日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

安倍 vs. 枝野、軍配はどちらに?:国務大臣演説への代表質問

今日の要点

立憲民主党の枝野代表の代表質問と、これに対する総理及び大臣の答弁を、主要論点ごとに採点してみました。〇✕方式です。

・〇をプラス1、✕をマイナス1として、政府と立民について、「勝ち負け」を決めてみます。

国務大臣演説への質疑:立憲民主党の代表質問

昨日、衆議院国務大臣演説への質疑で、立憲民主党自民党、国民民主党からの代表質問が行われました。

日経は、立民の枝野代表の質問につき、昨年秋の臨時国会と比べれば、比較的淡々としていて、反対ばかりで対案がない、という批判を意識したのでは、と書いてます。「淡々」の部分は確かにそんな印象もありました。
www.nikkei.com

動画のリンクはこちらです。

www.shugiintv.go.jp

今日は、立憲民主党の枝野代表の代表質問と、これに対する総理及び大臣の答弁を、主要論点ごとに採点してみました。〇✕方式です。

採点の基準は、

・立民:「国民が聞きたいと思うことを聞いているか」

・総理と大臣:「国民が納得いく答弁をしているか」

が基準です。あと、質疑に限らず、どちらについても、「国民が言いたいと思うことを発言しているか」、「相手の痛いところを突いているか」も基準にします。

どうでもいい質問・答弁等は、〇も✕もつけず無視。そのあたりの取捨選択は、いわゆる「独断と偏見」です。

で、〇をプラス1、✕をマイナス1として、政府と立民の「勝ち負け」を決めてみます。お遊びですし公平でもないですが、選挙の年ですし、あえて勝ち負けの形で。

勤労統計等、公的統計について

・(立民)厚労大臣は、なぜ問題を把握した後に確報値を発表し、予算案の閣議決定に黙って加わったのか:〇

⇒これは当然聞くでしょう。

・(根本厚労大臣)事務方から報告受け、まだ具体的経緯が明らかでない中で、事務的な定例の発表として行った。事案の具体的内容や影響明らかでなく、予算案との関係を判断できなかった:✕

⇒あり得ません。総理に報告さえしてないんですから。事務的な定例の発表だなんて、大臣ではなくて下っ端役人の言い訳ですよね。こんなことだから、官房長が「隠すなんて滅相もない、言わなかっただけですよ」などと、完全に人をなめ切ったことを言うのです。役人を全く統率できずになめられ切っている根本厚労大臣は、立民から言われる前に辞めるべきです。

・(立民)再調査するにしても、同じ監察委員会の調査はダメだろう:〇

⇒当たり前ですね。もともと第三者性が疑われていたところを、官房長が調査に同席したこと(というか、官房長が調べた?)まで発覚。監察委員会への信頼が失墜している以上、全く別の第三者委員会を新たに作るべきだし、どうせ政府は後で作らされるでしょう。後手後手の対応で、政府にはかえって不利です。

www3.nhk.or.jp

立民もここまでは悪くないのですが、「国民が言いたいと思うことを発言しているか」では、以下の点で✕をつけます。

・(立民)統計制度の改革をすべき、と言っていない:✕

⇒大臣は辞めるべきですが、公的統計への国民の信頼回復のためには、こちらの方がむしろ大事でしょう。当ブログでは、イギリスにならって独立性の高い統計作成機関・監督機関を作るべきだ、と主張してきました。

政府統計への政治家の介入こそが問題の根源。イギリスにならって、統計行政の独立性の確保を。 - 日本の改革

公文書管理について

・(立民)財務省の公文書改ざんの責任をとって麻生財務大臣の罷免をすべき:〇

⇒あれだけの組織的な公文書改ざんで、大臣の首が飛ばないのはおかし過ぎます。トピックとして旬を過ぎようがどうしようが、これは言い続けて良いと思います。

・(立民)立民の「公文書改ざん防止法案」の方向で公文書制度改革を:✕

⇒立民等の提出した「公文書改ざん防止法案」、独立公文書監視官を内閣府に置く、としているのがダメです。これでは、独立性は保たれません。先の統計作成機関・監督機関同様、内閣の外の独立機関にすべきです。

cdp-japan.jp

一方で、政府の方は一層ダメです。

・(総理)昨年7月に決めた公文書管理の適正化に向けた総合施策を進める:✕

この対策、保存すべき文書の範囲も狭いし、保存期間も短いし、全然ダメです。いずれ書きますが、民間のウォッチドッグの批判には、たとえば以下があります。

clearing-house.org

そのうえ、

・(総理)麻生大臣には引き続き頑張ってもらう:✕

ですから、話になりません。

エネルギー政策について

・(立民)原発輸出に政府の関与やめて、国内の原発ゼロにすべきでは:〇

⇒国民はおおむねこう考えているでしょう。世論調査で、再稼働さえダブルスコアで反対が多いのが現状です。

・(立民)最終処分場について自分達の考えを述べていない:✕

⇒最終処分場について、政府の進捗ゼロを批判していますが、それなら、対案を言うべきです。

経団連会長「原発の議論をすると選挙に落ちる」発言⇒政府は国民と対話すべき。原発ゼロ決定で初めて対話が可能になる - 日本の改革

政府の方は、最初の質問につき、

・(総理)我が国は資源乏しい、気候変動、エネルギー安全保障から言って、原発ゼロは責任ある態度ではない:✕

⇒いつもの反論ですが、国民の支持がありません。資源乏しいから安価な再エネ、気候変動対策にもなる、原発がテロリスト等に襲われたらどうする、等、立民に限らず、野党はいくらも反論できるでしょうし、その方が国民の支持も得られます。そのうえ、

