日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

安倍政権、来年度予算案で、減反政策を強化。野党は「減反を廃止する」という総理のウソを暴き、減反廃止の実現を。

今日の要点

・安倍政権は、来年度予算案で、コメの生産を減らせばもらえる補助金を二つ新設しました。つまり、減反政策を強化しています。

安倍総理は2013年、「コメの減反廃止を決定した」と発言しました。これは大嘘であり、フェイクニュースの流布です。メディアも安倍氏の言いなりに報道しています。

・来年度予算案での減反政策の強化は、今年の参院選のためです。野党は、総理とメディアのウソを暴き、兼業コメ農家のためではなく、国民のための農業改革を実現すべきです。

安倍政権、来年度予算案で、減反政策を強化。

コメの価格が上がっています。コメの卸値はもう4年連続で上昇し、特に、コンビニや外食チェーンの使う業務用米が不足しているようです。コンビニの中には、おにぎりのサイズを小さくしているところもあるようで、国民生活に影響が出ています。

www.nikkei.com

なぜ、コメの値段が上がっているのか?言うまでもなく、コメの作付面積を減らそうとする減反政策が続いているからです。零細な兼業農家も含めて、数の多いコメ農家がどこも損をしないように、政府はコメの価格を高く維持しようとしています。この政策は、消費者には大変な損失なのはもちろん、食糧安全保障上も問題です。

ところが、政府・自民党は、コメ農家の票が欲しくて、減反政策を続けています。それどころか、来年度予算案では、新たな補助金も新設。むしろ減反を強化しています。

新設の補助金は二つあり、どちらも、2019年に主食用のコメの作付面積が前年より減る都道府県だけが対象です。

1つは2019年に限った補助金で、主食用のコメの生産を減らす面積に応じて10アール当たり5000円支給。減らした田んぼでは何を作っても、何も作らなくても、自治体には予算が配分されます。
もう1つは20年以降も続ける補助金で、主食用のコメに代わり、野菜や果樹、加工用米、飼料用のトウモロコシなどを作った面積に応じ、同じように2万円出すものです。

www.nikkei.com

それぞれ、「平成31年度緊急転換加算」と、「高収益作物等拡大加算」という名前がついています。この二つの新規予算を含め、「水田活用の直接支払交付金」、つまり減反政策のための補助金は、3215億円にもなります(以下の農水省関連の来年度予算案資料17ページ目)。

https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2019/seifuan31/15.pdf

 安倍総理の「減反廃止」発言は、フェイクニュースの流布。

以上のように、減反政策は厳然と存在し、続けられています。にもかかわらず、テレビも新聞も、「減反政策は廃止された」と言っています。なぜか?安倍総理が、「減反政策の廃止を決めた」などというウソをついてきたからです。

2013年12月9日、安倍総理は会見でこう言いました。

「農業を成長産業にするために40年以上続いてきた米の生産調整を見直し、いわゆる減反の廃止を決定いたしました。農業分野において減反の廃止なんか絶対に自民党できないと言われてきた。これを私たちはやったのです。やるということを決めました」

www.kantei.go.jp

実際にやったことは、田んぼをこれだけ減らせという数値目標はもう作らないけど、田んぼを減らして他の作物や飼料米を作ったら補助金をあげる、というものです。数値目標はなくとも、田んぼを減らす政策=減反政策が続くことには変わりありません。また、コメからの転作に補助金を出すことも、以前からやっていました。

2013年決定の「農林水産業・地域の活力創造プラン」26ページの「コメ政策の見直し」の部分を引用しつつ、普通の日本語に訳してみます。

・「行政による生産数量目標の配分に頼らずとも」:もう数値目標は示さないけど、

・「国が策定する需給見通し等を踏まえつつ」:コメの生産が増えすぎないように、

・「生産者や集荷業者・団体が中心となって円滑に需要に応じた生産が行える状況になるよう、行政・生産者団体・現場が一体となって取り組む」:農家等は空気読めよ。

http://www.maff.go.jp/j/kanbo/katsuryoku_plan/attach/pdf/index-8.pdf

その代わり、食用のコメの田んぼを減らして、飼料米の田んぼ等にしたら、補助金やるからな、ということです。消費者が食べるコメの価格を高く吊り上げるための田んぼ減らし=減反はずっと続いています。

というわけで、安倍総理が「米の生産調整を見直し、いわゆる減反の廃止を決定いたしました」と言ったのは、普通のウソではなくて、とんでもない大ウソ、フェイクニュースです。

ところが、総理の会見前後から、メディアは「減反廃止」と報じてしまいます。農水省OBで、農政について本当の改革派の山下一仁氏は、大手マスコミの大誤報だと言って、当時から厳しく批判していました。

https://www.rieti.go.jp/jp/papers/contribution/yamashita/104.html

国が相変わらず転作補助金による減反は続けながら、数値目標を示すことだけをやめたのが、去年からです。このときも、メディアは「減反廃止」がいよいよ始まる、という報じ方。山下氏は、もう「挙国一致のフェイクニュース」状態だ、と強く批判しています。

www.canon-igs.org

山下氏だけでなく、財政学者の土井丈朗氏も、政府の数値目標がなくなっても転作補助金はあるのだから、結局はコメの生産が減らされ、このためにコメの価格が上がり続けている、と批判しています。

toyokeizai.net

昨年はそれでも、コメが1%だけ増産はされました。ところが、その増産が起きた秋田では、業務用コメの生産を増やした地域農協に対し、県農協幹部が「なぜコメを増産したんだ!」と怒鳴りつけていたとか。

それどころか、現状では、国全体で、①国が全国の需要予想を出す、②需要予想に従来の都道府県ごとの生産比率をかけて「X県の生産量」を出す、更に、③多くの地域で、「農家別の作付面積」まで示したそうです。秋田のような生産性の高い農家がいるところが増産しようとしても、芽が摘み取られている形です。

www.nikkei.com

こうして、減反は続いています。最初に紹介した通り、来年度予算案では、コメの作付面積を減らしたところだけが対象の補助金まで出来ました。減反は続いているだけでなく、強化されています。そして、消費者・国民は、給料の上がらない中、4年連続で値上がりしたコメを食べさせられています。

野党は総理のウソを暴き、減反廃止の実現を。

 自民党には、減反政策はやめられません。特に、TPPを理由に、農家の自民党離れが起きています。前回2016年の参院選では、長年自民を支えたJAグループの政治団体、農協政治連盟(農政連)が、東北5県で自主投票としました。結果として、野党は惨敗した2013年参院選よりはだいぶマシでした。

mainichi.jp

前回の参院選での農家票の離反を見た自民党は、TPPで離れた票を取り戻すのに必死です。来年度予算案に入った「平成31年度緊急転換加算」も、なりふり構わず農家に対してバラまこう、選挙のある今年だけでも、というつもりなのでしょう。

野党にとっては、ここは攻め所です。コメの価格が上がり国民が苦しんでいる今、安倍自民党は、非効率で生活にも困らない兼業コメ農家の票だけを目当てに更に減反を進め、コメの価格を高止まりさせようとしている、こう言って、叩くべきです。減反廃止などという安倍氏の大嘘を徹底的に追及すべきです。

そして、減反政策での広く薄い選挙対策補助金を廃止し、大規模専業農家環境保護のためのメリハリの利いた補助金に切り替えるべきです。旧民主にも、それどころか、維新にさえ、農協のしがらみの強い議員はいます。しかし、党内のしがらみ議員は抑え込んで、安倍自民党のどうしようもない農政に対して、合理的で国民のためになる農政改革を打ち出してほしいところです。