日本の改革

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世耕経産大臣によるコンビニ首脳への「任意の要請」は、行政手続法違反の疑いあり。前時代的な行政指導ではなく、法的対応を!

今日の要点

・世耕経産大臣が、コンビニ各社の経営者を経産省まで呼びつけて、人手不足対策につき、「任意の要請」をしました。法的根拠を欠いており、手続き次第では、政手続法違反の疑いがあります。

・コンビニ店主の長時間労働問題につき、政府はこうした不透明な行政指導ではなく、法整備で対応すべきです。

世耕経産大臣が、コンビニ首脳を呼びつけて、「任意の要請」という行政指導。行政手続法違反の疑い。

昨日4月5日、経済産業省は、コンビニ大手各社の経営者達を経済産業省に呼びつけて、人手不足を是正する計画づくりを求めました。コンビニ加盟店の店主の長時間労働が社会問題になっているためです。

世耕大臣は、日本フランチャイズチェーン協会に加盟するコンビニ8社の経営者に対し、コンビニ加盟店にアンケートをとったら人手不足が深刻化し、満足度も低下しているから、今後の人手不足対策等につき、行動計画を出せ、と「要請」しています。

世耕経済産業大臣の閣議後記者会見の概要 (METI/経済産業省)

経産省がコンビニ加盟店対象に行った調査はこちら↓です。確かに、たった4年前の調査と比べても、人手不足と考えている店主が増え、満足度は下がり、契約更新にも後ろ向きになっています。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/distribution/convenience20190326.pdf

日経は、今回の要請につき、「加盟店と本部の紛争は既存の法律では対処しにくいため、根拠法のない「任意の要請」という異例の措置に踏み切った。防犯など重要な社会インフラでもあるコンビニの経営を早期に安定させ、規制強化論を封じる狙いがありそう」だ、と、その意図を推察しています。

www.nikkei.com

コンビニ加盟店と本部との問題については、随分前から課題となってきました。私も、政府と国会が何等かの対応をとるべきだと思います。しかし、今回の経産省による「要請」には、反対です。

今回の要請は、法的に見れば、行政指導にあたります。行政指導については、行政手続法に規定があり、行政庁は、定められた手続きによって、指導を行う義務があります。

条文とQ&Aはこちらです。

http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=405AC0000000088#195

www.soumu.go.jp

同法第32条1項には、「行政指導にあっては、行政指導に携わる者は、いやしくも当該行政機関の任務又は所掌事務の範囲を逸脱してはならないこと及び行政指導の内容があくまでも相手方の任意の協力によってのみ実現されるものであることに留意しなければならない」とあります。

現状で、経済産業省を所管官庁とした、コンビニ各社への規制権限を定めた行政法がない以上、今回の要請は、同省の「任務又は所掌事務の範囲を逸脱」するおそれがあります。行政指導を行うべきは、むしろ公正取引委員会でしょう。

また、同法第36条には、「同一の行政目的を実現するため一定の条件に該当する複数の者に対し行政指導をしようとするときは、行政機関は、あらかじめ、事案に応じ、行政指導指針を定め、かつ、行政上特別の支障がない限り、これを公表しなければならない」とあります。

今回の要請は、「日本フランチャイズチェーン協会に加盟するコンビニ8社」に行ったのですから、「一定の条件に該当する複数の者」への行政指導です。しかし、経済産業省のウェブサイトを見る限り、36条に定められた「行政指導指針」が公表されていません。これは、行政手続法違反の疑いがあります。

何より、平成も終わり、元号も令和に改まるという時代、西暦2020年を迎えようという今、あいも変わらず、昭和の時代の1970年代頃までの手法である行政指導を使っているのが、時代錯誤も甚だしいことです。

しかも、法的根拠もないのに、業界団体のトップを軒並み役所に呼びつけて経営上の計画を作れ、と「要請」するという、この古色蒼然たる行政手法を未だにとっていることが、法律による行政の原則からも、行政の透明性、公平性という点でも、大きな問題です。

コンビニ店主の長時間労働問題は、不透明な行政指導でなく、立法で対応を!

コンビニ加盟店の店主の課長労働時間については、24時間営業を拒否した店主の対応が大きくニュースで取り上げられ、働き方改革の真っ最中ということもあって、社会問題化しています。

www.nhk.or.jp

加谷珪一氏によると、コンビニ本部が加盟店に24時間営業を求める理由は、意外なことに、その方が昼間の売上が上がるからだそうです。加谷氏は、コンビニがこれまで成長してきたのは自由競争の結果というより、大店法の規制でスーパー出店が抑制された結果だ、としています。このため、小規模・定価販売・非効率なコンビニが普及してしまって、必ずしも消費者のためになっていない、と主張しています。確かにコンビニは高いし、安値販売は本部が認めません。加谷氏は、24時間営業は今後は難しいとする一方、コンビニの経営手法に対する批判は、これまでタブー視されてきた、としています。

gendai.ismedia.jp

確かに、朝日も、日経も、コンビニへの法的規制には消極的な論調です。朝日はそもそもふれていませんし、日経は、はっきり反対と言っています。

(社説)コンビニ本部 店主らとの協議の場を:朝日新聞デジタル

[社説]コンビニ経営に政府は介入すべきでない :日本経済新聞

本来、こうした企業間での一方的な契約の押しつけ等については、公正取引委員会が対応すべきところです。ところが、公取も及び腰だ、と批判されています。コンビニ含む各業界の役員が理事の公益財団法人「公正取引協会」に、公取の役人が天下りしているようです。

blog.goo.ne.jp

公正取引協会のディスクロージャーはこちらです。相関透氏が常務理事になっていますが、

www.koutori-kyokai.or.jp

この人が公正取引委員会出身で、この協会に再就職したことは、政府も公表しています。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000175017.pdf#search=%27%E7%9B%B8%E9%96%A2+%E9%80%8F%27

 

これでは、公正取引委員会独禁法の執行に及び腰になってしまいます。コンビニ業界が関係する法人への天下りなどやめるべきで、そのうえで、24時間営業に関する契約条項を強制することが優越的地位の濫用等にあたらないか等、中立公平な立場で判断すべきです。

一方、コンビニが社会的インフラとして重要で、公的な面から24時間営業が必要というなら、もう新法を作るしかありません。

世耕経産大臣は「国による過度な規制には反対」との立場で、規制論を封じる狙いで違法の疑いさえある行政指導に及びました。これは、行政指導の目的という点でも、大いに問題です。
www.nikkei.com

 

 本件、経済団体は法規制に反対しています。 経済同友会の小林喜光代表幹事は、国家の関与は望ましくないと発言しました。「国家の関与」というからには、経済産業省含む役所が関与するのは望ましくない、という意味でしょう。

www.doyukai.or.jp

これをテレ朝が、「世耕経産大臣に経済界が苦言」と報じたら、

news.tv-asahi.co.jp

世耕氏はかみつきました。

 

 

 どうも、世耕氏にとっても、コンビニ規制など、タブーのようで、経済団体の言いなりです。

ここは、総理がリーダーシップをとるか、共産党以外の野党がまともな法案を作って国民に訴えて、コンビニ24時間営業について加盟店の負担を軽減し、しかもある程度公的インフラとしての役割を維持できるような、新たな法律を作っていくべきです。