日本の改革

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「官邸が」勤労統計に政治介入した疑い強まる。野党は2015年3月末の発表延期理由も国会で聞くべき!

※タイトルの「2014年」を「2015年」に修正しました。(2019年2月19日)

今日の要点

・官邸が勤労統計に政治介入していた疑いが強まりました。新たに、厚労省の検討会委員の証言と、総理秘書官が厚労省に「問題意識」伝えたという総理答弁が出ました。

立憲民主党小川淳也議員、大串博志議員の質問と東京新聞のスクープが、政府・与党にダメージを与えています。小川淳也氏の「GDP本丸」説に説得力が出てきました。

官邸が勤労統計に政治介入の疑い強まる。東京新聞スクープと総理自身の答弁。

勤労統計については、私は主に二つの論点があると思います。

第一に、調査対象の入替方法の変更による賃金上振れ、第二に、大規模事業所の抽出調査の補正による賃金上振れ、の二つです。

野党は、第一の点を特に重視して、国会で追及してきました。そして、「調査対象の入替方法が実質賃金の数字を押し上げた、これはアベノミクスの偽装だ」と主張してきました。

私は当ブログで繰り返し、野党は、第一の入替方法の変更にこだわるより、第二の抽出調査の補正の問題を重視すべきだ、と主張してきました。第二の点は、明らかに悪質な偽装で、第一の点は両論ありうると思ったからです。アベノミクス(金融緩和)の成否についても同様です。

野党は、統計不信では、実質賃金マイナスより、賃金の上振れを叩け。アベノミクスでは、実質賃金マイナスより、消費水準の低迷を叩け。 - 日本の改革

昨年6月の名目賃金の伸び率は、3.3%⇒2.8%?1.4%?:最も深刻な不正は、3.3%と2.8%の違いにある。 - 日本の改革

ところが、最近の衆議院予算委員会での質疑と報道で、野党の質問に説得力を感じるようになりました。第一の調査対象の入替方法の変更について、官邸、それも、総理大臣や菅官房長官が政治介入を行った状況証拠が段々出てきたからです。

第一に、東京新聞のスクープです。

今回の調査対象の入替方法変更を最初に検討したのは、2015年の厚生労働省の検討会ですが、そこに出席した委員の証言が、2月10日の東京新聞に出ています。

「サンプルを(全数)入れ替えるたびに数値が悪くなるそれまでのやり方に官邸か、菅(義偉官房長官)さんかが『カンカンに怒っている』と言って厚労省職員は検討会の最初から相当気にしていた」と振り返った」

www.tokyo-np.co.jp

従来の調査対象の入替方法につき、「官邸か、菅さんがカンカンに怒っていると言って、厚生労働省職員が相当気にしている」。

これにつき、2月12日の衆院予算委で小川淳也議員が質問し、菅官房長官が否定しています、自分は激怒などしていない、と。真実は藪の中ですが、菅氏は、「自分は」激怒していない、と答弁。官邸の「他の誰か」が激怒したことは否定していません。

報道を全て信じるわけではありませんが、これは怪しいと感じました。これが、私が野党の質問に説得力を感じ始めた第一の理由です。

第二に、一昨日の総理答弁です。

2月13日の衆院予算委で、立憲民主党大串博志議員が、安倍総理自身から、重要な答弁を引き出しました。従来の調査対象入替につき、首相秘書官が厚生労働省に「問題意識」を伝えていた、というのです。

digital.asahi.com

この点につき、さらに昨日の衆院予算委で、大串議員が更に聞いたところ、以下の経緯だったようです。

・従来通りの事業所入替により、2014年の実質賃金が大幅マイナスの見込み

・公表前に厚労省職員が官邸の参事官に報告、参事官は首相秘書官に報告

・首相秘書官が厚労省職員を呼んで、「問題意識」を伝える

「問題意識」を伝えたというのは、具体的にはどんな言葉だったのか、官房長官等は詳しく述べませんでした。ただし、従来の入替方法だと入替のたびに賃金が低く出ること(断層が生じると表現)や、専門家の意見を聞くべきでは、という方向で「問題意識」を伝えたことは認めています。

以上の二つは、官邸が、つまりは安倍総理か菅官房長官が、厚生労働省に対し、勤労統計で賃金がより高い数字になるよう、政治介入したことを強く示唆しています。ここまで状況証拠が出てきたなら、野党はこの点についても、徹底的に追及すべきですし、これまでの野党の方針は正しかったのだろうと、私も考え方を変えました。

私は、事業所入替方法について新旧どちらのやり方が正しいか、という議論になっては政府に逃げられると思っていました。しかし、官邸の圧力が本当にあったなら、統計の取り方でどちらが正しかろうと、大問題です。数字が正しくても、統計に対する国民の信頼が失墜するからです。

なお、総理秘書官が厚労省に「問題意識」を伝えたのは、2015年の3月末のことで、正式な勤労統計の発表は4月初めです。

(※上の文の「2014年」を「2015年」に修正しました。2019年2月19日)

当時の新聞記事を調べてみたら、厚労省は、本来は3月末だった発表を、4月初めに変更しています。「数字に不確かな部分が見つかり、点検に時間を要する」とのことです。「政府統計の発表延期は異例」と日経が報じています。野党はこの経緯も、是非聞いてほしいところです。

www.nikkei.com

立憲民主党会派の小川淳也議員と大串博志議員のお手柄。今後に期待。

このところ、勤労統計についての野党の追及は不発だ、という報道が出ていました。実際、2月8日の衆院予算委での質疑は、ひどいものでした。メディアも叩いたし、私も批判しました。

旧民主党は、三党合意の消費増税を国民に謝罪し、同じことを安倍自民党に要求せよ。 - 日本の改革

しかし、2月10日の東京新聞スクープ以降、風向きが変わりました。官邸の圧力を立証できる可能性が出てきたなら、そこは厳しく追及すべきです。立憲民主党会派の大串博志議員と小川淳也議員のお手柄だと思います。

もちろん、私がずっと言ってきた、大規模事業所の抽出調査の不正な補正についても、徹底的にやってほしいところです。これも、野党は追及しようとしたけれど、これまでは大西統括官以外の重要な参考人が呼べずに、やりたくても出来なかったのだろうと思います。

今回、あらためて2月4日の衆院予算委の質疑を見たら、野党は最初から、この補正にも関わるキーマンの酒光統括官、石原室長の参考人招致を求めていました。ところが、与党が認めておらず、2月4日の時点で、野党には本当に攻め手がなかったのだと思います。結局、この二人の官僚は2月18日の集中審議で招致されることになりました。

この流れなら、来週の集中審議での野党には期待できそうです。

news.tbs.co.jp

なお、小川淳也議員は、2月4日の時点、最初から、統計不正の「本丸はGDP」と主張してきました。

webronza.asahi.com

私は最初にこの主張を聞いたとき、話を広げすぎで論点が拡散するし、詰めが甘い部分で政府に反撃されて、正当な主張も隠れてしまう、と心配しました。今でも少しはそう思います。しかし、勤労統計で官邸の圧力が強く疑われるようになった今では、この方向での追及もすべきでしょう。

特に、2月4日に小川議員が質問した、日銀が内閣府の政府統計に不信感をもってデータを要求した件、政府にきちんと質問する必要が出てきたと思います。是非、真実に迫ってほしいと思いますし、小川議員を応援したいところです。

GDP統計に関する日銀と内閣府の対立については、以下の報道・資料をご参照ください。
www.nikkei.co

議論の概要はこちらです。

http://www.soumu.go.jp/main_content/000586123.pdf