日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

禁煙政策:受動喫煙防止の徹底、喫煙者減少政策に加え、タバコの販売禁止を実現しましょう!

今日の要点

・昨年から、日本の受動喫煙禁止政策はかなり進展しました。ただ、まだ不十分なので、徹底する必要があります。

・現在の喫煙者を減らすために、禁煙医療を拡充すべきです。また、将来の喫煙者を減らすため、東京都の「子どもを受動喫煙から守る条例」の執行を徹底する工夫が必要です。

・そして、販売店と製造業者に対し、販売・製造の禁止を課すべきです。諸悪の根源は供給者であるとの認識で、政策を立案・実行すべきです。

受動喫煙防止政策は一気に進んだが、まだまだ課題も

昨日、私が住んでいる中野区で受動喫煙対策を進めるべく、都民ファースト内野大三郎区議と、同党代表の荒木千陽都議に会って、色々要望をしてきました。

中野区は23区でも特に受動喫煙対策が遅れていて、未だに「路上喫煙防止」条例ではなく、「歩きタバコ禁止」条例しかありません。受動喫煙禁止という発想ではなく、ポイ捨ては街が汚れるしタバコの火は危険だから、というだけの大昔の発想です。

www.city.tokyo-nakano.lg.jp

そこでまずは、路上喫煙防止条例の制定を求めていきます。二人とも、大変積極的に応じてくれて、今後が楽しみです。

これについては、既にネットでの署名活動をされている方もいます。

 このように、東京都下でも、区・市の規制はまだまだの地域も多いのですが、昨年は、国でも東京都でも、受動喫煙対策が大きな進展を見せました。国の健康増進法改正の議論が大きく後退する中で、東京都が先進的な二つの受動喫煙防止条例を制定したのが大きなインパクトを与えました。その後、千葉市も市町村で初の受動喫煙防止条例を制定しました。

それでも、いくつか課題が残っています。

まず、国も都条例も、飲食店等の施設で、喫煙専門室での喫煙を認めています。喫煙専門室と言っても人の出入りはあるので、受動喫煙を完全に防ぐことは難しいでしょう。

また、国も東京都も、こうした喫煙専門室の設置について、補助金を出す方向であることです。補助金は、喫煙室等を撤去する施設にこそ出すべきで、千葉市はその方向です。国、東京都とも、全面禁煙を選択した施設への補助金に切り替えていくべきです。

さらに、加熱式タバコについては、国も都も、飲食の出来る喫煙室での喫煙を認めてしまいました。加熱式タバコは最近開発されたタバコで影響についての予測が困難、というのが、厚生労働省が挙げる理由です。しかし、ニコチンが含まれていることは明らかですし、大規模な疫学的な研究がまだなされていなくとも、予防原則に基づき、紙巻きたばこと全く同様の規制を行うべきです。

これらの課題や受動喫煙対策の現状については、都民ファースト岡本光樹都議(弁護士)が以下の論文にまとめています。

http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/journal/gakkaisi_181212_49.pdf#search=%27%E5%B2%A1%E6%9C%AC%E3%81%93%E3%81%86%E3%81%8D+%E5%8F%97%E5%8B%95%E5%96%AB%E7%85%99%E7%A6%81%E6%AD%A2+%E8%AB%96%E6%96%87%27

以上の受動喫煙対策は、喫煙者以外の、環境タバコ煙にさらされる人達の健康を守ることを目的にした政策です。そして、飲食店等の施設設置者にも規制を行っています。喫煙者への規制も、あくまで、受動喫煙による他人への害の発生を防ぐためです。

今後の禁煙政策は更に、喫煙者の健康も重視するとともに、諸悪の根源であるタバコの供給源を断つ政策を打ち出すべきです。

現在・将来の喫煙者を減らす政策

現在の喫煙者を減らすために禁煙治療の範囲を広げるとともに、将来の喫煙者を減らすための教育・啓発を徹底すべきです。

タバコには強い依存性があり、喫煙を続けてしまうのは自己責任とばかりは言えません。喫煙者のうち3割程度はタバコをやめたいと思っていますが、依存性のためにやめられない人も多いはずです。こうした喫煙者への温かいサポートが必要です。

