日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

沖縄の一部基地を県外に移転しましょう。日米同盟は堅持しつつ、占領時代の既得権を一掃しましょう。

今日の要点

・沖縄の県民投票で辺野古埋立に反対多数。20年以上にわたって繰り返し示される民意を、政府も、沖縄県以外の都道府県も、国民も、重く受け止めるべきです。そして、沖縄の基地負担軽減を実現しましょう。

日米安保条約は必要です。ただし、日米地位協定の改定を行うべきですし、日米合同委員会の議事録は公開すべきです。

・日米同盟は堅持しつつ、占領時代から続く日米双方の既得権を国民の力で倒しましょう。日本の安全保障は、日本国政府と日本国民が、一層の権限を持ち、一層の責任を負うべきです。

沖縄の県民投票で辺野古埋立に反対多数。政府、都道府県、国民は重く受け止めるべき。

沖縄県の県民投票で、辺野古埋立に反対多数の結果が出ました。一部自治体に不参加まで言わせておいて、選択肢を三択にしてまでして、それでも7割超が反対。玉城知事の知事選での得票を上回る反対票でした。

www.okinawatimes.co.jp

与党は、自民党公明党も(なんちゃって与党の維新も)自主投票にしました。おそらく、自主投票とするだけでなく、「投票に行くな」と締め付けを行ったのでしょう。事前の共同通信朝日新聞世論調査では、9割超が投票に行く、と答えていたのに、実際の投票率は52.48%だったからです。与党は、負けが確実と見て、投票率をできるだけ下げて、県民投票の意味がない、と主張しようとしたのでしょう。

事前の共同通信世論調査です。記事に「期日前投票不在者投票を済ませたという人を含め、投票に行くと答えたのは94.0%」とあります。

this.kiji.is

結果を見れば、最終投票率は52.48%でした。1996年9月に沖縄県が実施した、日米地位協定の見直しと米軍基地の整理縮小の賛否を問う県民投票の投票率の59.53%よりは少ないものの、これだけあれば、十分に民主的な正当性があります。52%程度では投票率が低すぎる!意味がない!という人は、ほぼ同程度の投票率だった過去2回の衆参両院の選挙についても、正当性を否定するべきでしょう。

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過去2回の衆参両院の選挙、投票率は52~54%

これで、米軍基地のあり方に付き、沖縄県民の意思が、4度示されたことになります。1996年9月の県民投票で、米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の見直しに、賛成が89.09%でしたが、基地の整理・縮小はそれほど進んでいません。 辺野古移設が争点の2014年11月の知事選では、移設反対の翁長雄志氏が大差をつけて当選。 昨年9月の知事選でも、移設反対の玉城デニー氏が大差で当選。そして今回の県民投票です。

mainichi.jp

もう20年間にわたって、4度にわたって、沖縄県民の意思が示されました。政府は、工事をいったんストップするべきです。総理は一応すぐ会うようですが、知事選直後のような、ポーズだけで終わらせてはいけません。沖縄基地負担軽減担当大臣を、菅氏から、沖縄にもっと理解のある議員に変えるべきです。そして、総理も担当大臣も、もちろん菅官房長官も、まずは何度でも沖縄に足を運ぶべきです。今までのやり方では、文字通り話になりません。強行突破を今後も続ければ、支持率にもろに響くでしょう。

もちろん、ただ足を運ぶのではありません。沖縄の米軍基地・施設につき、移転可能な部分は出来るだけ移転するよう、新たに提案すべきです。米軍との再交渉が欠かせません。

前回のブログで紹介した、日米地位協定について、外務省が作成したマニュアル「日米地位協定についての考え方 増補版」(1983年)によれば、
アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる
・日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない

辺野古埋立の県民投票:反対の結論が出たら、辺野古以外の移転先も全国で考えよう。 - 日本の改革

ということですが、こんな一方的な協定でさえ、「現実に提供が困難な場合」はアメリカの要求に同意しないことは想定されています。20年間地元が徹底的に反対するものは、「現実に提供が困難」です。この文言を頼りに、アメリカとの再交渉を始めるべきです。

もちろん、鳩山内閣とは違って、今度こそ、県外に新たな基地を見つける必要があります。これについては、沖縄県以外の都道府県が、今回の住民投票を含む沖縄県民の度重なる意思表示を受けて、真剣に検討を始めるべきです。

