日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

21世紀において、「日本人」とは何か:日本で生まれたら日本国民と決めよう。二重国籍も法律上は容認しよう。

大坂なおみ選手が、テニスの4大大会・全豪オープン女子シングルスで優勝しました。

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彼女は、日本とアメリカの二重国籍保有していると報道されています。二重国籍の人は、日本で89万人いるとも言われています。

style.nikkei.com

この機会に、日本の国籍法について、現代にふさわしい改革のあり方を考えてみます。

今日の要点

・国籍法は、親が日本国民なら子は日本国民とする「血統主義」をとっています。これを、日本で生まれたら日本国民とする「生地主義」に変えるべきです。
二重国籍についても、解消を求めるのは行政指導にとどめて、法律上は容認すべきです。

日本で生まれたら日本国民としよう。

現在の国籍法では、子どもが生まれたときに、父または母が日本国民であるときに、その子は日本国民になる、として、「血統主義」の原則をとっています。これに対し、日本で生まれれば、両親とも外国人であったとしても、日本国民となるのが「生地主義」です。

なぜ、日本の国籍法は生地主義なのでしょうか。1984年の法改正時の衆議院法務委員会(1984年4月17日)で、この点について質疑がありました。

神崎武法議員が、各国の国籍法を見ると「アメリカでも独立当初は血統主義であったが、その後、生地主義になった、あるいは当初は生地主義であったけれども、その後、血統主義に変わったという国もあります」、そこで、旧法で血統主義だった我が国が生地主義をとる等の考え方もとれるとは思うが、なぜ血統主義になっているのか、政策的根拠は何か、と質問しています。

これに対し、政府委員は以下のように答えました。

「法制審議会におきましても、現在血統主義をとっておりますし、日本の国民感情としましても非常に民族的な考え方が強いというふうなこともあって、そう大きな議論をしたわけではございませんけれども、生地主義の場合にはどうなる、・・・ということは一応検討し、我々も検討したわけでございます。
 その点から申しますと、生地主義をとりますと、これは現在の、要するに血統主義的な考え方からしますと百八十度の転換でございます。これは国民感情としてもまず受け入れられないであろうということがあります」

また、別の質問に関連して、政府委員は、血統主義の根拠について、以下のように説明しています。

「日本の国が現在までの繁栄を来してきたということの一つの要素に、日本人としての単一民族意識というものも、これは国際化とはまた別の傾向かもしれませんけれども、そういうものもある。そういう意識も、それはそれとしてまた尊重していかなければならないだろう。したがって、またそういう面から血統主義というものをやはり国籍法の基礎に置かなければならないだろう、そういうふうな考え方が今度の改正法の中で、法制審議会でも正面切って議論はされませんでしたけれども、皆さんの頭の中に置かれて検討されたものではなかろうかというふうに考えております」

kokkai.ndl.go.jp

つまり、①今までの血統主義を180度転換するのは、国民感情として受け入れられない、更に、②単一民族意識があるから日本は繁栄した、この意識は尊重すべきだ!

②の「単一民族意識が大事だ」発言には、驚きました。昔はこんな発言が普通に国会でなされていたんですね。いま、政府委員がこんな答弁を国会でしたら叩かれるのではないでしょうか。まして、審議会の意見ではなくて、答弁した役人個人の独断なのですから。

問題は、①の国民感情です。日本国民の要件は何か。この重大な問題は、当然、国民の意思で決めるべきですから、国民感情がどうなのかを考える必要があります。

1984年当時は、答弁した政府委員さんを信じるとして、国民感情血統主義を支持していたとしましょう。しかし、2019年の現在はどうでしょうか?

当時、1980年代に「国際化」と言われた傾向は、1990年代には「グローバリゼーション」として一気に進み、インターネットが普及して物理的な距離の意味が乏しくなり、在留外国人は256万人、観光客等の訪日外国人は年間2800万人を超え、出国する日本人は年間1700万人を超えています(数字は以下のリンク参照)。そして、政府はこれから34万人の外国人労働者を受け入れると言います。

法務省:平成29年末現在における在留外国人数について(確定値)

https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/marketingdata_outbound.pdf

こうした実態を踏まえ、国民の意識も大きく変わりました。外国人を見る目が変わっただけではありません。何よりも、我々日本人の自己認識、アイデンティティーも、大きく変わったのです。「単一民族」幻想を否定するときに、よくアイヌが挙げられますが、もうそれどころではありません。あらゆる外国をルーツに持つ日本国民が、血統主義の下でさえ、増えています。

改革派のリーダーである橋下徹氏も、以下のように発信しています。

日本人とは、 日本国民とは何か。血統によって、親が日本国民でありさえすれば、日本国民なのか。それとも、この日本という国で生まれたことが大事なのか。日本で生まれれば、例外はもちろんあっても、多くの場合、日本で育てられるでしょう。

純化すれば、我々日本人は、生まれによって日本人であるのか、育ちによって日本人であるのか。

私は、現在の国民感情から考えると、我々日本人は、この日本という国で生まれ育って、日本で教育を受けたということが、アイデンティティーの根幹だと思います。この日本で生まれ育ったということこそが、国民として統合されているという意識を生んでいると考えます。このため、血統主義から生地主義に国籍法の原則を変えるべきだと思います。

