日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

必要なのは核武装ではなく、核ミサイルの無力化:アメリカのミサイル新戦略と日本

今日の要点

・日本は、中国・北朝鮮等の核の脅威に対して、国民の合意のない核武装は目指すべきではありません。国民の合意の下に、核ミサイルの無力化を実現すべきです。

レーガンの戦略防衛構想(SDI)は、相互確証破壊(MAD)という核抑止論への疑念から生まれ、核ミサイル自体を無力化する手段として構想されました。

アメリカは、ミサイル新戦略(MDR)で、宇宙配備型の防衛システム構築を目指すと発表しました。日本はアメリカと協力するとともに、新技術による独自のミサイル防衛を実現すべきです。

日本は核武装ではなく、核ミサイルの無力化を実現すべき

米朝首脳会談が、また来月に行われるようです。北朝鮮は非核化を進めておらず、核の脅威については、ほぼ相変わらずです。そのための仕切り直しですが、進展は望めそうにありません。

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北朝鮮が核ミサイル開発を急速に進め、トランプ政権が日本に核の傘を提供し続けるか不安もある中、日本の核武装の議論がまた出てきました。

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日本は核武装すべきではありません。国防は国民の意思で行われるべきであり、日本国民が核武装に賛成しない以上、日本は核兵器を持つべきではないからです。中国、北朝鮮、ロシア等の核兵器に対しては、現状のミサイル防衛だけでなく、新技術を使った様々な手段での抑止を行うべきです。核兵器による懲罰的抑止ではなく、新技術も利用した通常兵器での拒否的抑止のみとすることが、国民的な合意を得られる政策です。

核兵器は、広島と長崎以降は実戦で使われてはいません。滅多に使えない兵器ですが、一度持てば他国に与える心理的影響は絶大です。だから、政治的兵器とも呼ばれるそうです。現に北朝鮮は、核ミサイルを持ったことを利用して、アメリカから自国の安全保障はじめ最大限の政治的利益を得ようとしています。

核兵器に対して核兵器保有で対抗するのは、いわゆる相互確証破壊(MAD)による「恐怖の均衡」で敵の攻撃を抑止するものです。核兵器で自国の安全を守るためには、国民が相手への核攻撃を容認しないといけません。日本国民は、他国への核攻撃に賛成しないでしょうから、核保有に合意が得られることもないでしょう。「技術的には核を持つ能力があるぞ」と言ったところで、国民にその気がなければ、何の抑止効果もありません。中国や北朝鮮は、日本の世論をよく見て、日本に核武装が無理なことなど、とっくに見透かしていることでしょう。だからアメリカしか相手にしません。

日本が目指すべきは、新技術も利用した通常兵器で、核ミサイルを無力化するような、拒否的抑止を万全にすることです。核ミサイルの発射段階で敵基地を攻撃する能力の保有も、核兵器での報復との比較で言えば、拒否的抑止と言ってよいでしょう。新技術にはたとえば、サイバー空間を利用した敵の通信・制御システムの無力化や、レールガン攻撃によるミサイルの無力化等があり、既に日本も研究を始めています。

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国民の合意が得られない防衛政策は、兵器だけが立派でも、結局は国防に役立ちません。逆に、国民の合意が得られた防衛政策は、低コストで大きな効果が上げられます。

レーガン大統領は、核兵器による恐怖の均衡を疑い、戦略防衛構想(SDI)を始めた。

ミサイル防衛は、もともと、アメリカのレーガン大統領が1980年代に構想した戦略防衛構想(SDI)の発想がもとになっています。レーガン核戦略の根本は、相互確証破壊の考え方への疑念で、そこから、純粋に防御的な兵器が作れないか、というアイディアが生まれ、スター・ウォーズとも言われたSDIを構想しました。

レーガンの第2回大統領就任演説から引用します。

「さて、我が国とソヴィエトは何十年間も、相互確証破壊の脅威の下で生きてきた。一方が核兵器の使用に訴えれば、他方はそれを始めた側に報復し、滅ぼし得る。一方が数千万国民を殺戮すると威嚇すれば、我々も数千万国民を殺戮すると威嚇するより他ないと信じることに、論理や道徳があるであろうか?
私は核ミサイルを目標到達前に破壊する防護盾が可能か否かを知るための研究計画を承認した。それは人民を殺戮するのではなく、兵器を破壊するのである。それは宇宙空間を武装化するのではなく、地上の兵器を非武装化し、核兵器を時代遅れにするのである。我々は、世界から核破壊の脅威を除去する道について合意できるよう望みつつ、ソヴィエトと協議する 」

ja.wikisource.org

敵が大量虐殺で脅して来たら、こちらも大量虐殺で脅すしかない、そんな考え方に「論理と道徳」があるか?この力強い単純な問いかけが、後にミサイル防衛システムとして結実します。核兵器に対抗するために核兵器を持つ合理性はないし、倫理的にも許されない。日本国民にも納得できる考え方でしょう。

アメリカのミサイル新戦略と日本

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トランプ政権は、今月17日発表した新戦略「ミサイル防衛の見直し(MDR)」で、中国やロシアが開発する極超音速ミサイルを「新たな脅威」と位置づけ、対抗策として1980年代に浮上した戦略防衛構想「スター・ウォーズ計画」に似た宇宙配備型の防衛システムの構築を掲げました。

1980年代のSDIは頓挫しましたが、30年を経て、ロシアの極超音速ミサイルという脅威に直面して、復活した形です。日本にも応分の負担を求めているようで、朝日新聞はこれに対し、軍拡のいたちごっこになるとか、批判的なトーンです。
digital.asahi.com

私は、アメリカの新戦略は歓迎すべきものだと思います。トランプ政権は核兵器も重視していますが、この新戦略は、レーガン以来の拒否的抑止で、防衛のためのシステムだからです。なお、この戦略に限らず、ミサイル防衛システムはかえって軍拡をもたらすという考え方もあるようですが、SDIを唱えたレーガンは、米ソの核軍縮に成功しました。使い方次第で、世界的な核廃絶への現実的な手段となることは実証済みです。

日本は、アメリカのミサイル防衛の新戦略に協力する一方、全く独自のミサイル防衛システムを構築し、将来的には、核兵器なしで、アメリカの「核の傘」に頼らない国になるべきです。