まず、禁煙治療についてですが、保険適用の範囲を広げるべきです。現在は、35歳以上の者については、1日の喫煙本数×喫煙年数が200以上という要件等のほか、ただちに禁煙することを希望しており、「禁煙治療のための評価手順書」の説明と、治療の同意を文書でした場合のみ、禁煙治療を受けられます。

www.fukushihoken.metro.tokyo.jp

健康のためには出来るだけ受けた方が良い治療に限って、なぜここまで厳重な手続きでのインフォームド・コンセントを求めるのか分かりません。ところが、対面診療なしのオンライン診療は禁煙外来のみ認めています。こちらについては、出来るだけ禁煙治療を促す趣旨なのでしょう。禁煙治療の扱いにつき、一貫性を欠いています。禁煙治療でニコチンパッド等を利用するから厳しい手続きが必要、というのも、それよりはるかに危険なタバコを成人が誰でも買える現状を考えれば、やはりバランスを失しています。禁煙治療について、35歳以上の喫煙の頻度や書面性等の要件は、もっと緩和してよいと思います。

禁煙治療への補助金も、更に拡充すべきです。

東京都内では、中央区・品川区・北区・荒川区練馬区・港区・豊島区が、1人あたりの上限1万円で禁煙外来治療費の一部を補助・助成しています。豊島区は妊婦や子どもと同居している場合等には2万円としており、これなら自己負担がほぼ なくなるようです。 東京都は、区市町村のこうした制度につき、半額を補助することも決まりました(以上につき、上記リンクの岡本論文参照)。

今後、補助制度を各区に広げ、どの喫煙者についても、ほぼ全額の補助を実現すべきです。

更に、将来の喫煙者を生まないための対策が必要です。東京都は、「子どもを受動喫煙から守る条例」を制定し、努力義務ながら、都民が家庭内等でも子どもに受動喫煙をさせないよう義務付けました。同条例には、教育・啓発についても規定されています。この教育・啓発により、子どもの受動喫煙を防止するとともに、子どもが将来喫煙者になることも防げます。この制度を一層実効性があるようにすべきです。

そのために有効な手段の一つと思われるのが、小中学校での「受動喫煙検診」です。ニコチンの代謝物のコチニン(本当にこういう名前だそうです)が尿中濃度を調べることで、受動喫煙の有無・程度が分かる検診です。熊谷市がこれを以前からやっていて、10年間で保護者の喫煙率が激減するという効果を上げました。

「子どもを受動喫煙から守る条例」は、罰則がないので実効性が課題とされてきました。学校で受動喫煙検診を行えば、遵守状況が客観的に測定できます。そして、結果を通知することで、強制力や家庭内への干渉なしに、保護者に自発的な禁煙を促すことができます。そして、親心はやはり大したもので、大きな効果が上げられています。この検診の過程でたばこの危険性についての教育も十分行えば、将来の喫煙者も減らせるはずです。

東京都下の各自治体でも是非導入すべきですし、東京都以外の地域は、健康増進法の一般的な配慮義務「何人も、喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じ させることがないよう周囲の状況に配慮しなければ ならない」(25条の3)によって、子どもの受動喫煙を防止し、その手段の一つとして、受動喫煙検診を実施すべきです。

mainichi.jp

最終的な目標は、タバコの販売・製造の禁止

そして、最終的には、タバコの販売・製造の禁止を実現すべきです。

年間数万人の死者という恐ろしい被害を生んでいるタバコ。これを吸う方と作って売る方のどちらが悪いのか。当たり前のことですが、作って売る方です。タバコには依存性があり、いったん始めたらやめられないうえ、タバコ会社はタバコの危険性についても依存性についても消費者や社会をだまし続けてきたからです。

昨年の国会審議で、維新の東徹議員が、なぜ日本の受動喫煙対策は他の先進国より遅れているかを質問し、参考人の望月友美子氏が答えています。以下、バズフィードジャパンの記事を引用します。