もともと、沖縄にこれだけ米軍基地が集中しているのは、地理的要因だけが原因ではありません。沖縄がアメリカに占領されていた時代、県外の基地に対する反対運動が起きたために、政府は、当時はアメリカの施政下にある沖縄に、次々に基地を移転した、という経緯があります。日本の独立直後の1956年には米軍基地全体の13.2%しか沖縄になかったのに、沖縄の日本復帰直後の1973年には63.6%にも増えています(下図)。

 

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駐留米軍基地の面積の推移

これにつき、1961年に沖縄を調査した大統領特別補佐官カール・ケイセンは、「日本の現政権は米軍基地を妨害するどころか,その逆のことをしている。 日本政府は,その安全保障に寄与し、しかも米軍基地を国内に置くことから生じうる政治問題を避けることが出来るという判断から、沖縄の米軍基地を歓迎している」と報告しているそうです。
(以上につき、上の図も含めて、具志堅勝也「米軍基地問題とマスコミ報道—60年安保時から今日までの基地報道の 変遷について」p9参照)

https://www.jstage.jst.go.jp/article/mscom/91/0/91_3/_pdf/-char/ja

つまりは、アメリカからの独立が遅れた沖縄県にだけ、「あそこだけ『アメリカ』だからトラブルがないや」と言わんばかりに、安易に米軍基地を押し付けてきたひどい経緯があるから、今日の事態を迎えているのです。なるほど中国の海洋進出を考えれば、沖縄は地理的に重要でしょう。しかし、それ以外の利己的な理由で沖縄県に押し付けてきた歴史から、目をそらしてはいけません。

政府だけでなく、都道府県も、沖縄の基地負担軽減に協力すべきです。知事会はこれまでも一定の努力はしてきました。現在、米軍基地は13都道府県にありますが、そのうち7割が沖縄に集中しています。知事会は、沖縄をはじめ全国の基地負担を軽減しようということで2016年から研究会を重ねており、昨年、「米軍基地負担に関する提言」をまとめて発表しました。日米地位協定の見直し等を含むもので、立派な内容です。政府は、最低限これだけは実現すべきです。

http://www.nga.gr.jp/ikkrwebBrowse/material/files/group/2/20180814-05beigunnkichiteigenn300727.pdf

ただ、沖縄県による度重なる意思表示を受け、知事会は、更に大きな一歩を踏み出す必要があります。普天間基地の代替施設を含め、沖縄県の米軍基地を出来るだけ数多く県外移転する、という基本方針の下に、真剣に移設先を探して決めるべきです。

もちろん、知事会だけでは調整がつかないでしょうから、政府が全体の調整を行うべきです。国に出来ることは、アメリカとの交渉、安全保障上の適地の例示、そして、米軍基地移転・決定・建設のための一般法の制定でしょう。

ここで、橋下徹氏の提案が生きることになります。計画策定手続や公表のルール、事前の住民説明、環境アセスメントについて、どの自治体にも等しく適用される法律を作るべきです。そして、日本政府が米軍基地を新設するにはルールにしたがう必要がある、しかしルールをクリアしたら必ず建設しなければいけない、とすべきです。

辺野古問題では、民主党政権も安倍政権も、ルールなしで無理押しして大混乱を招きました。この愚を繰り返すべきではありません。 

沖縄問題、解決策はこれだ! これで沖縄は再生する。

沖縄問題、解決策はこれだ! これで沖縄は再生する。

 

 このように、国、都道府県が、本気で沖縄の基地移転に乗り出すと同時に、沖縄県外の日本国民も、国の安全保障について、この機会に更に考え直すべきです。米軍基地による安全保障上の便益を受けるだけでなく、自分の地元で負担に耐える場合もある、とまずは意識すべきです。そのとき初めて、日米地位協定がいかにひどい内容か、身をもって感じることになるでしょう。そして、安全保障の便益と負担の関係について、国民が一層真摯に考えてより良い判断が出来るようになるはずです。

