日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

衆議院予算委での質疑、政府・与党はひどすぎる。立憲民主党は手ぬるい。

今日の要点

・昨日の衆議院予算委員会、政府の答弁・与党の対応はひどいものでした。一方、立憲民主党の質問も手ぬるかったです。

参考人招致、監察委員会の第三者性、賃金の上振れの件では、与党の対応、政府の答弁は全く納得できません。立憲民主党も、追及が不十分です。実質賃金マイナスの件は、水掛け論でした。

統計不信に関する衆議院予算委での質疑、政府・与党はひどすぎる、立憲民主党は手ぬるい。

昨日(2月4日、月曜日)の衆議院予算委員会、統計不信の件を中心に質疑がありました。

衆議院インターネット審議中継

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全体として見れば、政府・与党の対応・答弁等に大きな問題があります。一方、野党の立憲民主党も、もっと厳しく追及できたはずです。

以下、長妻議員の質疑を中心に、四つの論点(参考人招致、監察委員会の第三者性、賃金の上振れ、実質賃金マイナス)ごとに、発言の一部紹介とコメントをしてみます。

与党は、事案解明に必要な参考人招致を拒否。国民の不信感は高まるばかり。

野党が、厚生労働省の大西元政策統括官を、先週木曜日に参考人招致したいと言ったら、翌日の金曜日に更迭されました。そして、与党は、担当を外れたことを理由に、参考人としてよばないと主張、昨日は大西氏は参考人として出てきませんでした。長妻議員等は、これを批判していました。

大西氏は本件のキーマンの一人で、休会中審査にも出ていました。国会に出さないために首を飛ばす政府も、参考人として国会に出さない与党も、相変わらずとはいえ、ひどいものです。

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大西氏の参考人招致は、現在のところは、「理事会で協議中」という状態のようです。予算委員長が、理事会で協議中と長妻氏に言ったら、じゃあ、審議をいったん中断して理事会協議をしろと難癖をつけていました。まあ、ちょっとしたいやがらせですね。審議拒否はいただけませんが、これくらいはいいんじゃないですか。

あと、現在米国出張中の西村清彦総務省統計委員会委員長も参考人招致すべきですね。この方が、勤労統計の不正調査の第一発見者なのですから、この方からは、前向きに是非色々教えていただくべきです。

http://www.grips.ac.jp/list/wp-content/uploads/Bio_J_2018-November.pdf

(長妻氏の発言、別件で、気に入らないところがありました。行政監視が国会の仕事だ、今の国会は、監視機能が弱すぎるという発言です。それはその通りなのですが、「行政改革」でなく、「行政監視」では、政府の歳出削減に消極的に見えます。)

監察委員会の第三者性はゼロ、政府は全然改める気がない。

先週の衆参本会議で、総理が、第三者機関の調査で独立性を高めると発言したのは、具体的にどうするのか、と長妻議員が質問。

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事務局機能も含め、より独立性を高めると総理自身が言ったのだから、総理が答弁しろ、ということでしたが、総理の前に、まず根本厚労大臣が答弁しました。これがチンタラと要領を得ません。時間稼ぎですね。
・根本:特別監察委員会は、統計の専門家や弁護士等の中立的、専門的な立場から調査し、報告書まとめた。事案に関連した職員が云々。(長いんで野党が騒ぐ)
・委員長:根本大臣、適切にお答えください。
・根本:うん・・・事務局機能も含め、より独立性を高めた調査をしていただきたい。
・安倍:独立性高めて厳正な検証をする。運用方法についても、特別監察委員会で決めていただきたい。事実の解明等については、職員の関与を極力排除する。樋口委員長は専門家だから適任。

ということで、厚労大臣はもちろん、総理も、監察委員会はこのままのメンツでやらせる方針です。せいぜい、厚労省の役人がタッチすることを止めさせるだけのようです。

輪をかけてひどかったのは、監察委員会の委員長で、厚労省所管の独法・労働政策研究研修機構の理事長の樋口氏です。

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長妻氏は、厚労の独法の理事長では中立性ないはずとした後に、一週間で事実解明できたのか、なぜ再調査になったのか、本当に組織的な隠ぺいはなかったと確信しているか、と質問。

これに対し、樋口氏は、今日は理事長として招致されているから、今の質問には答弁しない、と言い放ちました。
結局、もう一度答弁しろと委員長に言われて、また同じ答弁の繰り返し。

当然、政府から因果を含められているのでしょうけれど、本当に人をなめた言い草です。この監察委員会、どうせまた問題になって、政府は別の第三者委員会の立ち上げをする羽目になるでしょう。早めにやれば傷は浅いでしょうが、もう野党もメディアも全く怖くないと思っているから、なめすぎて判断を誤っています。

維新の浅田均政調会長も、公正な第三者委員会を別途作るべき、と主張しています。

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2019年の賃金の上振れについて(抽出調査の不正な補正)

