日本の改革

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辺野古埋立の県民投票:反対の結論が出たら、辺野古以外の移転先も全国で考えよう。

今日の要点

辺野古の埋立に関する沖縄の県民投票。反対の結果になったら、普天間の移設先は辺野古以外も検討すべきです。

・米軍基地の移設について手続きを定めた一般法の制定によって、全国の政治家・国民が安全保障の必要性と負担を自覚するべきです。

・政府は日米地位協定の運用の実態等につき、情報公開を十分に行うべきです。また、日米地位協定の改定を可能にするため、刑事司法改革を行うとともに、アメリカに依存しすぎない安全保障政策に向けた国民的議論を始めるべきです。

沖縄県民が辺野古移転に反対なら、辺野古以外も検討すべき。

アメリカ軍普天間飛行場辺野古の埋立をめぐって、今月24日に沖縄県で県民投票が実施されます。先週末の世論調査では、移設「反対」が圧倒的多数です。

共同通信の調査では、投票に行くと答えた人は全体の94%、そのうち「反対」を挙げた人は67.6%で、「賛成」は15.8%、「どちらでもない」は13.1%でした。政府は投票結果を尊重するべきだとの回答は86.3%です。

this.kiji.is

朝日の調査では、投票に行くと答えた人は93%で、「反対」を挙げた人は59%で、「賛成」は16%、「どちらでもない」は21%でした。政府は投票結果を尊重するべきだとの回答は80%です。

あれだけ政府と自民党が嫌がって、一部自治体に不参加まで言わせておいて、選択肢を三択にしてまで、この結果です。いかに沖縄県民が強く反対しているかが分かります。

無理もない話です。沖縄県民は、歴史的経緯はもちろんのこと、民主党政権にも、安倍政権にも、ひどい目にあってきました。問題がここまでこじれた原因は、沖縄県ではなく、政府にあります。

もともと、この問題は、鳩山元総理が公約で「最低でも県外」と言った末に散々迷走して、結局は民主党政権自身がこれを撤回して辺野古に再決定。今は辺野古反対と言っている枝野氏も当時は極めて強硬に移転を推進しようとしました。

www.sankei.com

では自民党政権になったら、少しはマシになったか。迷走しないかわりに強硬路線一本槍で、結局は停滞しています。そもそも、沖縄基地負担軽減担当大臣を菅官房長官が兼務しています。官房長官として忙しい菅氏は、担当大臣として頻繁に沖縄に行くこともできません。民主党政権がやったこととは言え、政府への信頼が失われた直後なのだから、まずは低姿勢で何度でも沖縄に足を運ぶべきところを、全然そんな様子もありませんでした。

最初の人事からして、もう対話の姿勢があまり見えなかったうえ、菅担当大臣は、とにかく強引なやり方で裁判にまで訴え、挙句はとにかく基地を作ってしまえと言わんばかりに埋立を始めました。

それだけ強引にやって、辺野古移設が進んで普天間の危険性が速やかに除去される見通しがついたならともかく、強硬路線で逆にスケジュールが遅れまくっています。

安倍政権は2014年2月、当時の仲井真知事に「5年以内の普天間基地運用停止」を約束しました。つまり、今月中に普天間を事実上使わなくする、という約束ですが、とても守れません。岩屋防衛相は昨年11月に約束を守るのは「とても難しい」と発言。基地の地元の宜野湾市民は「約束を守れ」と怒って抗議集会をしています。

digital.asahi.com

こんな有様では、沖縄県民が、二回の県知事選で沖縄県民が辺野古移転反対の人を選び、県民投票でも埋立に反対を選びそうなのも道理です。

日本政府は、どうしても辺野古に移転させるなら、態度を改めて、まずこれまでの強引なやり方について謝罪すべきです。担当大臣の菅氏が何度でも沖縄に足を運んで、辛抱強く説得を続けるべきでしょう。

が、たぶん、菅氏はそんなことをする気は全くないでしょう。また力で押さえつけて、ますます沖縄県民が反発する形で、米軍基地や安全保障についての必要性も理解されません。辺野古だろうとどこだろうと、周辺住民の理解がない米軍基地など、十分に機能するのでしょうか。敵国のスパイが付け入る隙をわざわざ作っているようなものです。

民主党政権や安倍政権の沖縄への対応はひどいものです。しかし、同じくひどいのは、自戒を込めて言いますが、「本土」の人間の意識です。せいぜい「気の毒になあ、でもまあ、遠い沖縄の話だ」と、無関心のままできたことが、今日の事態を招いています。辺野古にこれほど沖縄県民が反対しているのに、平気で基地負担を押し付けて恥じず、更に言えば、米軍に安全保障を担ってもらえば何となく安心だ、という意識できました。私たちは、沖縄県や基地周辺以外に住むほとんどの国民は、基地問題など他人事と思ってこなかったでしょうか。ということは、自分の国の安全についてさえ、実は他人事と思っていないでしょうか。

