日本の改革

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日経の懺悔「下らない地方創生事業を紙面で紹介してゴメンナサイ」:地方創生は来年度で終了を!

今日の要点

日経新聞が、静岡県の地方創生事業につき、目標未達が5割近くにのぼり、必要な見直しも行われていない実態を報じています。メディアは全国の自治体の地方創生事業について総点検するべきです。メディア自身も、デタラメな地方創生事業の広報になっていなかったか、自己点検が必要です。

・もともと、地方創生は、政府が中央で立てた「5か年計画」をもとに地方の計画を作らせるもので、地方分権でも何でもありません。形骸化した地方創生政策は第1期の終わる来年度で終了し、権限と財源を移譲する本格的な地方分権改革を行うべきです。

日経静岡面の懺悔「下らない地方創生事業を紙面で紹介してゴメンナサイ」

日経新聞の地域面のうち、南関東・静岡面が、読者におわびをしています。

静岡県内の地方創生事業のうち、これまで紙面で大きく取り上げた施策でも、事実上とん挫したものがある、こちらのチェック不足で申し訳ない、という趣旨です。

以下、記事を引用します。

「12日付の静岡面から県内35市町の地方創生計画を総点検する連載を始めた。計1300項目以上の進捗状況を1つずつ洗い出していくと、紙面でこれまで大きく取り上げた施策も多いことに気づく。
当初の触れ込みと異なり、事実上頓挫しているとも思える施策も目立った。取材時には事業の妥当性について細心の注意を払って質問したつもりだったが……。(中略)記事にした後の進捗を日ごろから丁寧に確認すべきだったと反省し、読者に申し訳なく思った。
一方、自治体側。地方創生の進捗を確認すると「放っておいてほしい」という自治体があった。地方創生施策の開始時には首長ら自治体幹部が胸を張って取材を受けていた。言い放しの地方創生ではあまりにも悲しい。」

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「紙面で紹介」とは、好意的に紹介してしまい、結果としていい加減な行政の片棒担ぎをしてしまった、ということでしょう。具体的にどんな問題事業があるのかは、今日の日経静岡面から出てくるようですから、楽しみにしたいところです。

この記事を書いた記者さん、こういう厳しくも温かい批判を書いて、これから静岡の地方創生の問題に本格的に取り組むかに見えます。が、実は、4月1日付で東京に異動になる、と最後に書いているのがこの記事のオチ?のようです。

さて、日経が何を批判しているのかと言うと、地方創生の「地方版総合戦略」につき、静岡県内35市町が掲げた計約1300項目に上る目標の平均達成率が49%だけだった、ということです。

将来の人口目標達成に向けた基本目標285項目の進捗状況では、「改善」は47%で半分に満たず、「不明」も17%に上ったそうです。そもそも目標策定で5年に1度の統計を利用しているケースも多く、最初から計画の進捗を確認できないことも多いようです。背景にはやはり、多くの計画が「補助金目当て」だったことがあるようで、自治体の職員自身がそう告白しているそうです。

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しかも、静岡県内の35市町のうち半数超の18市町が地方版総合戦略について、必要な見直しをしていなかったということです。

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政府は、地方創生政策は過去の地方振興政策とは違う、それは、明確な数値目標を掲げてPDCAサイクルを回しているからだ、と言ってきたはずです。ところが、実際にはチェックが全然されていない自治体が多数ある、ということになります。つまり、地方創生は、過去のバラマキと同じだ、というわけです。

日経が、静岡県について調べただけでこれです。政府は全然チェックできていません。全国の地方版総合戦略について、日経を含め、各メディアが実態を調べ直して、同様の問題があれば、政府を厳しく追及し、国民に報道するべきです。

同時に、これまでメディア自身も、地方創生に関する自治体の事業を、有意義かどうかあまり考えずに、無批判に好意的な紹介をしていなかったでしょうか?そうした自己点検も是非してほしいと思います。

地方創生は中央集権的5か年計画。計画最終年度の来年度で終了し、現在検討中の「第2期」は中止すべき。

そもそも、地方創生政策とは、内閣官房「まち・ひと・しごと創生本部」が、総合戦略をつくり、それを勘案し都道府県が総合戦略をつくり、さらにそれを勘案して市町村が総合戦略をつくるという仕組みです。計画期間は2015年度から2019年度までの5か年で、5か年計画。地方の総合計画が出ていない段階で各省の予算がつくのですから、結局、中央から事業をつくって、予算をとれるように各地域で計画をつくってこいと言っているのと同じです。

こんなやり方をするよりも、端的に、政府の財源や権限を出来るだけ地方に移譲して、自由な創意工夫で政策をうてるようにした方が、はるかに地方分権に資するでしょう。

予算について言えば、一応、交付金の形をとって、自治体が自由に使える余地を残していますが、もちろん政府の総合戦略の枠内の話です。2019年度予算案の地方創生推進交付金は1000億円ですが、対象事業は、しごと創生(地域経済牽引事業等)、観光振興(DMO等)、地域商社、生涯活躍のまち、子供の農山漁村体験、 働き方改革、小さな拠点、商店街活性化等々、大変に総花的で、制度創設当初から、縦割り的だという批判がありました。

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出所:内閣官房まち・ひと・しごと創生本部

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sousei/about/pdf/h30-12-21-h31tousyo.pdf

政府自身の総合戦略の目標についてですが、2020年に東京圏への転入超過数をゼロにする目標が、全く達成できていません。2017年の転入超過数は12万人と13年よりも増えています。来年までにゼロにするのはもう不可能です。

2017年に東京圏への転出超過数が多かった都市は、多い順に、仙台市大阪市、札幌市、名古屋市、神戸市だそうです。そこで政府は、「これからは政令市や県庁所在市の強化だ!」と言い始めているようですが、そこじゃない感が強すぎます。

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昨日、政府は、2020年度以降の地方創生について、有識者会議を開きました。2020~2024年度を第2期として、人工知能など最新技術の活用や専門分野における新たな人材育成策も検討する、と言います。

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もう、AIだの何だのと聞こえの良い大義名分を作って、何でもいいから惰性で制度を続けようという発想に見えます。第2期をやるなら、まずは第1期の成果をきちんと振り返る必要があります。そのためには、地方総合戦略がまともに動いているのか、全国的な点検が必要です。おそらくは静岡県のような実態は全国にあるでしょう。それが分かった時点で、地方創生政策は第1期のみで終了させ、第2期の検討は取りやめるべきです。