日本の改革

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招致に贈賄が必要なら、東京五輪なんていらなかった:日本は海外への「腐敗の輸出」を止めろ

今日の要点

JOC会長がフランス検察から贈賄容疑で訴追の可能性が出た件。違法行為なしに招致できなかったというなら、五輪なんかやる必要ありません。

・日本は、OECD外国公務員贈賄防止条約の締結国でありながら、海外公務員への贈賄をほとんど訴追していません。我が国は、各国の国民の人権を守るために、外国公務員買収という「腐敗の輸出」を厳しく罰するべきです。

JOC会長と電通の贈賄疑惑。招致に違法行為が必要なくらいなら、五輪なんて不要!

 2020年東京五輪パラリンピック招致で不正があった疑いで、フランス当局がJOC竹田恒和会長の本格捜査に乗り出しました。仏当局は、竹田氏が理事長だった招致委員会が2013年に、シンガポールコンサルタント会社に支払った計約2億3000万円の一部が汚職資金洗浄に使われた可能性を疑っている、と報じられています。

digital.asahi.com

この問題は既に2016年に持ち上がり、国会でも質問されていました。

メディアでは、FACTAが、本件を報じたガーディアンと共同取材した記事を2016年3月号に掲載しています。

facta.co.jp

去年のFACTAの記事は、本件で電通が関与した「物証」があると主張しています。

facta.co.jp

FACTA2016年3月号の記事「東京五輪招致で電通「買収」疑惑」の中に、こんな記述がありました。別件の、国際陸連のドーピングに関する調査報告の引用です。

「トルコは・・・国際陸連に協賛金400万~500万ドル(4億6千万~5億800万円)を支払えと求められ、断ったためLD(ラミーヌ・ディアク)の支持を得られなかったが、会話記録によると日本側は協賛金を支払った」

「20年の五輪は東京開催に決まった。独立委員会はこの件については委任された調査項目ではないため、これ以上の調査は行わなかった」

つまり、2020年オリパラ開催を東京と競っていたイスタンブール側は金銭供与を拒んだが、日本側は払ったので、東京五輪の開催が決定した、という趣旨です。そして、その金銭が、フランス刑法では賄賂に認定される疑いがあり、フランス検察が捜査を本格化させている、ということなのでしょう。

これが事実なら、トルコは贈賄の疑いがあるような金銭要求を拒否してフェアプレーで負け、日本は、担当者(JOC電通)が汚い取引に応じて勝ったわけです。仮にトルコが同じことをしていても、日本側の責任は免れません。いずれにしても、オリパラ誘致に、スポーツマンシップと正反対のことが行われていたことになります。

もしもオリパラ等のイベント招致にどうしても贈賄等の違法行為が必要だ、という状況になったらどうすべきか?当たり前のことですが、違法行為をするくらいなら、五輪だろうが他のスポーツ大会だろうが、日本に招致する必要なんかありません。

東京五輪パラリンピック大会はもう来年で、辞退など無理。「もし賄賂が必要なら断るべきだったのに」と仮定法過去完了で言うしかないのでしょう。しかし、今後はこのような疑惑が絶対に生じないよう、国内法の内容も、法執行も、厳しくすべきです。

日本は、外国公務員への贈賄に甘すぎます。これは海外に政治腐敗を輸出しているのと同じです。政府は、日本企業等による「腐敗輸出」に厳しく臨むべきです。

日本は、OECD外国公務員贈賄防止条約の締結国です。ロッキード事件を契機に、アメリカが1977年に、外国公務員に対する商業目的での贈賄行為を違法とする「海外腐敗行為防止法」を制定し、国連、OECD等においても各国の取組を要請して出来た条約です。国内法では、不正競争防止法で外国公務員への贈賄を禁止しています。

www.mofa.go.jp

ところが、日本政府は、日本企業等による外国公務員贈賄をほぼ全く摘発していません。この点につき、国際NGOのトランスペアレンシー・インターナショナル(TI)が、昨年9月に「腐敗輸出報告書」の2018年版を公表しました。日本は4段階あるうちの最低ランク「ほとんど、もしくは全く執行なし」に位置づけられています。

http://www.ti-j.org/japan_2018_OECD_Exporting_Corruption_Press_release2.pdf

judiciary.asahi.com諸外国は、贈賄に対して厳しい態度で臨むようになっています。外国公務員への贈賄について、日本企業は相変わらず甘い認識でいるようで、現地の法律で厳しい制裁を課されています。JOC電通の買収疑惑が最初に出た2016年には、オリンパスが米国と中南米での内視鏡販売などに絡む腐敗行為について総額700億円もの制裁金を支払うことになりました。このような事態を事前に防ぐためにも、まずは国内法での一層の厳罰化と同時に、法執行の厳格化が必要です。

(なお、アメリカの海外腐敗行為防止法では外国公務員がたとえば税関手続きで贈賄を強要してきた場合等には、処罰しない等の工夫もあるようですし、不可能事を強いるような制度にしないことは可能です。)
business.nikkeibp.co.jp

衆議院議員緒方林太郎氏は、 不正競争防止法を改正して、今回のような外国民間人への贈賄もフランスのように処罰できるようにすべき、と主張しています。現行法の厳罰化の一環として、検討すべきでしょう。IOC委員等は公務員ではなくとも、公的な存在と捉えるべきです。通常国会での有意義な議論を望みます。

blogos.com

ロッキード事件は、アメリカ企業が日本の政治家に贈賄を行い、日本の公務の公正さに深刻な傷を負わせた事件でした。収賄した側の責任はもちろん厳しく問われるべきですが、一方で、贈賄したアメリカ企業に憤りを覚えた日本国民も多かったはずです。

日本の企業や団体が、同じことを海外で行うべきではありません。特に、後進国の公務員への贈賄は、独裁政権の維持に役立つ等、外国の国民の人権を大規模に侵害するおそれがあります。今回のオリパラ誘致での買収が、アフリカ票の取りまとめのためだった、ということについて、私が強い嫌悪感を覚えるのはそのためです。日本は、海外への「腐敗の輸出」を直ちに止めて、自由・民主主義・社会的正義をこそ輸出する国になるべきです。