日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

「身分から職業へ」:公務員制度改革には、維新の理念こそ必要。大坂維新の四つの選挙勝利を祈念。

今日の要点

・松井大阪府知事、吉村大阪市長が辞職、クロス選+W選挙へ。絶対に勝ってほしいところです。

・維新の掲げた理念で特に重要なのは、公務員制度改革での「身分から職業へ」という理念です。公務員は、その職にある限り公務員なのであり、公務員身分があってはなりません。

・現在、政府が進めようとする公務員制度改革は、公務員の定年延長だけが先行しており、賛成できません。公務員の特権廃止(人事院制度改革、天下り禁止の徹底)と働き方改革が必要です。

大坂維新の四つの選挙

松井大阪府知事、吉村大阪市長が辞職。府知事選と市長選に入れ違いで立候補するクロス選挙、同時に大阪府大阪市の議会もあります。松井知事はともかく、吉村市長は府全域での評価が分かりませんし、府・市の議会は中選挙区制のため、公明党と正面から戦って過半数が取れるか分かりません。それでも、都構想の住民投票実現に局面打開のための賭けですが、絶対に勝ってほしいところです。

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この選挙は都構想の是非が焦点ですが、大坂維新の会の、党としての存亡を賭けた戦いでもあります。私は、国政政党の日本維新の会と、大阪以外の維新の会の活動については、最近では支持できない部分が増えすぎたように感じています。しかし、大坂の改革には大坂維新の会が絶対に必要だと思いますし、大坂都構想は、もし成功すれば、日本全体の大改革の起爆剤になると考えています。このため、大坂維新の会は今回の四つの選挙に、是非勝ってほしいと思います。

今回の結果がどうあれ、橋下徹氏が大坂で始めた「維新」という政治運動の理念は、形を変えても必ず引き継がれるべきですし、今後の改革に生かされるべきです。橋下徹氏は、大坂でも、国政に対しても、大変な業績を残されてきましたが、その実績とともに、日本の改革を導くような、いくつかの重要な理念を示されてきました。ここでは、橋下維新の掲げた「身分から職業へ」という理念と、あるべき公務員制度改革を考えます。

橋下維新の掲げた理念:「身分から職業へ」

「身分から職業へ」という言葉の元々の由来は、私もよくは分かりません。堺屋太一氏の発案と聞いたことはあります。誰が最初に言い出したにせよ、メインの『古代法』に出てくるという有名な言葉「身分から契約へ」が下敷きになっているのでしょう。人間の権利・義務が生まれながらにして決まってしまう「身分制」から、各人の自由意志で権利・義務を決められる契約自由の社会へと、世の中は変わっていくものだ、という意味です。

この考え方を、公務員制度にも応用して、「公務員身分」というものを否定し、公務員の権利・義務を、通常の労働契約によるものと同様にする、という意味、と私は理解しています。

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前近代の、あるいは戦前日本の公務員制度では、ある人が公務員になると、その人は公務員身分というものを取得し、その身分によって公務員としての権利・義務を取得していました。私は、この制度こそが、今に続く公務員制度の問題の起源だろうと思います。制度の建前は近代公務員制度になっていても、未だに牢固として「公務員身分」という発想を公務員も政治家も持ち続けていて、それが現実の制度を規定していることが問題です。

公務員はなぜ、原則としてクビにできないほどの強い身分保障があるのか。それは、公務員が文字通り「身分」だからであり、いったん取得したら、死ぬまでそのままという考え方があるからです。

なぜ、職位によらずに年功序列で賃金が上がり続けるのか。これも、公務員というものが一つの身分だからであり、給料は仕事に対してではなく、年齢ごとの身分に支払われているからです。

なぜ、人事院制度で守られているのか。公務員は身分だからであり、身分にふさわしい待遇が民間とは別に決められるべきだからです。

そして最大の問題として、なぜ天下りがなくならないのか。公務員は退職後も公務員という身分を持ち続けているからです。公務員身分にふさわしい待遇は退職後も出来る限り長く与えられるべきだからです。

このように、公務員制度の様々な問題は、「公務員身分」という前近代的な考え方が根強く残っているからこそ、発生しています。

近代の公務員制度は、こうした公務員身分というものを否定して、公務員は法律で定められた特別の「職」にある限りにおいて、公務員としての権限・義務を負うことになります。いわゆるジョブ型の公務員制度の考え方に近いものです。そして、労働者としての公務員は、民間の労働者と同様、自由意志で締結される労働契約による権利・義務を持つことになります。こうした近代公務員制度の理念に近づけるような改革が必要です。

橋下徹氏は、以下のツイート引用のように、身分保障天下りに関して、大坂府・市の職員基本条例で行った公務員制度改革につき、「身分から職業へ」という理念から説明しています。

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「身分から職業へ」の理念で、公務員の特権廃止と働き方改革

政府は、国家公務員の定年を60歳から65歳に延長する方針です。60歳以上の給与水準を60歳前の7割程度とするものです。民間企業の定年延長の促進や給与水準の底上げにつなげる考えで、「7割」の根拠は、人事院の民間企業給与に関する調査によると言います。

