日本の改革

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安倍・麻生「忖度」発言の副大臣が想起させる、安倍晋三氏の「下関利権」。過去の話なのか、今もあるのか。

今日の要点

塚田一郎国交副大臣が、安倍総理、麻生副総理に忖度して、国の予算をつけたと発言。たとえ当該事業が必要なものであっても、特別公務員の職務の公正と、それに対する社会の信頼を大きく毀損した以上、塚田氏は辞任すべきです。

・この発言は、過去に問題となった、安倍氏の「下関利権」の報道をあらためて思い出させます。下関市での度重なる官製談合同様の案件で、元市長・現参議院議員の江島潔氏とともに、安倍氏にも関与の疑いがありました。現・下関市長も安倍氏の元秘書です。現在の下関市の事業について、野党・マスコミ・国民・下関市民は、いま一度、チェックするべきでしょう。

塚田一郎国交副大臣の忖度発言。塚田氏は、公務の公正と社会の信頼を大きく損ねた責任をとって、辞任すべき。

塚田一郎国交副大臣が、4月1日に北九州市での集会で、同市と山口県下関市を結ぶ「下関北九州道路」の国直轄の調査について、こう発言しました。朝日新聞から引用します。

国土交通副大臣なので、ちょっとだけ仕事の話を。大家さんが吉田博美・自民参院幹事長と一緒に「地元の要望がある」と副大臣室に来た。下関北九州道路(の案件)です。
 これは11年前に凍結されているんです。何とかせにゃならん。下関と北九州ですよ。よく考えてください。下関は誰の地盤ですか。安倍晋三総理です。総理から麻生副総理の地元でもある北九州への道路事業が止まっている。
 吉田幹事長が私の顔を見て、「塚田分かってるな、これは総理の地元と副総理の地元の事業なんだよ」と。私、すごく物わかりがいいんです。すぐ忖度(そんたく)します。「分かりました」と。
 そりゃ総理とか副総理がそんなこと言えません。そんなこと実際ないんですよ、森友(学園をめぐる一連の問題)とか、いろいろ言われてますけど。でも私は忖度します。この事業を再スタートするには、いったん国で調査を引き取らせていただく、と。今回の新年度の予算で、国で直轄の調査計画に引き上げました。

digital.asahi.com

事業の必要性を一言も言わずに、総理や副総理が自分で言えないから、吉田参院幹事長に言われたから、すぐ察して、国の予算をつけた。しかも、森友で忖度がいかんとか色々言われているけど、そんなことは関係ない、私は忖度する。こんな趣旨です。

塚田氏はその後、発言は事実と異なるとして、国会で撤回し謝罪していますが、野党は国交副大臣の辞任を求めています。

この事業は、今年1月の北九州市長選の争点でした。西日本新聞が、選挙戦最中の昨年12月、以下のように、地元の様子を伝えています。以下、「下北道路」=「下関北九州道路」です。

民主党が(下北道路を)パーにした」。ベテランの北九州市議は今でもこう憤る。ねじれ国会だった08年3月、野党民主党などから道路特定財源への批判にさらされていた当時の自公政権は、下北道路を含む全国6カ所の海峡横断プロジェクトの調査中止を決めた。その後の政権交代、奪還を経て、調査が再開されたのは昨年度だった。
 「安定した安倍政権の時だからこそ、早く建設を決定してほしい」。16日の促進大会で九州経済連合会麻生泰会長はこう訴えた。
 山口、福岡両県は、安倍晋三首相と麻生太郎副総理の地元だけに「安倍・麻生道路」ともやゆされる。関係自治体の調査が終わる来年3月以降、国の本格的な事業評価に移行できるかが最大の焦点になっている。

www.nishinippon.co.jp

選挙戦は現職だった北橋氏が圧勝(投票率は過去最低の36%)。そして、北九州市にとって「最大の焦点」だった、「国の本格的な事業評価への移行」を、昨年10月の「在庫一掃」内閣改造で国交副大臣となった塚田氏が、立派に忖度して実現してみせました!と、当の北九州市で誇ってみせたのが、冒頭の発言です。

この道路、事業費は2000億円とも1600億円とも言われていますが、第二次安倍政権が始まった当初から、いわくつきの事業として、叩かれていました。たとえば、『選択』2013年12月号では、この事業を、国土強靭化を名目に、自民党国交省が実現しようと動いている、としています。

更に、これは国交省が狙う全国的な「海峡横断プロジェクト」の一環で、総事業費は6兆円にもなるのでは、としています。そして、国交省が、このプロジェクトを機に、小泉政権で切られた「道路特定財源の復活」までもくろんでいる、と批判しています。

www.sentaku.co.jp

なお、2016年には、当時の石井国交大臣が前向きになった、と報じられたことがありました。毎日新聞によると、国交省関係者が、「自民党は『安倍-麻生道路だ』との批判を警戒し、公明党が前に出ている」と話していた、ということです。

mainichi.jp

公明党の場合、直接、安倍総理に頼まれた可能性もあるでしょう。こんなに仲が良いのですから。

www.sankei.com

結局、今年度予算案でついたということなら、公明党の大臣が前向きでもそのときは実現しなかったということでしょう。要は、安倍氏、麻生氏のために、国交省も、自民党の政治家も、公明党の政治家も、何とか実現しようとしてきた事業ということです。

