日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

景気悪化の際の経済政策:金融緩和継続、消費増税路線を撤回、財政支出を企業・団体からバウチャー方式で家計へ。

今日の要点

・海外も日本も景気悪化の兆候が出ています。まだどの程度深刻な状況になるか分かりませんが、海外需要が本格的に減少して世界的に不況に近付くような場合、どのような対策をとるべきか、考えておくべきです。外需への期待ができないなら、内需の刺激策が必要です。まず、金融緩和の継続と、消費増税路線の撤回が必要です。

・財政政策については、輸出があてにならず、このため企業の設備投資も望めないので、家計の消費を直接喚起すべきです。貯蓄に回らず、波及効果の高い消費を促すため、保育・教育の無償化や介護の自己負担減等、目的を限定したバウチャー方式の家計向け財政支出を増やし、財源として、企業・団体向けの支出を削減すべきです。

海外も日本も景気悪化の兆候。外需より内需重視の政策が必要。

昨日は、日経平均の下げ幅が今年最大だったそうです。今日の株価がどうあれ、海外も、日本も、このところ景気悪化の兆候がはっきり出ています。

アメリカで長期金利より短期金利が高くなる「逆利回り」が起きて、景気後退へのおそれが出てきたことから、アメリカも日本も株安になったようです。過去の経験則では、逆利回りになってしばらくは、政策期待のためか、株価が高かったようですが、今回はすぐに株価が下がったようです。

www.nikkei.com

実際、少し前まで、「政策期待相場」で株高が続くのでは、という見方もあったようです。

www.nikkei.com

米中貿易摩擦で中国の景気が悪くなる、アメリカもEUもイギリスのEU離脱だけでなくドイツとイタリアの景気が悪い、OECDも世界経済の成長率の予測を下方修正した、ということで、米欧の中央銀行が緩和姿勢に転じるし、中国も景気対策をする、日銀も何かするだろう、ということで、そうした期待があったのでしょうが、昨日の株価だけ見ると、各国の政策よりは、実体経済こそ気にすべきように見えます。

今回のブログでは、海外の需要が更に減少して、世界的に不況に近づくような状況で、どのような経済政策をとるべきか、考えてみます。現在の経済状況を前提にして、悲観的な予測が当たったような場合に、どうすべきか、金融政策、消費税、財政支出について考えます。

アメリカも中国も、これから大規模な経済対策を行いますが、アメリカは貿易交渉で日本に何を言ってくるか分かりませんし、中国については、米中冷戦のさ中、経済的に深くコミットしないようにする必要もあります。やはり、内需を軸に経済政策を考えるべきです。

まず、金融政策ですが、当然、一層の緩和をすべきです。各国が緩和姿勢の中、日本だけが引き締めれば、円高にもなります。後で見る通り、外需は日本のGDPに寄与しなくなってきてはいますが、それでも、海外観光客を引き続き呼び込む効果等を考えれば、全体的には、円高より円安の方がプラスでしょう。何より、まだまだ利上げなど出来るような経済環境では全くありません。

日銀も、一段の緩和を行うか、少なくとも現状維持でしょう。日銀は、一応、年度後半に景気は回復しそうだから追加緩和が必要なさそうな言い方をしていますが、

www.nikkei.com

日銀の金融政策を決める政策委員の間では、リフレ派だけでなく、これまで金融緩和の副作用を強調してきた鈴木人司委員も利上げに慎重な姿勢を見せる等、全体として、緩和姿勢になっているようです。さすがに要路の方々は現実主義的です。

www.nikkei.com

また、消費税については、今年10月の税率引き上げを中止するのはもちろん、そもそも、10%に引き上げるという決定自体を撤回すべきです。消費税増税は、経済に長期間にわたる悪影響を及ぼし、特に消費水準を下げてしまいます。このマイナスの効果を打ち消して十分に余りあるような余程の高成長のときでなければ、消費税増税は最後の手段にすべきです。

消費増税による消費低迷は一時的な「反動減」ではない。消費低下はずっと続く。消費税増税は財源調達の最後の手段に。 - 日本の改革

社会保障や教育無償化の財源は、後に述べますが、他の項目への財政支出を削減して捻出すべきです。

海外需要減少で設備投資も減少。家計の消費を直接刺激すべき。企業・団体向け支出を切って、家計向けのバウチャー方式の支出増を。

さて、財政政策です。ここでも、最近の経済状況を踏まえる必要があります。

まず、海外の需要減のため、外需がGDPに寄与しなくなってきた、という事実を踏まえるべきです。以下のグラフは、日経の記事から引用していますが、昨年1年間は、世界貿易の減少のため、外需が日本のGDPに寄与しない、むしろ輸入超過でマイナスになっているのが分かります。