・(総理)最終処分場につき、見通し見せず:✕

なので、やはり原発ゼロは立民にはメリットあります。電力総連等と切れたことが良い方向に作用している形です。

消費税について

・(立民)米中、EUで経済リスク高い。国内景気は拡大の実感ない、経済統計の信用ない、だから、消費増税に踏み切るべきでない:✕

⇒消費増税反対という結論は支持します。経済状況が増税に耐えられないというのも同意です。ただ、理由付けが、景気への配慮だけなのが問題です。増税よりも歳出削減が先、この哲学を強烈に打ち出すべきです。このあたりが、公務員労組への配慮に見えてしまいます。

立憲民主党は、「本当に」消費税増税に反対か:連合は消費税増税に賛成。自治労もおそらく賛成。 - 日本の改革

 

とは言え、

・(総理)あらゆる政策総動員で景気対策、消費税以上の還元:✕

というのは、結論もダメなら、景気認識もダメ、対策もダメで、比較で言えば、立民の方がまだマシに見えてしまうくらいです。

通常国会開会!改革を志す政治家・国民は、総理演説をどう斬るべきか? - 日本の改革

待機児童問題・教育無償化について

・(立民)幼児教育無償化先行はおかしい。待機児童ゼロのうえで無償化すべき:✕

⇒「無償化より待機児童対策を」。この主張は、子育て世帯にかなりの支持があるのは分かったうえで、あえてダメ出しです。待機児童対策も、教育無償化も、どちらも大事で、同時に早急に進めるべきだからです。あと、保育の質にこだわる言い方が、公立保育所優先の、既得権保護の姿勢を感じます。

待機児童解消策:①保育無償化=公金は業者から利用者へ、②自治体による設置基準決定、③ベビーシッター等拡充 - 日本の改革

政府については、

・(総理)待機児童ゼロも、幼児教育無償化も進める:〇

で、方向としては立民よりマシです。

政府も立民も、待機児童ゼロや教育無償化の財源を歳出削減に求めていないので、その点は両方ダメで、イーブンです。

安全保障について

・(立民)防衛大綱、通常は10年に1度なのに、前回からたった5年で見直したのはいかがか:✕

⇒下らないことを聞いたものです。これについては、

・(総理)陸海空だけでなく、宇宙やサイバー空間への新たな対応を急ぐべき:〇

で瞬殺されておしまいです。基本的に、防衛大綱の方向は支持できます。問題は、中国への融和姿勢でしょう(今回の質疑では問題にされていませんでした)。

外交について

 

・(立民)北方領土は今まで一度も外国の領土となったことのない我が国が主権を有する領土ではないのか:✕
北方領土問題については、国内世論を恐れた、このこわばりがいけません。旧民主党は散々売国奴呼ばわりされたので、こう言わざるを得ないと思っているのかもしれませんが、北方領土について、それは間違いです。国民世論は既に、かなり柔軟になっています。野党はむしろ、その認識に立って、柔軟な姿勢を見せた方が良いと思います。

www.nikkei.com

北方領土の日、「島を返せ」たすきの使用中止 : 社会 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)

これに対し、

・(総理)四島の主権は我が国にある、交渉中で言えないことはある:〇

⇒主権の所在について意見が同じでも、政府と野党で、「言うべきこと」は違うと思います。政府の立場としては、こう言わざるを得ないでしょうが、実際はロシアの主権を認める方向で交渉が進むのでは、と国民は見ているし、仮にそうでも、国民は理解するでしょう。まだ言えないことがあるのは理解できます。

採点・講評

立民:〇が4、✕が7

政府:〇が3、✕が6

〇がプラス1、✕がマイナス1なので、総合点で、立民がマイナス3、政府がマイナス3で引き分け。勝ち負けがついた方が面白かったのですが。

まとめると、

・政府統計と公文書管理:立民の批判はほぼ正当。政府は全然対応しきれていない。

原発:立民の方が良いが、最終処分場について責任ある主張が必要。

・消費税:迷うところ。結論と景気認識は立民が正しいが、理由付け等でまだ不信感あり。

・待機児童と教育無償化:政府の方がマシ、ただし、財源が消費税なのはダメ。

・安全保障と外交:政府の方が全然しっかりしている。

という感じでした。

立民は、原発・政府統計・公文書管理では良いことを言っているのだから、消費税増税について更に厳しいスタンスをとって、外交・安保についてはもっと頼りがいのある主張でないと、自民に批判的な無党派層も、なかなか選びにくいでしょう。

政府は、まずは統計への信頼回復ですが、野党が言い出す前に、抜本的な統計制度改革と公文書管理を先に打ち出したらどうですか。野党は攻め手を失います。

国民としては、人気取りだろうが何だろうが、政府と野党がお互いに国民のためになる政策を競って出し合う国会にしてほしいところです。