次が、今回の統計不信の根幹の、2018年の賃金の上振れについてです。長妻氏が、当ブログが以前から主張している通り、統計の政治的な中立性が問題だ、としているのは、正しい認識です。

政府統計への政治家の介入こそが問題の根源。イギリスにならって、統計行政の独立性の確保を。 - 日本の改革

本来は全数調査をすべき大規模事業所につき、3分の1の数の事業所についてのみ、抽出調査をしていた件です。平均賃金を計算するときに、大規模事業所については、3倍をかける補正をする必要があります。ところが政府は、2017年までについては、この補正をせずに賃金を低く見せて、2018年については、補正を行いました。これにより、2018年の賃金の伸び率が前年度比で、実際よりも高くなっていた、しかも、こうした不正な補正方法を秘密にしていた、という例の話です。

長妻氏は、2018年6月に、政府発表で賃金の前年度伸び率が3%を超えて、名目賃金が21年ぶりの上昇を示したと当時のメディアで騒がれたことを紹介し、政権の実績を誇示する動機があったことを示唆。

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そのうえで、

・公表値(事業所入替方法変更後)は2017年に3倍補正してなかったが、参考値(事業所入替方法変更前)はしていた。

厚生労働省が2018年6月の賃金の伸びについて嘘の説明(ボーナス前倒し等)

・政策統括官の名前で統計委員会に示した資料で、賃金上昇の要因を、補正以外の二つに分解(実際はこれに補正の影響が加わる)、それぞれに嘘の数字を示す

といった、色々と手の込んだやり口を指摘し、ここまで色々やっているのだから、意図的な隠ぺいだとして、隠ぺいの意図がないと言えるのか、と質問しました。

これに対する、安倍総理と茂木大臣の答弁は、めちゃくちゃでした。曰く、長妻委員は、政府が意図的に賃金を高く見せようとしたと言うが、それは間違いだ。2017年については、(補正なしで)賃金を低くしたということだから、賃金を高く見せようとしたわけではない、という説明でした。

2017年から2018年の「伸び率」を意図的に大きく見せたのではないか、と聞いているのに、すりかえどころか、完全にごまかしをしています。恐らく、安倍総理らの目論見は、「テレビを見ている国民はどうせよく分からないし、質疑の一部しか見ない。『政府は賃金を高く見せようとしたのではなくて低く見せようとした』という一言だけ伝われば、国民なんか簡単にだませる」と思っているに違いありません。

一方で、長妻氏も、意図的な数字の改ざんを立証するためには、更に証拠を示してほしいところでした。状況証拠が真っ黒なのはメディアで散々報じられているのですから、政府に対して、ぐうの音も出ないような証拠を突き付けて、ギリギリ締め上げてほしかったところです。

今回、キーマンを参考人招致できませんでしたし、そもそも情報の有無で言えば、野党は圧倒的に不利です。そこを、内部告発が得られないまでも、公開の資料で政府のおかしさを更に示すなり、補正に関する手続きやルール、5W1H等を徹底的に問いただすなり、もっと徹底して厳しくやってほしいところでした。

実質賃金マイナスの件(調査対象の事業所入れ替えの影響)

あと、長妻氏は、以前の調査方法で調べたら、2018年の実質賃金はほとんどの月でマイナスになり、政府の公表値と異なる、という点についても質問していました。しかし、政府が導入した新しい調査方法にも、それなりの合理性はありますし、総理は実質賃金よりも所得合計が大事だと返すばかり。やはり、私がブログで書いた通り、政府への効果的な攻撃にはなっていませんでした。

野党は、統計不信では、実質賃金マイナスより、賃金の上振れを叩け。アベノミクスでは、実質賃金マイナスより、消費水準の低迷を叩け。 - 日本の改革

政府に何等かの意図はあったかもしれませんが、ここについては水掛け論に終わった形でした。日経もそんな評価です。

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ただ、副産物ですが、安倍総理の発言にうまく反論する場面もありました。実質賃金マイナスだと野党が言い出した時、総理が、連合の調査によるデータを引用して、5年連続で今世紀最高水準の賃上げだと以前に発言。旧民主党の支持団体のデータを出すことで、嫌味も利かせていました。

長妻氏は、それは連合の組合員だけの調査で、全労働者の15.9%にすぎない、そもそも企業規模で100人未満なら組合の組織率は0.9%で、中小零細はほとんど組合がない、一方で1000人以上の企業の組織率は41.5%、という数字を出して、つまりは連合は大企業の組合が中心だから、総理の出すデータでは労働者全体の賃金は分からない、と批判していました。これはまあ、なるほど、と思わされました。

 

あと、小川淳也氏の質問は、良い面でも、悪い面でも、興味深く聞きました。小川氏の質疑については、また別の機会にふれたいと思います。