日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

物価上昇も、実質賃金マイナスも、消費不振も、消費税増税が原因!悪いのは、自民・旧民主・公明の三党すべて!

今日の要点

旧民主党の政治家は、安倍政権で実質賃金がマイナスだと言って、政権批判をしています。しかし、消費不振も実質賃金マイナスも、2014年の消費税増税が原因です。

・消費税増税の決定・実施について、三党合意をした全政党が誤りを認めて、国民に謝罪すべきです。経済政策も、国会の議論も、仕切り直しが必要です。

消費不振も実質賃金マイナスも、2014年の消費税増税が原因

旧民主党の政治家たちは、アベノミクス、特に、金融緩和を批判します。

枝野幸男氏の最近の発言です。

「一部の限られた人たちだけは、アベノミクスと称するものの恩恵を受けているが、多くの普通の暮らしをしている国民にとってはどんどん暮らしが厳しくなり、老後や子育てなどの不安が大きくなっている」

news.livedoor.com

アベノミクスで一部の人だけが恩恵を受け、多くの人の暮らしが厳しくなる、とは、具体的にはどういうことでしょうか。

前原誠司氏が分かりやすく説明しています。

「無理やり物価を上げて、輸入物価を上げても賃金は変わらないため、4年連続で実質賃金はマイナスで消費もマイナスになっている」
www.minshin.or.jp

つまり、「旧民主党理論」によれば、

金融緩和⇒円安⇒物価上昇⇒実質賃金マイナス⇒消費不振

ということです。円安で輸出企業はもうかるが、労働者は物価上昇による実質賃金マイナスで消費を減らす、これが問題だ、ということです。

最近の国会質疑を見ても、立憲民主党の議員も、国民民主党の議員も、上記の「民主党理論」を暗黙の前提として、安倍政権を批判しています。統計不正の追及でも、「アベノミクス偽装」から「アベノミクス批判」につなげようとしています。

私は、当ブログで、安倍政権を批判するなら、実質賃金マイナスより、消費税増税による消費不振をこそ叩け、と言ってきました。

野党は、統計不信では、実質賃金マイナスより、賃金の上振れを叩け。アベノミクスでは、実質賃金マイナスより、消費水準の低迷を叩け。 - 日本の改革

さらに言えば、実質賃金マイナスをもたらした物価上昇も、消費税増税が主な原因で起きています。そもそも、消費者物価指数は、消費税率が上がったときの影響を除いて計算するわけではありません。通常、物価とは、消費税率込みの指数になります。

日銀は、2014年の消費税率3%上げの物価への影響を、2014年で2%、2015年で0.7%、2016年で0.7%と試算していました。この試算は、消費税が課税される品目のみについて3%上がったときの影響を機械的に試算したものです。実際には非課税の財やサービスでも(公定価格の改定などで)価格上昇が起きることを考えれば、消費税増税が物価に与える影響は更に大きいでしょう。

https://www.boj.or.jp/mopo/outlook/gor1410a.pdf#search=%272014%E5%B9%B4+%E6%B6%88%E8%B2%BB%E7%A8%8E%E7%8E%87%E3%81%AE%E5%BC%95%E3%81%8D%E4%B8%8A%E3%81%92%E3%81%8C%E7%89%A9%E4%BE%A1%E3%81%AB%E4%B8%8E%E3%81%88%E3%82%8B%E5%BD%B1%E9%9F%BF+%E6%97%A5%E9%8A%80+%E5%B1%95%E6%9C%9B%27

グラフで見れば分かります。日銀は、消費税率上げの影響を除いた物価指数を公表していますので、その推移を見てみます。見れば分かる通り、ほとんど上がっていません。

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2014年の消費税率上げの影響を除くと、物価はほとんど上がっていない

出所:日本銀行「経済・物価情勢の展望」(2019年1月)

 

つまり、安倍政権での物価上昇については、2014年の消費税率の引き上げが主な原因であって、金融政策はそれほど効果が上がっていないことが分かります。

だとすれば、物価上昇による実質賃金の低下も、結局は、2014年の消費税増税が原因だった、ということになります。

つまり、さっき紹介した「旧民主党理論」の

金融緩和⇒円安⇒物価上昇⇒実質賃金マイナス⇒消費不振

というのは間違いで、正しくは、

消費税増税⇒物価上昇⇒実質賃金マイナス⇒消費不振

と考えるべきです。消費不振については、以前も紹介したグラフを再掲します。2014年4月以降に消費水準が急落して、その後、同じ水準で推移しています。

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消費増税による消費低迷

データ出所:総務省

上智大学の中里透教授も、消費不振の影響は消費税増税にある、と主張しています。

中里教授は、私が上で上げた消費水準指数以外にも、消費に関する種々の指数をこれでもかというくらい持ってきて、それらが、2014年4月以降に低迷しているという事実を提示しています。さらに、この消費低迷は、実質可処分所得の低下と連動している、としています。中里教授の論文の、冒頭の要約部分を引用します。

「(1)消費の停滞を、社会保障に関する将来不安や潜在成長率の低下などの構造的要因に求める見方は、実際のデータとの整合性が確保されない。

(2)実質消費の動向は実質所得の動向と平仄(ひょうそく)の合うかたちで推移しており、実質所得の低下が実質消費の減少に大きな影響を与えている。

(3)実質所得の低下は13年夏から14年春にかけての期間にとくに顕著であり、これは名目所得が伸び悩む中で、円安などに伴う輸入物価の上昇と消費税率の引き上げにより物価が上昇したことによるところが大きい。」

synodos.jp

中里教授の直近の論文はこちらです。

http://dept.sophia.ac.jp/econ/econ_cms/wp-content/uploads/2018/02/DPNo.J17-2.pdf#search=%27%E4%B8%AD%E9%87%8C%E9%80%8F+%E5%A4%A9%E5%80%99%E4%B8%8D%E9%A0%86%E3%81%AE%27

中里教授の示される通り、2013年後半の円安の影響は少しはありそうですが、消費不振が本当に深刻になったのは、2014年4月以降です。影響の大きさで言えば、やはり、2014年4月の消費税増税が、消費不振には最大の影響を与えており、その影響は、未だに(データで確認できる2018年まで)続いている、ということです。

旧民主党理論」で言う、金融緩和のせいで実質賃金が下がって消費不振だ、というのは間違いです。旧民主党が三党合意で決めた消費税増税自民党政権によって本当に実施されたことが、実質賃金や実質可処分所得の低下につながり、今に続く消費不振の原因となった、と考えるべきです。

以上の考え方に立てば、リフレ派が安倍政権を擁護するのもおかしい、ということになります。増税によって、これほど長期の消費不振を引き起こしたのも安倍政権なのですから。

消費税増税の決定・実施について、三党合意をした全政党が誤りを認めて、国民に謝罪せよ。経済政策も、国会の議論も仕切り直せ。

消費税増税を決めたのは旧民主党自民党公明党です。野党が実質賃金マイナスと消費不振はけしからんと言って安倍政権を叩くと、自分も叩かれることになります。「ブーメラン」と言ってもいいですが、三党合意を行った自民党公明党にも、実際に消費増税を行った安倍政権にも、もちろん大きな責任があります。叩くべきものを叩いて、その批判が自分にも跳ね返ってくるのだから、「自爆テロ」かもしれません。

いずれにせよ、自民党も、旧民主党も、消費税増税のマイナスの影響がこれほど大きいという事実を直視していません。旧民主党も安倍政権も、消費税増税の決定が間違いと認めて国民に謝罪すべきです。そして野党は、統計不正での政府批判は、統計への政治的圧力の問題にしぼるべきです。