日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

日米貿易協定交渉:為替条項は入ってもOK、農産物はTPP以上の開放、ゆうちょ銀行等は全株売却を!

今日の要点

・今日と明日、日米貿易協定交渉が行われます。為替条項は影響小さそうなので、合意しても問題ないでしょう。

・物品、サービスにつき、日本国内の改革になる部分は、アメリカの要求を飲むべきです。農産物市場は、TPP以上の自由化をすべきです。サービス分野では、政策金融公庫を除き、ゆうちょ銀行等の全株を売却して、完全民営化を達成すべきです。

日米貿易協定交渉開催。為替条項は、他国の例を見ると、影響は小さい。

4月15~16日、つまり、今日と明日、ワシントンで日米貿易協定交渉が行われます。

これに先立ち、ムニューシン米財務長官は、通貨切り下げを防ぐ為替条項についても協議すると発言しています。日経は最初、これを異例のこととして懸念している書き方でした。

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しかし、これはそれほど大きな意味はなさそうです。アメリカが求めているのは、「為替政策の透明化と、競争的な通貨切り下げの自制」ということなので、それなら、当たり前の話で、ごく穏当な内容です。国内のデフレ払拭のために金融緩和することまで縛られるわけではありません。

まだ交渉が終わっていないので様子見の状態とは言え、ムニューシン氏の発言で、為替相場はあまり反応していません。日経も、今日あたりから、影響は限定的とする市場参加者が多い、と報じています。米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の為替条項も、上記と同じような穏健な内容で、為替相場への影響はほとんどなかったようです。

ただ、10連休の前に利益確定のための円買い・ドル売りが入りやすいということですが、これも短期的な話です。

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豊島逸夫氏によれば、ニューヨークのヘッジファンドはそもそも貿易交渉を材料視さえしていなかったようで、ムニューシン財務長官の発言を聞いても、当然の内容という受け止めのようです。ただ、貿易交渉とは別に、日銀の緩和の手段が尽きてきたと見られたら、円高になりそう、ということですが。

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ということで、日米貿易協議の交渉にあたっては、自動車輸出の数量規制のような無理難題を避ける取引材料にでもなるなら、協定に為替条項が入ってもよいのでは、と思います。

日本国内の改革になる要求は飲むべき。まず農産物市場をTPP以上に自由化、サービスでは、ゆうちょ銀行等の完全民営化を!

さて、肝心のモノ、サービスの自由化についてです。以前、ブログでも書きましたが、日本政府は、今回の日米貿易交渉を、国内の改革につなげるべきです。具体的には、TPP以上に農産物の自由化を行い、ゆうちょ銀行等は全株を売却して、完全民営化を行うべきです。

日米貿易交渉を、国内改革に利用すべき。農業はTPP以上に自由化し、サービス分野で、ゆうちょ銀行等の完全民営化を! - 日本の改革

まず、農産品についてです。パーデュー米農務長官は今月、来週始まる日米貿易交渉をめぐり「農産品で(先行して)暫定合意を早期に結ぶことを望んでいる」と述べています。アメリカがTPPから外れたのにTPP11が発効し、日EUEPAも出来たため、米農業団体の突き上げを受けて、あせっているのでしょう。

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パーデュー氏は、既に昨年10月には、日EUEPAEPAとTPPを上回る水準の市場開放を求める考えを示していました。

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交渉ごとですから、農産品で早く結果を出したいアメリカ政府の足元を見て、より自由貿易を尊重した内容の協定にすべきではあります。たとえば、農産品の一層の自由化とバーターで、自動車輸出の数量規制等の要求は蹴る、というやり方です。

ただ、いずれにしても、農産品のTPP以上の自由化は絶対にやるべきです。以前もブログで書いた通り、TPPでの農水産物の関税撤廃率は、他国は95%以上の関税撤廃率なのに、日本だけが82%です。おかげで、日本の消費者にとってのメリットは、かなり小さくなってしまいました。

日本が農業で行うべき改革は、①価格維持(輸入規制・関税・減反)をやめて農産物の価格を下げ、②農業生産性向上と農業の多面的機能保護に必要な限度・期間で、生産者に戸別補償を行なう、ということです。

①の農産物価格引き下げは、消費者利益になると同時に、輸出促進につながります。②の直接支払いは、零細な第二種兼業農家にまで票のために一律で補償を行うのをやめて、生産性向上や環境保全等に必要な範囲で、メリハリをつけて行う形にすべきです。アメリカ、EUとも、その方向での直接支払いをしています。

とにかく、政府は農産品の価格を維持する発想はやめて、輸入農産品について、安全規制等が守られていれば、関税は原則として撤廃し、他国並みの95%超の関税撤廃率とすべきです。

次に、サービス分野です。政府は、税関手続き等のごく限られた分野では、サービスに関する交渉も容認する、と立場を変えました。ただ、対象は税関手続き程度で、薬価制度の見直しや金融規制や食品安全基準の緩和などは交渉しない、としています。

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私は、国内の医療費を抑えるためにも、薬価を高くするような要求は断固反対すべきだと思います。食品安全基準も、TPPでは各国の判断に任せることにしているのですから、ここは譲る必要はありません。

しかし、金融サービスについて、内外の民間金融機関と競争条件を揃えるためにも、政策金融機関の完全民営化を行うべきです。小泉政権の到達点に戻って、日本政策金融公庫以外の金融機関、つまり、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、政策投資銀行商工中金は、全株を売却する完全民営化を行うべきです。

政府は、ゆうちょ銀行の親会社である日本郵政については、持ち株を3分の1になる程度まで売却することを決めました。

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これは、どうも郵貯預け入れ限度額を倍増させたこととバーターだったようです。

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さすがに、金融庁も限度額引き上げには相当反対したようですが、結局は、全国郵便局長会(全特)の意を受けた自民党の決定にしたがわざるを得なかったのでしょう。代わりに、日本郵政の株式を政府の持ち分が3分の1超になるまで売却できたのは、やらないよりは良いことでした。

しかし、肝心のゆうちょ銀行とかんぽ生命の完全民営化の見通しが全く立っていません。ここは、アメリカの外圧を利用してでも、全株式の売却を図るべきです。もちろん、問題続きの商工中金も、政策投資銀行も民営化して、公的な金融は、日本政策金融公庫に一本化すべきです。

本格的な改革政権だった小泉政権が終わってから、間もなく13年になります。未だにこんな話をせざるを得ないのは残念ですが、それでも、決して遅すぎるということはありません。TPPにせよ、日EUEPAにせよ、日米の貿易交渉にせよ、一部の抵抗勢力・既得権のためではなく、日本国民全体のための改革を行う契機にすべきです。