日本経済新聞2019年3月11日記事より引用)

「最長景気」に乱気流 中国減速、世界に連鎖 (写真=ロイター) :日本経済新聞

外需が望めないので、製造業の景況感も大幅に悪化しそうです。このため、企業の設備投資も、期待できません。民間の予測では、投資額は大企業全産業で18年度比0.7%の減少ということです。

www.nikkei.com

設備投資を増やすためには、アメリカで導入されているような形での内部留保課税は効果があるはずです。ただ、海外の需要が本当に減少して世界的に不況に近くなると、やはり効果は限定的でしょう。

設備投資について、政策的に上昇させるためには、公共事業や企業向きの補助金という手段が当然考えられます。しかし、こうした企業・団体向きの事業や補助金は、中長期的な経済成長にどの程度寄与するのか、疑問です。昨日のブログでは、中小企業向きのものづくり補助金について問題点を考えましたが、

投資回収企業数が1%未満の「ものづくり補助金」を担保に、借金まで可能に。この補助金は安倍案件か。リーマン・ショック由来の既得権は全て切るべき。 - 日本の改革

同じような例は、農業でも、公共事業でも、環境政策での大企業への補助金でも見られます。問題は、一部の既得権者のみが利益を得て、経済・社会全体への波及効果が小さい、ということです。こうした、企業・団体向けの事業や補助金(または租税特例措置)を切って、より効果の高い項目に財政支出を振り向けるべきです。

輸出があてにならず、設備投資のための企業団体への直接補助も効果が小さいなら、あとは、家計の消費を直接増やすことが必要になります。しかも、単なる薄く広いバラマキでは、やはり効果がありませんし、貯蓄されて消費に回らない可能性もあります。

そこで、保育・教育の無償化の範囲を拡充したり、介護等の自己負担を軽減する形で家計の手取りを増やすべきです。保育・教育は、社会的に見た投資収益率が非常に高いことで知られています。日本では伝統的に、この分野は全て家計の自己負担という形だったので、無償化を徹底することのインパクトは大きいはずです。政府も幼児教育の無償化はある程度実現する予定ですが、まだ不徹底です。幼児教育はもちろん、中等教育の授業料以外の負担、そして高等教育についても、全て無償化すべきです。

待機児童対策は、こうして全ての家計の負担を減らしつつ、保育所の設置基準の決定権限の地方移譲、及び、ベビーシッター利用料の無償化という形で、新たな受け皿を作るべきです。撤退の難しい公立保育所をやたらに作るのではなく、家計の有効需要を増やして、後は自然に担い手が参入しやすい環境を作ることで、待機児童対策と保育無償化を両立させることができます。

また、介護の自己負担率を出来るだけ下げることも、投資収益率が良いと考えます。介護離職を防ぎ、労働供給を増やせるからです。

こうして、目的限定の補助金、つまりはバウチャー方式の支出を家計について手厚く行い、その財源は、非効率さの目立つ企業・団体向けの財政支出の削減で賄うことにすべきです。家計の手取りが増えれば、おのずと国内消費が増えて、企業の設備投資の最大の駆動力である需要が国内で増えることになります。設備投資は、企業団体向け補助金ではなく、家計向けバウチャーで増やすべきです。保育・教育無償化は女性の労働供給を増やすでしょうし、介護の負担軽減も、介護離職を防いで労働供給を増やすでしょう。

要は、経済の現状を踏まえると、これから更に景気が悪化した時でも、改革派の目指すべき経済政策は平時とあまり変わらない、ということでうs。

このように、従来の「景気対策」のあり方を変えることで、より効果的な施策となるはずです。また、企業団体への支出を切ることで、既得権者の団体やその支持を受ける政治家・政党の力を弱め、家計向けバウチャーを増やすことで、そうした団体と無縁の無党派の人達の支持を得られるでしょう。政治的に見ても、改革派の政党・政治家にとって、実現すべき方向のはずです。

今の自民党、特に安倍政権には、こうした政策をとることは無理です。また、旧民主党の政治家、政党は、残念ながら消費税増税路線を頑として撤回しません。財政支出についても、たとえば待機児童対策で、既存の保育園等の団体の方を向いた政策(現状の規制のままで公立保育園の増設)を唱えています。彼らの言う、「無償化より待機児童対策を」というのは、家計へのバウチャーよりも既得権団体への支出を、と言っているという面があります。

国政政党の中では、維新が一番、上記のような政策に近いはずなので、旗幟鮮明にしてほしいところです。金融緩和に反対する議員がいても、党内できちんと緩和の方向で結論を出すべきです。