日本の改革

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文科省の腐敗、私大医学部の女子差別:私大改革はどうすれば良いのか

昨年は、文部科学行政と、いくつかの私立大学医学部への信頼が失墜した年でした。

文部科学省の私大支援事業を巡る汚職事件で、同省科学技術・学術政策局長だった佐野太が、受託収賄罪の疑いで逮捕・起訴されました。また、同容疑者の息子の入試で加点を指示した等として、東京医科大学の臼井正彦理事長らが辞任、贈賄罪で在宅起訴されました。

更に、東京医科大は、女子受験生の点数を一律で減点するなど男子受験生を優遇していたことも明らかになりました。この問題は私立大学医学部全体に飛び火して、多くの大学で同様の女子差別が行われていた疑いが持ち上がりました。

文部科学省は、「医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査」を実施、その結果や今後の対応等をウェブサイトで公表しています。

医学部医学科の入学者選抜における公正確保等に係る緊急調査について:文部科学省

一連の問題は、文部科学行政への信頼、与野党の政治家の関与、就学・就労における未だに根深い女子差別、医師不足と医師の働き方改革等、色々な形で報じられ、論じられています。

これらの論点のそれぞれについては、いずれまた書きたいと思います。現状で私が感じる印象は、東京医科大学汚職事件については、文部科学省への責任追及や同省の改革はおざなりで、私立大学への監督強化(というか、強化のふり)が目に付くように感じます。

たしかに文科省事務次官引責辞任し、幹部に懲戒処分も下されました。しかし、飲食接待を受けて辞職した前初等中等教育局長の高橋道和が、東京五輪パラリンピック組織委員会入りするそうです。辞職してすぐに、よく恥ずかしげもなく引き受けるものです。

mainichi.jp

組織委員会も、一体何を考えて、こんな人事を決定したのでしょうか。記事には、スポーツ庁初代次長職でスポーツ行政の手腕が評価された、などとありますが、果たして人品骨格はふさわしいのでしょうか。文科族とも言われる森喜朗会長は、記者会見を開いて説明してはいかがでしょうか。

その一方、私立大学の「ガバナンス強化」をうたって、文部科学省が、私立学校法の改正案を今月始まる通常国会に提出すると報じられています。中身は、「学校法人で違法行為などを把握した理事に監事への報告を義務付けるなど、監事の権限を拡充する方針」とのことです。

headlines.yahoo.co.jp

私立大学のガバナンス強化は確かに必要でしょう。東京医科大学については、臼井前理事長が学長だった当時、自分の親族とともに設立した企業が同大学の医局員を派遣していた十の病院にコンタクトレンズを売りつけていた(大学の内規違反とのこと)とか、診療報酬の不正請求だとか、新病院建て替えでの背任疑惑だとか、叩けばいくらでも埃は出てくるようです。

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私立大学には私学助成金が、税金から投入されています。ガバナンス改革はもちろん必要です。しかし、現在報じられているような、監事の権限を少々強める程度のことで、実効性があがるとも思えません。また、汚職事件の反省の色もあまり見えない文部科学省が音頭をとるのでは、国民の理解が十分得られるか疑問です。文科省も、そのへんの空気を読んで、こんな小幅の、おためごかしのような、やってるふりの案を出しているのかもしれません。

この案に対し、早速、橋下徹氏が噛みついています。

 文科省から許認可・補助金についての権限を奪い、これによって天下りを押し付ける根拠も奪い、そのうえで、税金を入れるのを学校法人から学生・保護者に移して、競争の圧力で改革を進めさせる、という考え方かと思います。

橋下徹氏が実現した、大阪府の私立高校授業料無償化政策を事実上のバウチャー化ととらえて、その正当性を主張する考え方もあります。

http://www.morigami.co.jp/nv1_pdf/55741d2bda7ab-nv-7740.pdf#search=%27%E6%A3%AE%E4%B8%8A%E6%95%99%E8%82%B2%E7%A0%94%E7%A9%B6%E6%89%80+%E5%86%85%E9%87%8E%E8%80%95%E5%A4%AA%E9%83%8E+%E7%84%A1%E5%84%9F%E5%8C%96%27

一方、大学については研究が重要な使命なので、研究資金については、現在の官僚主義的な手続きを大幅に簡素化して(文科省から一切の裁量権を奪って専門家の判断のみに任せる等の改革も行って)、基礎研究を今より重視する、ということが付け加われば、一層良いように思います。

なお、医学部の女子差別は根深い問題で、たとえ競争原理を導入しても、どの私学も男子優遇で暗黙の結託をしてしまう可能性もあります。これまでずっとそうだったようですから。この点については、医学部定員増、医師の働き方改革、ネット診療の普及等、文科行政とは異なる対策が必要でしょう。