日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

北朝鮮の核ミサイルを無力化するには:独自のミサイル防衛完成、集団的自衛権拡張、「国民の、国民による、国民のための」国防の実現

今日の要点

・第二回米朝首脳会談では、非核化について大きな進展は望めません。北朝鮮が核保有国であるという現実を踏まえた対応が必要です。

北朝鮮の核ミサイルを無力化する対策が必要です。ミサイル防衛を完全にして、集団的自衛権の行使範囲を拡大するべきです。

・更に、核に関する安全保障につき、国民への徹底した情報公開を含め、国民が安全保障についても意思決定に権限と責任を持つ体制が必要です。

二度目の米朝首脳会談

ハノイで行われている二度目の米朝首脳会談は、非核化という点では、あまり期待できないようです。日経によれば、非核化のためには、北朝鮮が「かたくなに譲らない交渉の原則」が三つあり、段階別・同時行動、朝鮮半島の非核化、信頼醸成だそうです。

もし、これらに同意すれば、

・段階別・同時行動:これでいくらでも時間稼ぎが可能になります。

朝鮮半島の非核化:これで韓国への核兵器の再配備が不可能になるどころか、アメリカによる「核の傘」の提供も出来なくなります。日韓ともに絶対に飲めない条件です。

・信頼醸成:これで経済制裁をやめることになります。

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もう、ハードルというより、「非核化はしません」と最初から言っているようなものです。最初からそう言っている相手と、また会談するのだから、アメリカも北朝鮮の非核化はあきらめているということでしょう。要は、少なくとも当面は、北朝鮮を核保有国として認めるということです。なんで二回も会うかと言えば、国内でトランプのスキャンダルが追及されていて、外交上の成果を上げる必要があるからでしょう。北朝鮮には楽勝の相手です。

産経も、トランプは「北朝鮮が核・弾道ミサイルや核施設の全容をただちに開示することはもはや期待していないとみられる」と報じています。これはどの報道もほぼ一致しているようです。

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朝日によれば、北朝鮮は、実戦配備段階の核兵器を少なくとも20個保有しており、「こうした国を非核化させた前例はない」。それはそうでしょう。もう誰も非核化なんてさせられません。

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一方で、拉致問題については、何らかの進展はあるかもしれません。総理が大統領に電話で頼んだそうですから、「期待するしかない」そうです。
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日本独自のミサイル防衛システム完成と集団的自衛権の拡張

では、核保有国・北朝鮮の脅威に、日本はどう対応すればよいでしょう。ハード面の軍備の充実とソフト面の制度の整備が必要です。

ハード面では、日本独自のミサイル防衛システムを完成させることです。

まず、日本独自のミサイル防衛システムです。北朝鮮に限らず、中国等の核ミサイルに対して、アメリカは日本に「核の傘」を提供している、ということになっています。しかし、現実的に考えれば、これが本当かどうかは疑わしいものです。

核の傘」とは、「相互確証破壊(MAD)」にもとづくものです。中国や北朝鮮の核ミサイルが日本や韓国に発射さて、日韓に甚大な被害が生じたとしても、その後に、アメリカが報復のために中国や北朝鮮を核攻撃して更に甚大な被害を与えてくれる。中国も北朝鮮もこれが怖くて、日本や韓国に核ミサイルを発射しなくなるはずだ。これが核の傘です。

核の傘」は、アメリカにとっては、アメリカ以外に核の抑止力を拡大することになるので、「拡大抑止」と言われています。2015年4月に再改定した日米防衛協力の指針(ガイドライン)には「米国は核戦力を含むあらゆる種類の能力を通じ、日本に拡大抑止を提供する」と明記されています。

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しかし、日本や韓国が被害を受けた「その後に」、被害を受けていないアメリカが、本当に核ミサイルで報復攻撃などしてくれるでしょうか?中国や北朝鮮を核攻撃して、更なる報復攻撃を受けるような危険なことを本当にするでしょうか?ガイドラインに書いたところで、アメリカの大統領や政府高官が何度口約束したところで、分かったものではありません。核ミサイルの報復合戦は、アメリカ自身の存亡にも関わるのですから。せいぜい、アメリカとの経済的・社会的な結びつきを密接にして、利害関係が深くなれば、アメリカもいくらかは自分のこととして行動してくれるはずだ、というくらいです。(この考え方の紹介は、たとえば以下の論文でなされています。)

https://ci.nii.ac.jp/els/contentscinii_20190228071501.pdf?id=ART0008080476

どれほど信頼関係を深めても、核の傘には不安が残ります。一方、日本自身が核武装することは非現実的です。やはり、日本独自のミサイル防衛システムを完成させることが必要です。何も現在批判されているような高額なシステムを、それも外国から買う必要ありません。もっと安価で効果の高いシステムを独自開発して配備するべきです。

期待できるシステムはいくつもあります。電磁レールガンやレーザー兵器による防衛システムもその一つで、既に実戦配備されています。1発100万ドルといわれるミサイルに対し、レールガンははるかに安いようですし、レーザー兵器に至っては、1発数ドルだそうです。初期費用は160億円ですが、十分ペイするでしょう。

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核ミサイルは開発・製造・管理に相当のコストがかかります。中国も北朝鮮も、100万人単位の餓死者を出すようなすさまじい犠牲を伴いながら、何十年もかけて、核ミサイルを手にしました。ソ連は、レーガンによるSDI構想に対抗するために核ミサイルに更に予算をつぎ込んで破綻したと言われています。当時のSDI構想は技術的には全く未熟だったのに、ソ連向けにフェイク情報を流してソ連がそれを真に受けた、というオチまであるようです。