辺野古移転問題は、こうした国民の意識を大きく変えるきっかけとなりうるものです。私たちは、基地負担も国の安全も他人事ではないことを理解すべきです。そして、国防についてこそ、国民として、統合された主権者として、自らの判断で行動すべきです。そのためにも、今回の県民投票で反対多数の結果が出たら、辺野古以外の、特に県外のどこかに移転することの検討も、全国の自治体で真剣に始めるべきです。

米軍基地建設のための一般的な手続き法を作って、全国の政治家・国民が当事者意識を持つべき。

 

更に、国としても、沖縄県や現在米軍基地がある場所に限らず、米軍基地を建設・移設を行うための手続きに関する一般法を制定すべきです。これは、橋下徹氏が最近の著書等で主張していることです(以下のp198~207等)。 

沖縄問題、解決策はこれだ! これで沖縄は再生する。

沖縄問題、解決策はこれだ! これで沖縄は再生する。

 

 米軍基地の建設・移設等の際には、計画の節目ごとに、住民への説明や意見聴取等の機会を保障する等の手続きを定める一方、その手続きを経た以上は、基地建設は受け入れることになる、という法律です。ポイントは、これを、沖縄を含めた全国で適用される法律にする、ということです。

こうした法律があれば、沖縄だけに基地が集中している現状を変えるきっかけになる可能性があります。また、全国の政治家も国民も、当該基地の安全保障上の必要性や基地があることによる負担等について、十分理解したうえで、国防について主権者・国民として主体的に判断する基盤にもなるでしょう。

日米地位協定の改定に向けて:情報公開、刑事司法改革、米軍に依存しすぎない国防の議論

 基地負担の問題は、結局は日米地位協定の問題になります。日米地位協定について、外務省が作成したマニュアル「日米地位協定についての考え方 増補版」(1983年)によれば、

アメリカは日本国内のどんな場所でも基地にしたいと要求することができる

・日本は合理的な理由なしにその要求を拒否することはできず、現実に提供が困難な場合以外、アメリカの要求に同意しないケースは想定されていない

と書かれているということです。恥ずかしながら私は現物を未確認ですが、以下の著書の6ページにあります。

知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書)

知ってはいけない 隠された日本支配の構造 (講談社現代新書)

 

 この文書について、政府は情報公開をまともにしようとしません。2004年に琉球日報が存在について報じた際、弁護士でもある照屋寛徳議員が、質問主意書によって、その存在と公開について政府に質しました。

www.shugiin.go.jp

これに対する政府答弁は、「日米地位協定についての考え方」の「増補版」は持っているが、原本は持っていないとして、公開については答えないというか、持っていないものは何とも答えられないという、不思議なものでした。

www.shugiin.go.jp

これにつき、答弁がおかしいとして、大田昌秀氏が更に質問しています。

http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/159/syup/s159003.pdf#search=%27%E6%97%A5%E7%B1%B3%E5%9C%B0%E4%BD%8D%E5%8D%94%E5%AE%9A%E3%81%AE%E8%80%83%E3%81%88%E6%96%B9%27

 要は、政府は、日米地位協定についての内規や運用につき、情報公開をする姿勢がないということです。琉球新報は取材で入手した文書として公開し、今ではアマゾンで入手もできますが、政府は、日米地位協定について、また、その運用を話し合う日米合同委員会について、情報は全てリアルタイムで公開すべきです。

日米地位協定の考え方―外務省機密文書

日米地位協定の考え方―外務省機密文書

 

 一方で、日米地位協定の改定のためには、日本の刑事司法改革も必要です。これも、橋下徹氏の先の著書で述べられていることですが(p211~214)、被疑者取り調べの可視化をはじめ、被疑者の人権保障をアメリカ並みに徹底したものに変えるべきです。こうした改革を行うことで、アメリカに対しても、米兵の犯罪について日本の捜査機関による取り調べを認めるよう、強く迫ることができます。

更に、そもそも、日本に米軍基地がどの程度必要か、についても検討すべきでしょう。現状では、アメリカがアメリカの必要に応じて、好きなだけ米軍基地を作れるし、基地以外にも、法的には日本国内で米軍の行動には、事実上制約がありません。こんな属国のような扱いが何十年も続いているのも、安全保障については国民が他人事のままで、アメリカの好きなようにさせておけば守ってくれるだろう、と何となく考えていたからで、政府もそれを良いことに、実態を国民に公開してこなかったからです。

日本が国防について主体的に決定できるようになるためには、アメリカに依存しすぎない安全保障体制が必要です。具体的には、独自のミサイル防衛システムの構築や、自衛隊の強化等です。これによって、将来的には、米軍基地の一層の削減につなげていくべきです。基地に限らず、日本国内の米軍について、安全保障の必要性、負担の両面から、国民的な議論が必要です。辺野古を巡る県民投票が、その大きなきっかけになってほしいところです。