用すべき。農業はTPP以上に自由化し、サービス分野で、ゆうちょ銀行等の完全民営化を! - 日本の改革

日本の国益とは、日本の農業団体の利益のことではありません。国益とは、一部の団体の利益のことではなく、統合された「国民」全体の利益のことです。日本の農業団体があらゆる制度(関税・国家貿易制度・参入規制・補助金等)で守られており、高い農産品を買わされる広範な消費者全体、国民全体の利益を害していることを考えれば、関税を一層下げることこそ、国益にかないます。

したがって、日本政府は、アメリカ農産品に対する関税を、TPPを上回る水準まで下げるべきです。この点も、本ブログで言い続けてきましたが、トランプ大統領があらためて安倍総理に要求したこの機会に、強く主張します。

日米貿易協定交渉:為替条項は入ってもOK、農産物はTPP以上の開放、ゆうちょ銀行等は全株売却を! - 日本の改革

次に、日中です。こちらには、米中対立に配慮して、一帯一路に一定の距離を取っており、政府ではなく、二階氏が党側から協力姿勢を示す形、とも報じられています。しかし、実態は、そんなものではなく、安倍総理が去年の5月から、繰り返し、一帯一路への協力を表明していたことは周知の通りです。日本政府は、政府と党の顔を使い分けて、一帯一路協力への批判をかわそうとしているだけです。このようなごまかしを、筑波大学名誉教授の遠藤誉氏は、ニューズウィーク日本版で、これまでの安倍政権の協力姿勢の経緯を振り返りつつ、痛烈に批判しています。

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そして、今回の二階訪中についても、参院選対策が透けて見えます。二階氏には、経団連の中西宏明会長、全国農業協同組合連合会JA全農)の長沢豊会長、日本旅行業協会の堀坂明弘副会長らも同行しているからです。日経によると、「同行者の一部」は24日の二階氏と習氏との会談にも加わったということです。

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またしても、参院選対策、一部の団体の利益のために、国民全体の利益がないがしろにされています。米中冷戦の続くなか、日本は、中国に依存すべきではありません。

一帯一路への協力は、日中以外への投融資・建設プロジェクトが中心で、実際は、農産品や自動車・機械等の輸出や中国人観光客の誘致に直接つながるわけではありません。この政策への賛成をすることで、将来、そうしたビジネスチャンスがつながれば、というのが経済界の意図のようです。この点は、以前、NHKが自動車メーカーの声として紹介していました。NHKのネット記事から引用します。

では、企業側の狙いは何でしょうか。第三国をきっかけに中国本土でのビジネス拡大を図りたい狙いがあるようです。

「中国の市場は、何が何でも欲しい」。鼻息荒く話すのは、参加した大手自動車会社の関係者です。

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つまりは、日本企業の経済的利益というのは、一帯一路のその先の、随分間接的な、見通しもはっきりしないものです。こんな曖昧で甘い見通しのために、中国の利己的で危険な軍事・外交政策や恣意的な経済政策を黙認し、あまつさえ、その覇権主義の中心的政策である一帯一路政策に協力するなど、論外です。

一帯一路のプロジェクト自体については更にヒサンなことになっています。安倍総理肝入りのタイの鉄道プロジェクトが早くも頓挫しています。これも、本ブログで紹介しました。二階訪中の機会に、あらためて、日本政府は一帯一路への協力から撤退すべき、と、強く主張いたします。

米中冷戦のなか、一帯一路への協力は早くやめるべき。目玉プロジェクトが早くも頓挫。対中外交の転換を。 - 日本の改革

米中が激しく覇権を争い合う厳しい国際社会。そのさなかに、目先の選挙対策で、わずかな団体の目先の不確かな利益のために、国民全体の将来の安全が、豊かさが、幸せが、危険にさらされる事態が進行中です。日本の外交政策の転換を図るべきです。