この点で重要なのは、日本で外国人の両親から生まれた子どもの教育です。以前ブログで書きましたが、外国人には自分の子どもに教育を受けさせる義務はないし、外国人の子どもは教育を受ける権利が、十分認められていません。親も子も、日本国民ではないからです。外国籍で就学不明な子どもが1.6万人もいるのが現状です。

mainichi.jp

人手不足解消ではなく、多様化のための外国人受け入れを - 日本の改革

この状況は、生地主義に変えれば、改善されるはずです。子どもは日本国民となり、国民として教育を受ける権利を完全に持つのですから、反射的効果として、親は外国人でも教育させる義務も生じるはずです。国も自治体も、本気で教育環境を整える必要が生じてくるでしょう。

二重国籍も法律上は容認しよう。被選挙権も問題なし。

大坂なおみ選手で話題になった二重国籍の件ですが、最初に紹介した通り、既に日本に89万人いるとも言われています。現在の国籍法によれば、父母どちらかが日本人であれば、子どもも日本国籍を取得するのですから、時間が経てば経つほど、毎年の国際結婚によって、二重国籍になる人は今後もどんどん増えていきます。

現在の国籍法では、  20 歳になる前に二重国籍になった人は22歳まで、 20歳になった後に二重国籍になったら、その後2年以内に、 いずれかの国籍 を選択する義務があります。この選択をし ないと法務大臣から催告を受け、 催告を 受けた日から1か月以内に選択をしなければ日 本国籍を喪失します。

www.moj.go.jp

国籍唯一の原則というものが1930年というかなり昔に出来た条約で定められていることもあり(日本は署名したが批准なし)、できるだけ二重国籍は解消しよう、という考え方によるものです。しかし、第二次大戦後の世界人権宣言等で、国籍を持つ権利を人権として保障する考え方が広まり、欧米では、相当緩められています。

アメリカでは、最高裁判所によって二重国籍を法律上認められた資格としており、ヨーロッパでは、ヨーロッパ国籍条約で、二重国籍が許容されています。ただ、アメリカは、政府としては二重国籍を積極的には勧めないとしてウェブサイトで呼びかける等の対応をしています。要するに、出来ればどちらかの国籍にして下さいという行政指導を緩めにやっているようです。

日本は、国籍選択を義務化して、法務大臣の催告に従わなければ、国籍剥奪という極めて重いペナルティーがあります。ところが、現実は先ほど見たように、これから選択する人も含めて、二重国籍者は数十万人もいますし、わざわざ法務大臣が催告のうえ、国籍を剥奪するなどという制度通りの運用は全く非現実的です。事実、法務大臣の催告は、一度も行われていません(以下資料を参照しました)。

http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/refer/200311_634/063403.pdf#search=%27%E9%87%8D%E5%9B%BD%E7%B1%8D+%E5%9B%BD%E7%B1%8D%E6%B3%95%27

http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2009pdf/20090801103.pdf#search=%27%E9%87%8D%E5%9B%BD%E7%B1%8D+issue+in+brief%27

つまり、国籍選択制度でのペナルティーは全く形骸化しているのです。それでも、国籍が失われるのは、国籍法では最も重い制裁ですし、法律でこの制度が存在していることは、当事者にとっては大きな不安となります。そもそも、「選択しろ」という義務自体が、強い心理的な負担になります。

以上のような理由で、日弁連は2008年、国籍選択義務制度に反対する意見書を発表しています。これは、「日本人の母とフランス人の父との間に出生し、両国の国籍を保有している2名 及び、日本人の母とドイツ人の父との間に出生し、両国の国籍を保有している 1名からの人権救済申立」を契機に行った調査に基づくものだということです。

https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/opinion/report/data/081119_3.pdf#search=%27%E9%87%8D%E5%9B%BD%E7%B1%8D+%E7%AB%8B%E6%B3%95%E4%BE%8B%27

そもそも、国籍選択制度は、法律通りにはとても運用など出来ずにいるものです。せいぜい自主的に選択してもらう、行政指導をする程度。それならもう、アメリカと同様に、法的には二重国籍の解消は求めない、ただ、両国間の法的義務の衝突などの色々なトラブルがありうること等、デメリットをきちんと伝えて、出来れば選択してくださいと行政指導する程度にとどめる、という制度改正・運用を行うべきです。

なお、現在は立憲民主党蓮舫議員が、自分の国籍に関する問題で、当時の民進党の代表を辞任しました。これも、二重国籍自体は法的に問題ではなく、彼女が自分の国籍についての発言を二転三転させて、国民の信頼を失ったことが一番問題でした。

日本維新の会は、二重国籍者の被選挙権を制限するという法案を出しましたが、橋下徹氏は、そのような考えはとっていません。それどころか、選挙権は日本国民にしか与えないとしても、被選挙権は外国人にも与えてよい、と主張されています。

president.jp

 これからの日本に、国際社会にふさわしい国籍法にする。それは何より、私たち日本国民が、日本国民とは、日本人とは何なのかを問い直すところから始まります。私たちみんなで、私たち日本人とは何なのか、生まれによって日本人なのか、育ちによって日本人なのか、考え、話し合い、そして、世界の諸国民と協調できる結論を見つけようではありませんか。私は、血統主義から生地主義への転換と、国籍選択制度の廃止がその結論となるはずだと考えています。