日米安保条約は必要。ただし、日米地位協定の改定と、日米合同委員会の議事録公開を。

日本は、中国、北朝鮮、ロシアの脅威に直面している以上、日米安保条約は必要です。ただ、その詳細を定めている日米地位協定は、知事会が見直しを求めている通り、やはり一方的で、問題が多いものです。日本国民のほとんどがその内容を意識していないでしょうけれど、沖縄県のウェブサイトには、詳細に、協定の解釈を定める日米合同委員会の合意も含めて掲載しています。米軍基地の負担がいかに県民にとって身近な問題かが伺えます。

www.pref.okinawa.jp

外務省はウェブサイトでQ&Aまで作って、何やら言い訳のような、開き直りのような説明をしています。

問2:日米地位協定は、在日米軍の特権を認めることを目的としたものですか。

(答)「・・・日米地位協定は、他国におけるこの種の条約の例も踏まえて作成されたものであり、外国軍隊の扱いに関する国際的慣行からみても均衡のとれたものです。」

(日本語訳)他国も似たようなもんだから我慢しろ。

www.mofa.go.jp

問3:日米地位協定は日本にとって不利になっているというのは本当ですか。

(答)「日米地位協定は、日本と極東の平和と安全の維持に寄与する目的で・・・米国との関係で日本にとって不利か有利かという問題ではありません。」

(日本語訳)お前らの安全守ってんだろうが!不利とか有利とか言うな!黙れ!

「時々、他国が米国と結んでいる地位協定日米地位協定を比較して日米地位協定は不利だと主張されている方もいらっしゃいますが、比較に当たっては、条文の文言だけを比較するのではなく、各々の地位協定の実際の運用のあり方等も考慮する必要があり、そもそも一概に論ずることが適当ではありません」

(日本語訳)他の国との比較がどうこうって、条文だろうが運用だろうが、そもそもどっちが良いとか言えないんだよ!

という、すさまじい上から目線の開き直りです。問3については、ここまで言っておきながら、後が続きます。

「とはいえ、例えば、米軍人が刑事事件の被疑者になった場合に身柄がどの時点で受入れ国側へ引き渡されるかという問題については、日米地位協定に基づく運用が、他のどの地位協定よりも早い時点での引き渡しとなっています(問9参照)。このような点からもわかることですが、日米地位協定が他の地位協定に比べて不利になっているということはありません」

これは、1995年のあのおぞましい少女強姦事件を受けて沖縄県民の怒りが爆発して、日米当局もさすがにまずいと思って、「運用面で」改善したことを指しています。やっぱり国民が本気で声を上げないと変わらないし、本気で声を上げれば変わる可能性はあります。

www.mofa.go.jp

この外務省のウェブサイトの問3のQ&A、最初は思いっきり、そもそも不利も有利もないとか、他国との比較さえ不適当だなどと無茶苦茶なこと言っておきながら急にトーンが変わっています。察するに、最初は問答無用のスタンスで書いていたけれど、その後に、外務省も想定しなかった形で運用面の改善が実現して、後になってから、その説明をやむなく付け加えた、ということではないでしょうか。要は、国民が本気で怒って必死で変えようとしないと、日本の官僚は日米地位協定なんて、運用さえ全く変える気がないということです。

で、外務省が誇る「運用の改善」は、以下にまとめられています。米軍人と軍属が公務外で罪を犯した場合、起訴までは米側が被疑者を引き続き拘禁できる、という日米地位協定の定めにつき、起訴前に「身柄の引渡しがなされる途が開かれました」。中身はというと、合衆国が「殺人又は強姦という凶悪な犯罪の特定の場合に」日本側の要請に「好意的な考慮を払う」、という運用面の改善がなされた、ということです。

凶悪犯罪の、そのまた特定の場合にだけ、「好意的な配慮」くらいはしてやる、ですからね。沖縄県民がこうした現実の中で日常生活を送っていることは、国民全体が共有すべきです。そして、今となっては、その負担をともに分け合うべきです。

www.mofa.go.jp

 

この日米地位協定というのは、もともと、占領時の行政協定がもとになっていて、運用面の実態は占領時とさして変わっていないとも言われています。それを如実に表しているのが、地位協定の運用を協議する日米合同委員会の進め方です。非公開で、どんな議論があったのか国民には分かりません。財務、外務、防衛、法務、農林の各省幹部が定期的に行う極めて重要な会合なのに、議事録は公開されず、合意事項だけが発表されます。それどころか、非公開の合意(つまり密約)さえあるのでは、という批判さえあります。

日米合同委員会の議事録については、民間団体が情報公開訴訟も起こしています。

clearing-house.org

日米地位協定のこのような実態を、今後も放置しておいてよいわけはありません。これまでは、主として沖縄県民や他県の基地周辺住民が、非人道的な属国扱いに耐え続けてきました。しかし、日米地位協定は、もちろん全国に適用されているものです。今後、沖縄県の基地の県外移転を進めるならば、日本国民全体にとって、重大な意味を実感する協定になります。国民は今から、この協定の改定を政治に対して厳しく求めるべきです。そして、日米合同委員会の議論も原則公開として、非公開なら安全保障上の理由の概略だけでも開示するよう、日米政府に求めるべきです。