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これに、自民党の行革本部が反対しています。政府が検討している国家公務員の定年引き上げに先立ち、能力や実績に基づく人事評価を徹底すべきだ、という考えです。

昨日、自民党の塩崎元厚生労働大臣が本部長の行政改革推進本部は、「『公務員制度改革』の徹底について」と題する提言を菅官房長官に提出しました。国家公務員の定年の段階的な引き上げは、能力や実績に基づく人事評価の徹底や民間からの幹部ポストへの公募採用、女性の抜てき人事が前提となるべきで、「実質的に改革が実現したとは認められない」と指摘しています。
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自民党行革本部は、一律で7割の給与を支給するのは「同一労働同一賃金」の原則に反するし、7割の根拠となる人事院の調査も疑わしい、と批判しています。
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私は、塩崎氏らの主張に賛成ですが、公務員制度改革は更なる徹底が必要です。橋下維新の掲げた「身分から職業へ」という理念で、公務員の特権を廃止するとともに、働き方改革を行うべきです。

公務員の特権を廃止するため、公務員の相対評価を徹底して能力次第ではクビに出来るようにして、人事院制度を廃止含めて大幅に見直し、天下り規制を強化すべきです。一方、公務員の労働基本権を保障し、残業上限等の規制を強化する働き方改革を実現すべきです。

日本維新の会は、大阪府・市の職員基本条例をもとにして、国家公務員法改正案を作っています。ポイントは、年功序列人事の廃止と相対評価の徹底、そして、天下り規制の徹底です。

法案の概要・要綱・条文等は以下にあります。

概要

https://o-ishin.jp/houan100/pdf/detail026.pdf

要綱・条文等

https://o-ishin.jp/houan100/pdf/outline026.pdf

ここでは、公務員の身分制の象徴的な例として、天下り規制について取り上げます。

第二次安倍政権では、文科省の組織的天下りという絶好の機会があったにも関わらず、天下り規制はゆるいままです。第一次安倍政権での公務員制度改革霞が関全体を敵に回して失敗したという認識があるのか、安倍総理は、公務員の特権については本当に全く手を付けないままです。これに総理含めた官邸の恣意的な行政が加わって、官僚の度重なる不祥事を招いており、安倍政権の最大の問題の一つです。

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少なくとも、文科省の事件があった以上、天下り規制を徹底すべきです。

現在の国家公務員法天下り規制は、言わば行為規制が中心です。具体的には、

・他の職員・元職員の再就職依頼や情報提供等の規制

・現職職員による利害関係企業等への求職活動の規制

・再就職者による元の職場への働きかけ規制

というものを行っています。これだけ挙げれば何となく厳しそうに見えますが、こうした規制では、上に挙げた特定の禁止行為さえ回避すれば、政府出資法人等に堂々と再就職=天下りができます。文科省の事件はこのゆるい規制さえ守られていなかったのですが、霞が関の役人から言わせれば、あれは下手なやり方。現職・元職の公務員以外の民間人が、「忖度」する形で情報提供や働きかけをして、結果的にマッチングしました、というような形なら、問題にもなりません。

このような、特定の行為だけを禁止する形の天下り規制ではなく、一定の範囲の法人、いわゆる天下り法人への再就職自体を原則として禁止する、こうした方向に天下り規制を変えるべきです。

維新の国家公務員法改正案では、独立行政法人を含む政府出資法人、特殊法人認可法人政令で定める公益財団法人や公益社団法人(かつて中央省庁が主務官庁となっていた法人を想定)については、一律で再就職を禁止し、例外として(総理の委任を受けた)再就職等監視委員会が承認する場合のみ、再就職を認める、という形にするべきです。

天下り規制の徹底は、公務員というものが身分ではなく、普通の職業として国民に認識されるだけでなく、然るべき敬意をも払われる大きな契機になるはずです。そして、このような改革を実現するために、「身分から職業へ」という理念は、今後ますます日本に必要となるはずです。

 

かつて1200万票を集めた国政政党・日本維新の会郵政選挙民主党政権交代選挙の時より大幅に投票率が下がる中で、これだけの得票をしたということは、自民党はじめ既成政党の支持者の中にも、かつては「維新」という理念・運動に共感した人がどれだけ多かったかを示しています。私自身、小泉政権時代は自民党の支持者でしたがその後支持できる政党が見つからなくなったところに、維新が掲げた「身分から職業へ」という理念に接して、維新を支持するようになった一人です。

いま、国政維新は、かつての輝きを失い、安倍政権の補完勢力と目され、支持率を大きく落としています。大坂での改革は、橋下氏の八面六臂・獅子奮迅の働きでしっかりと軌道を決められ、後継者たちがようやく結果を出し始めたところですが、来月に、大坂維新の会は、政党としての存亡を賭けた極めて厳しい戦いに臨みます。私は、橋下徹氏の掲げた改革の理念に基づく改革が、今度の選挙で後退することは絶対にあってはならないと思います。東京から、大坂維新が四つの選挙で勝利することを願い、せめて大阪に縁のある知り合いに声をかけていこうと思います。