日本の改革

日本の改革に関するブログです。あるべき改革や政策等について考えていきます。

経団連会長「原発の議論をすると選挙に落ちる」発言⇒政府は国民と対話すべき。原発ゼロ決定で初めて対話が可能になる

今日の要点

経団連会長が原発再稼働推進を主張し、国民的議論を進めるべきと発言。私は、脱原発の立場から、政府が国民と対話を行うことに賛成です。

・政府と国民の対話はいかにして可能か?まず将来の原発ゼロを決めないと、最終処分場を受け入れる自治体は出てきません。小泉純一郎元首相の言う通り、原発ゼロの方針決定が、国民との対話の出発点になります。

立憲民主党は、原発ゼロを決めたうえで最終処分場を必ず決めるという、責任ある脱原発政策を示すべきです。現在の原発ゼロ基本法案では全く不十分です。

日本維新の会は「市場競争で原発フェードアウト」から「原発ゼロ決定による最終処分場決定」に方針転換すべきです。

経団連会長発言再び:「再稼働どんどんやるべき」「それを言い出すと選挙に落ちる」⇒国民的議論を大いにやるべき!

経団連の中西宏明会長が、「再稼働はどんどんやるべきだ。ただ自治体がイエスと言わない。これで動かせないのは事実だ。福島の原発事故以降、原子力に関して真正面からの議論が不足しているのではないか。皆さん、それを言い出すと選挙に落ちると」

と発言し、政府に公開の議論を求める考えを示しました。

headlines.yahoo.co.jp

中西氏の年明けの発言については、当ブログでも1月2日に書きました。

経団連会長の「原発は国民反対ではつくれない」発言:国民とは何か、改革とは何か - 日本の改革

そこで私が書いたのは、原発政策のような重要政策は、国民の理解がなければ進められない、ということです。

現に、現在の原子力政策は完全に思考停止・議論停止状態です。強そうに見える安倍政権でも、国民の支持がない政策では、こんなものです。去年決まった第5次エネルギー基本計画は、総花的に、脱原発派にも原発推進派にも良い顔をしようとした内容です。再エネは「主力電源」にすると言いながら道筋不明、原発は相変わらず「ベースロード電源」で2割維持と言いつつ、原発のほとんどが稼働していない現状はほぼそのままで、こちらも道筋不明。

www.nikkei.com

原発「一応」推進派の?東京理科大橘川武郎教授は、政府与党の姿勢を批判しています。誰も原発政策を真面目に考えていない、叩かれるのがいやで責任回避ばかり、正面からの議論を避けている、とのことです。経団連の中西会長発言は、こうした声を代弁している面もあるでしょう。

business.nikkei.com

もちろん、脱原発朝日新聞も政府を批判しています。輸出・新増設・再稼働・核燃サイクル・高速炉と全部ダメで八方ふさがりなのに、政府は従来通りの方針を繰り返すばかり、と批判しています。

digital.asahi.com

政府・与党は、原発の今後について、原発のメリットとデメリットについて、絶対必要となる最終処分場の場所の選定について、国民に率直な訴えかけをして、国民の理解を得るよう、真摯な対話をすべきです。その意味で、経団連会長の発言を歓迎します。

原発について、政府と国民の対話はいかにして可能になるか?まず原発ゼロを決めないと無理!でないと、最終処分場の場所は決められない!

ここで、原発に対して国民がどう考え感じているか、世論調査のデータを紹介しましょう。原発再稼働に賛成か反対か、各社の世論調査の結果をグラフにしたものです。

enechopdf001_005.png

(出所は

http://www.enecho.meti.go.jp/committee/studygroup/ene_situation/001/pdf/001_005.pdf

ですが、すいません、孫引きで、

福島事故後ずっと原発再稼働賛否の比率は変わらず、賛成1:反対2 データを読む|エダヒロの「エネルギー情勢懇談会」レポ! - イーズ未来共創フォーラム

からコピーしました。)

原発再稼働に関して、賛成対反対は1対2で、圧倒的に反対多数です。あまりに反対が多いせいか、産経は2015年から、日経は2016年から、原発再稼働の賛否の調査自体やめてしまったようですね。資源エネルギー庁は、ちゃんとこんなデータも省内で出して、世論の信頼回復が必要、とか言ってるようです(エネ庁の資料内のグラフに記載があります)。分かってるじゃないですか。

経団連会長の中西氏は、こんなデータも念頭に、政治家はとても広く国民に訴えられない、だが、原子力産業を維持するにはどうしても国民の理解が必要だ、ということで、年始以来、政府与党に問題提起しているのでしょう。私は原発政策について中西氏と正反対の立場ですが、国民との対話を訴える姿勢は立派だと思います。

原発の最大の問題点は、最終処分場がまだ出来ておらず、いわゆる「トイレのないマンション」状態が何十年も続いていることです。今後の日本が原発を推進しようが脱原発にしようが、最終処分場の建設は絶対に必要なものです。しかも、フィンランドオンカロのような丈夫な岩盤がない日本で、小泉純一郎元総理の言い方を借りれば、どこでもちょっと掘れば水が出てくる、温泉まで出てきちゃう日本で、必ず、どこかに、最終処分場を造らなければいけません。ところが日本国民は、再稼働さえ圧倒的多数が反対です。では、どうすれば良いのか?