日米同盟は守りつつ、占領時代からの既得権を打破すべき。自分の国は自分で守ろう。

そもそも、現状の米軍基地が、今の形で今の規模で駐留することが、日本の安全保障にとって、それどころか、日米両方の安全保障にとって最善か、という点も、常に厳しく問い続けるべきです。

繰り返しますが、中国・北朝鮮・ロシア等の脅威に直面する日本は、日米同盟、日米安保条約は堅持すべきであり、日本政府の防衛予算・人員は、今後更に充実させる必要があります。

一方で、アメリカにとっての海外米軍基地というのは、それ自体が途方もない巨大利権だという見方を、アメリカ人自身がしています。軍産複合体を批判したアイゼンハワー大統領は言うに及ばず、21世紀になっても、たとえばチャルマーズ・ジョンソン氏は、「アメリカ帝国の悲劇」という著書で、こうした利権としての基地の実態を批判しています。トランプ大統領が、今後同じ視点で米軍基地の再編を言い出す可能性もあるでしょう。

アメリカ帝国の悲劇

アメリカ帝国の悲劇

 

 まずは日本国民としても、現在の米軍基地の実態が、本当に日米同盟のためになっているのか、本当に中国・北朝鮮・ロシア等の脅威に対処するうえでベストの形になっているのか、不断のチェックが必要です。

経済的な利権もそうですが、日米地位協定等の一方的で不当な内容を見れば、端的に言えば、在留米軍というのが、第二次世界大戦で生まれた古い既得権という一面があると思います。戦勝国だからこその全く不当な特権が未だにまかり通っています。

しかも、それをお膳立てしているのは日本の官僚です。彼等は、安全保障政策について、国民にはほとんど事実を知らせずに米軍と重要な事項を決めています。どうも彼等からは、日本国民は安全保障についてはバカでしょうがないから、俺たちが仕切ればいいんだ、という驕りや勘違いが透けて見えます。これも、アメリカの占領体制以来の古い統治のやり方で、一種の既得権です。本来、安全保障政策こそ、国民が決定すべき事項のはずです。この占領時代まがいの体制を、国民の力で倒し、国民が自ら安全保障政策を決められる政治体制に改革すべきです。

1995年の少女強姦事件が大きな転機となりました。あれよりもっとひどい恐ろしい事件が、戦後の沖縄では数えきれないほどあったことでしょう。沖縄県民が、それに耐えるだけでなく、1995年の事件をきっかけに、本気で現状を変えようと必死の運動を続け、それによって日米地位協定が運用だけでもいくらか改善されるに至りました。私は、一国民として、心から沖縄県民の皆さんに敬意を表し、感謝したいと思います。

それから20年間、沖縄県民はやはり米軍基地の負担軽減を訴え続けてきました。民主党政権とも、安倍政権とも戦い、ついに、基地負担軽減に関する四度目の意思表示をしました。これを、全国的な動きに、沖縄県民の運動を、国民の運動につなげるべきです。そうすれば、日米地位協定の改定も、日米合同委員会の情報公開も、実現の可能性があるでしょう。

もちろん、米軍が既得権者でいられたのはそれなりの理由があります。日本政府も日本国民も、安全保障についてアメリカ並みに真剣に考えてこなかったからです。この点では、更に十分にアメリカにも学びながら、日米同盟を堅持・深化させるべきです。一方で、アメリカに依存しない安全保障体制(独自のミサイル防衛体制等)の構築も急ぐべきです。自衛隊の予算・人員の大幅増強も必要でしょう。そうなると、米軍基地の負担を軽減しても、自衛隊基地の負担も生じるでしょう。それでも、まだ米軍基地の負担よりはましなはずです。日本の、日本国民の自衛隊が使う基地なのですから。

結局、米軍基地負担軽減を本気で実現しようとするなら、日米同盟の下で、日本が安全保障につき、一層の権限を持ち、一層の責任を負うようにすべきです。一言で言えば、自分の国は自分で守れるようにするべきです。そうすれば、あの人権無視・国際法無視の悪の帝国である中国やおぞましい北朝鮮等から日本を守り、しかもアメリカに対しても属国扱いを受けなくてすむはずです。

今回の沖縄の県民投票が、そんな未来の可能性を垣間見せてくれたことにつき、沖縄県民に、重ねて心より感謝します。