(引用開始)「一番重要な質問だと思う。受動喫煙対策は本当は日本が一番進んでいなければいけない国だった」と前置きした上で、日本の”黒い歴史”を明かした。
日本は実は、当初受動喫煙問題について最初に問題提起した国だった。
望月さんは、1981年に国立がんセンターの疫学部長だった平山雄氏によって書かれた受動喫煙と肺がんとの関連を指摘する「平山論文」が世界の受動喫煙対策の礎になったことを紹介した。
その上で、たばこ産業によるネガティブキャンペーンが日本の研究を潰してきたことが数々の論文で証明されている背景を伝え、こう語った。

「政策形成において、科学をどれだけ大事にするかということが損なわれています。そこにたばこ産業が大きく加担して潰れていったという背景があります。今こそ挽回の時で、何十年分の遅れを挽回しなければならない」(引用終)
www.buzzfeed.com

「たばこ産業によるネガティブキャンペーンが日本の研究を潰してきた」とは、何のことでしょう?荻野寿美子氏がツイッターで情報提供されています。

 ここで紹介された論文は、飯⽥⾹穂⾥、ロバート N.プロクターによる「たばこ業界は陰に隠れて」 です。この論文では、JTフィリップ・モリス等のタバコ会社が、198年代に、厚生労働省の「たばこ白書」や旧大蔵省のたばこ事業等審議会での議論を歪めて答申を出させたかについて、実態が明らかにされています。受動喫煙の危険性を世界で初めて指摘した平山雄氏は、この過程から完全に排除されました。

http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/tobaccocontrol-2017-053971-inline-supplementary-material-1.pdf

この件に限らず、たばこ産業による政策への影響という点で、日本は最悪の国の一つです。これは、指数化による国際比較でも明らかになっています。

http://www.jstc.or.jp/uploads/uploads/files/information/201879TIII.pdf

禁煙政策を妨げる一番の問題は、やはりタバコ会社なのです。禁煙政策は、受動喫煙対策の徹底、喫煙者への温かい支援、子どもの受動喫煙防止徹底による将来の喫煙者の減少、そして、最終的にはタバコの販売と製造を禁止することを、禁煙政策の目標の一つとするべきです。

タバコの販売禁止については、既に、沖縄県竹富島が実施し、大きな効果を上げています。昨年8月14日に「たけしの家庭の医学」というテレビ番組で紹介されていましたが、たった3年間で、心筋梗塞脳卒中による緊急搬送が80%減りました。島でのたばこ販売の禁止を含むこの取り組みは、2017年11月の厚生労働省健康寿命をのばそう!アワード」で最優秀賞を受賞しました。

www.asahi.co.jp

具体的には、島内のたばこの自動販売機は全部撤去、商店など店頭でのタバコの販売も禁止して、島内ではたばこが手に入らない状態にした、ということです。島という環境がこれを容易にしたにせよ、たばこの販売禁止は、やれば出来る政策だ、ということです。厚生労働省が賞を与えてお墨付きまでしています。

http://www.smartlife.go.jp/award_vote/pdf/36

日本対がん協会は昨年、「タバコゼロ宣言」を公表しました。喫煙者もなくして、喫煙開始もなくすことを目指すのですから、タバコ販売の禁止が有効な手段になるはずです。

www.jcancer.jp

現状では、まだまだタバコ会社の力は強いので、対抗するためには、集団訴訟も一つの有力な手段です。アメリカの禁煙政策も、集団訴訟で大きく進みました。これまで、こうした訴訟ではタバコ会社の勝訴が続いていましたが、昨年の大きな法改正、条例改正により、裁判所の判断が変わる可能性は高いはずです。過去に裁判所が採用した資料が、現在では、タバコ会社の圧力で歪められたものだったことも分かっているのですから、なおさらです。

 いずれは、コカインやヘロインと同様に、タバコの製造・販売・所持が禁止される社会に出来るはずです。その実現のために、まずは、竹富島の例のように、自治体ごとに、タバコ販売の禁止を行うことも、禁煙政策の目標に加えるべきです。