これに対し、低コストで核ミサイルを無力化できる技術があれば、ミサイル攻撃とこうした防御兵器(アクティブ防御と言われるようです)の費用対効果が逆転し、敵を経済的に追いつめることもできる、とアメリカも考えているようです。米国の「戦略予算評価センター(Center for Strategic and Budgetary Assessments : CSBA)」が米政府に行った「第三のオフセット戦略」の提言(2014年)の中でも、レールガン等の項目で、「ミサイル攻撃とアクティブ防御の費用対効果の逆転」とあります。

経済的に困窮する北朝鮮はもちろん、経済成長が鈍化した中国も、日本が安価な防衛技術を使って、自分達が死ぬ思いで作った核ミサイルを無力化されるのは、いやな話でしょう。

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ハード面ではもう一つ、敵基地攻撃能力の保有が必要です。本当は、改定された防衛大綱にのせるべきでした。野党に叩かれるのがいやで見送ったようですが、今国会を見る限り、野党の「攻撃」は大したことなさそうなので、十分乗り切れたでしょうに。

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ソフト面では、集団的自衛権を行使する範囲を、アメリカ本土にも及ぼすべきです。具体的には、中国・北朝鮮ICBMを打ち落とすシステムも独自に開発・保有すべきです。これは、アメリカによる「核の傘」の信頼性をより高めるための手段です。

平和安全法制で法的にも認められた集団的自衛権の行使ですが、あくまで自国防衛のための手段ということになっています。しかし、核ミサイルに対する防衛こそ重要な現代では、アメリカ本土という遠い外国の領土を守るためにも、自国防衛目的で日本のミサイル防衛システムを活用することが認められるはずです。あるいは、端的に他国防衛目的の集団的自衛権行使を認めるよう法律や解釈を変更する、という形でもよいと思います。こうした点については、いずれまた本ブログでまとめて書きたいと思います。

安全保障について国民の権限と責任の拡大を。「国民の、国民による、国民のための」国防を実現。

最後に、私が一番重要だと思うことは、核ミサイルへの防衛も含めて、国の安全保障政策につき、国民の権限と責任を拡大すべき、ということです。核ミサイルによる恐怖の均衡で成り立つ現代の国際関係では、民主主義国家の国民が、その恐怖に耐えて理性的な判断が出来なければいけません。そのためには、政府の安全保障政策に対する国民の信頼が必要ですし、可能な範囲で、国民が政策決定に関与できるようにもすべきです。

まずは、中国、北朝鮮、ロシア等の核ミサイルの脅威の実態や、アメリカの「核の傘」の現実につき、国民に出来る限り全ての情報を公開すべきです。たとえば、拡大抑止についての日米の「拡大抑止協議(EDD)」の議論を、国民に公開すべきです。核に関わる安全保障政策につき、国民が正しく判断できるようにするためであり、この協議について知ることは国民の当然の権利です。この点は、以前も本ブログで主張しました。

INF条約の廃棄を機に、政府は「核の傘」に関する日米拡大抑止協議(EDD)の議論を国民に公開せよ。 - 日本の改革

また、ミサイル防衛というのは、国民とは全く縁遠いものに見えますが、可能な範囲で、たとえばドローンでの情報収集等、出来ることは認めるべきです。核ミサイルは、巨額の予算を使う政府にしか運営できません。しかし、その防衛手段の開発や運用については、民間で出来る部分は沢山あるはずです。然るべき厳しい規制で責任を負わせたうえ、国民が国防に参加できる権利を保障すべきです。

更に、核ミサイルに限らず、国民が外国からの攻撃で受けた被害について、充実した補償制度を作るべきです。これにより、国防が国民のためののもだということが一層明確になります。この点も、以前、本ブログで書きました。

空襲で被害にあった民間人を救済する法案:戦争被害の補償に関する官民格差 - 日本の改革

こうして、核ミサイルに対する防衛を含む安全保障政策につき、国民の権限と責任を拡大すべきです。

核ミサイルに対する防衛に関連して、以前、本ブログで引用した、レーガン大統領の演説を再掲します。

「私は核ミサイルを目標到達前に破壊する防護盾が可能か否かを知るための研究計画を承認した。それは人民を殺戮するのではなく、兵器を破壊するのである。それは宇宙空間を武装化するのではなく、地上の兵器を非武装化し、核兵器を時代遅れにするのである。我々は、世界から核破壊の脅威を除去する道について合意できるよう望みつつ、ソヴィエトと協議する 」

必要なのは核武装ではなく、核ミサイルの無力化:アメリカのミサイル新戦略と日本 - 日本の改革

日本国民ほど、核兵器の廃絶を強く願う国民はいません。日本が、日本国民がとるべき道は、核兵器の無力化による核廃絶です。これは厳しい安全保障環境を踏まえても十分現実的で、しかも日本国民を含めた諸国民が心から納得できる倫理的な目標です。その実現のためには、安全保障政策は、国民が自らの権限と責任で決定し、可能な範囲で遂行する、「国民の、国民による、国民のための」国防を行うべきです。

近代になってからの日本の戦争の多くは、色々見方があるでしょうが、国民のためになった部分もあったと思います。言わば、「政府の、政府による、国民のための」戦争でした。政府は国民を守ってやる、国民の利益になる戦争をしてやるんだ、だからお前たち国民は、政府のやる戦争に口を出すな。これが戦前の日本です。ところが、第二次大戦で、少なくともその末期に、日本の戦争は国民のための戦争ではなく、「公務員の、公務員による、公務員のための」戦争に堕落しました。

そして、日本政府は、未だに安全保障政策について、国民に口を出させまい、国民に事実を知らせまいとしています。防衛相の日報問題、全て非公開で決める日米地位協定の運用、拡大抑止協議も非公開。この現実を打破して、「国民の、国民による、国民のための」国防を実現しようではありませんか。