さて、塚田副大臣の発言についてです。

たとえ今回の事業に一定の合理性があったとしても、この発言をした塚田氏は、副大臣を辞任すべきです。塚田氏の発言は(特別)公務員の職務の公正さと、それに対する社会の信頼を著しく傷つけたからです。これらは、賄賂罪の保護法益となっているものでもあります。賄賂罪は、職務が合法・適当であったか否かとは全く関係なく、職務との牽連性を持った形で賄賂の授受や約束があれば、犯罪となります。

今回、金銭の授受はありませんが、ただでさえ保守分裂・麻生対二階で注目の集まる福岡県知事選の集会で、白昼堂々、安倍総理と麻生副総理に忖度して道路事業の調査予算をつけたと言うのですから、社会全体に与える影響は大変大きいと見るべきです。公務の公平と、これに対する社会の信頼を著しく損ねたのですから、法的な問題はなくとも、政治的な責任をとって、塚田氏は副大臣を辞任すべきです。

塚田一郎氏が思い出させる、安倍氏の「下関利権」。下関市の談合体質は過去の話なのか、今もあるのか。

塚田氏の発言は、安倍氏の地元での利権ということをあらためて世間に意識させました。この関係で誰でも思い浮かんだであろうことは、関係する自治体は違いますが、安倍氏の、いわゆる下関利権です。古臭い世襲政治家としての安倍晋三氏の、地元のしがらみを伝える話で、FACTAの2017年7月号が伝えたニュースによって、ネットではよく知られていることでしょう。FACTAの表現により、ここでも「下関利権」とします。

facta.co.jp

記事によると、下関市の度重なる官製談合同様の案件で、元市長・現参議院議員の江島潔氏とともに、安倍晋三氏にも関与の疑いがあった、ということです。

特に大きな事件となったのは、2005年7月に発覚した下関市の「し尿・汚泥処理施設」建設をめぐる談合です。公正取引委員会が落札業者のクボタを含む大手プラントメーカー十数社に独占禁止法違反により、排除命令や課徴金納付命令を出しました。毎日新聞2007年1月17日号によると、処分を受けたのは、以下の会社です(データベースで見たのでリンクはありません)。

排除措置命令は▽アタカ大機▽西原環境テクノロジー▽タクマ▽三井造船の計4社、課徴金納付命令はアタカ、西原に加え、事業撤退した▽クボタ▽栗田工業▽JFEエンジニアリング▽荏原製作所住友重機械工業の計7社が対象。

FACTAの先の記事によると、当時、市発注の多くの公共工事に、疋田善丸氏という、安倍事務所に頻繁に出入りしていたブローカーがいたということです。彼が業者と安倍事務所の間で受注調整を行い、最後は市長である江島氏を動かして、意中の業者に落札させており、下請けから集めた裏金は「江島と安倍事務所、疋田の3者で山分けしていた」と、記事には書かれています。

下関市では「江島に司法当局の手が伸びる」との憶測が何度も流されたのを、山口県警OBを秘書として長年抱えてきた安倍事務所が食い止めていたとか。安倍氏は2009年、5選に意欲を見せる江島に市長選への出馬を取りやめさせたそうです。理由は、「民主党政権になれば江島にも自分にも捜査の手が伸びかねない」からだった、とまで書いています。

ブローカーがらみの話や、裏金の山分けの件、逮捕を心配していたというエピソード等は、どこまで真実か分かりません。しかし、安倍氏の盟友が市長を務めていた下関市で、官製談合類似の案件が複数回あり、一件については、大規模な談合事件として、公取が処分を下したのは事実です。そして、現・下関市長である前田晋太郎氏も、安倍晋三氏の元秘書です。

下関市政の問題として、談合体質と完全に決別できているか、下関市に談合等があったとしたら、国政の問題として、安倍晋三氏や安倍事務所は、それに関わっていないか。こういった点を、野党も、マスコミも、国民も、下関市民も、いま一度、チェックすべきでしょう。

全国市民オンブズマン連絡会議の調査によると、下関市は、調査対象の全ての事業で総合評価方式を採用しており、2017年度全体の落札率は92%、一者入札の割合が99%となっています。

https://www.ombudsman.jp/dangou/dangou2018.pdf#search=%27%E4%B8%8B%E9%96%A2%E5%B8%82+%E8%AB%87%E5%90%88%27

下関市の公共事業について、マスメディアが、市議や元市議、地元業者等の関係者に、しっかり取材して調査報道をしてくれることを期待しています。