この難問に、初めて明快な答えを与えてくれたのが、小泉純一郎元総理でした。先に挙げた、以前の私のブログの内容ですが、2014年の都議選時の演説を、もう一度紹介させていただきます。

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小泉純一郎元首相:福島の事故前でさえ、何年応募しても、一つの自治体も手を上げなかったので、政府の責任で決めると言い出したが、「事故起きた後、手を上げないから政府が決める、それこそあまりにも楽観的すぎます」
「(原発ゼロにして)もうこれ以上(核廃棄物を)増やさないから、お互い、処分場なり、中間施設なり、国民が全地域で、全国土で考えよう、(政府が)そう言うことによって初めて、国民との対話が可能で、協力が可能な体制が出来るんじゃないかと思います」

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(以下動画9分20秒あたりからです)

www.youtube.com

原発を続けるにせよ、やめるにせよ、最終処分場は作る必要があります。国民の圧倒的多数が原発の再稼働さえ反対な中、それを可能にするには、政府が国民に向かって、「原発はゼロにして、もう核のゴミは出しません、今ある分だけです、だから、我々のために、将来世代のために、どうしても最終処分場を作らせてほしいのです」

そう真摯に訴える以外に、この問題で国民の共感と理解を得る手段はないと思います。

立憲民主党原発ゼロ基本法案では不十分!ちゃんと最終処分場建設の道筋を示せ!

では、以上のような「まず原発ゼロ決定、これによって国民の理解を得て最終処分場決定」という政策を進めてくれる政治勢力はどこにいるでしょうか?立憲民主党を一応見てみます。小泉純一郎氏とも共闘して、立憲民主党原発ゼロ基本法案を作り、昨年、衆議院に提出しました。

私は立憲民主党を支持も信用もしていないのですが、小泉氏が関わったということで、少し期待して、法案を見てみました。
www.shugiin.go.jp

残念ながら、これでは不十分です。なぜなら、一番肝心の、最終処分場建設までの道筋や、そこに至る国民との対話が定められていないからです。確かに、この法案は基本法についての案ですから、理念的な内容だという言い訳はあるでしょう。また、一応は9条に、政府は「・・・使用済燃料及び放射性廃棄物の管理及び処分に関する国の関与の在り方その他の全ての実用発電用原子炉等の計画的かつ効率的な廃止のための方策について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講じなければならない」と書いてはあります。だが、これでは、小泉純一郎プランの精神が全く見えません。

立憲民主党は、原発ゼロ決定によって国民との理解・対話を経て最終処分場決定、という道筋が、抽象的にでもはっきり見える法案を、通常国会に出し直すべきです。

日本維新の会は「市場競争で原発フェードアウト」から「原発ゼロ決定による最終処分場決定」に方針転換を!

最終処分場の問題から逃げずに、この点を法案に書き込んだのは、日本維新の会です。最終処分場の選定についての手続きが、維新の法案で決めた形でどこかの地域で進んでいないと、原発再稼働も出来ないという法案になっています。したがって、今の原発再稼働にも全て反対ということになるので、実は原発再稼働には相当厳しい法案です。

https://o-ishin.jp/houan100/pdf/detail049.pdf

また、日本維新の会は、「市場競争で原発フェードアウト」という方針です。つまり、国が原子力発電という方法を規制で禁じてしまうのではなくて、原発も再エネも含めて多様な発電方法を選ぶ事業者間での自由・公正な競争を確保すべきだ、そうすれば、原発はゼロになるかはともかく、自然にその比率が下がるフェードアウトが起きるはずだ、という考え方なのでしょう。

問題は、原発ゼロを言わずに、候補地の選定が進むかどうか、です。これまで何十年も手上げ方式では決められず、やむなく政府が主導して決めることになりましたが、やはり決まっていません。と言うより、政府主導の決定について、所管官庁内部も懐疑的とも言われています。

最終処分場の選定・建設のためには、原発ゼロを言わないと、とても進まないーこの冷徹な現状認識の点で、維新の原発フェードアウト政策よりも、小泉純一郎氏の原発ゼロ政策の方が、はるかに現実的であり、国民を燃えさせる力も持っていると思います。日本維新の会が、立憲民主党のような良いとこ取りだけでない、最終処分場選定・建設への道筋を明示した原発ゼロ政策を示してほしいと願っています。

なお、原発については、どれほど問題があっても、将来の日本の核武装のためには必要ではないか、という考え方もあります。私は、核兵器を持たない安全保障政策こそ、日本国と日本国民の安全を守れると考えています。この点については、また別の機会に書きたいと思います。